HIMAGINE電影房

《ワクワク感》が冒険の合図だ!
非ハリウッド娯楽映画を中心に、個人的に興味があるモノを紹介っ!

『ジェヴォーダンの獣』

2006年04月27日 | その他の映画、テレビ
 今回は最近ようやく観る事のできた、珍しくアジア系でない映画『ジェヴォーダンの獣』を紹介する。といってもフランス製娯楽映画ですが。

 18世紀、フランスのジェヴォーダン地方で《獣》と呼ばれる謎の怪物に女子供が次々と殺されるという事件が発生した。国王は事件解明のため動物学者のフロンサックを送り込んだ。彼は調査を進めていくうちにこの事件の裏には人為的なものを感じ始める…

 ランニングタイムが2時間ちょいあって少し苦痛なのだが、アクションシーンが始まるとそんな苦痛も何処へやら。今流行りの香港スタイルので見た目がすごい派手なのだ。このアクションを演出したのは『五毒拳』でディープな香港映画ファンにはおなじみのフィリップ・クォーク(と表記されているので欧米人みたいだが、郭振鋒)で一対多人数の格闘シーンが多いので結構お気に入りなのだ。ホントはこの映画だと「《獣》とは何ぞや」とか「中世フランス貴族がどうたら」とか書かなくちゃならないのだろうが、私にとっては「日本のアニメ映画みたいなフランス製アクション時代劇」でしかないので、もう、観るべき所といえば、アクション・シチュエーション・雰囲気なのだ。公開当初「ミステリー映画」風な宣伝の仕方だったので、いろんなサイトにおけるレビューを読むと「話がまとまっていない」とか「《獣》の存在が薄い」とかあまりいい感触でないみたい。期待してた分、その荒唐無稽さに反動が大きかったのだろう、きっと。この映画は「映画で謎解きを楽しみたい」人向けの作品ではなく、なぁんにも考えず映画の流れを楽しみたい人にうってつけの作品だと思う(とビデオ鑑賞のわりにはデッカイ事言っちゃった)。
         

安物買いの…

2006年04月23日 | 中古ビデオ
 昔は中古ビデオ店がたくさんあって色々買っていたのだが、今や自分の周りには1件もなくなってしまった(悲)。なので、ビデオレンタル店の中古処分セールや、ブックオフ系のリサイクルショップだけが中古ビデオ購入の唯一の機会だ。私は最近の流行の映画は目もくれず、もっぱら古~いマニアックなソフトばかりを購入するので、ビデオレンタル店でのラインアップはあまり購買意欲をそそられるものはないが、リサイクルショップのものはけっこう掘り出し物があったりして、暇があれば覗くようにしている。
 
 現在、購入している中古ビデオのジャンルは…

1.80年代の香港映画
2.珍しく日本公開・ソフト化されたアジア系娯楽映画
3.マイナーなSF映画
4.プロレスビデオ(新日とかじゃなく、インディー系や海外もの)

である。こういうのが1本100円とか300円で売られていると、誰に頼まれたわけでもないのに「俺には保護する義務がある!」とか思っちゃってまとめ買いしちゃうんだよね~。こうしてどんどんビデオがたまっていつかは部屋の底が抜けちゃうんじゃないか?と心配はしているが、こればかりは…
        
●写真(上下共)はここ一ヶ月で購入した中古ビデオのパッケージ

タミルの国からこんにちわ 『ULAGAN CHUTRUM VALIBAN』

2006年04月22日 | インド映画
 今回紹介する作品は、タミル映画を代表する大スター・M.G.ラーマチャンドラン (1917~87、タミルナードゥ州の首相になったほどの大人物) の主演・監督作 『ULAGAN CHUTRUM VALIBAN』 だ。

 研究の末、巨大な破壊力を持つエネルギーを開発した科学者が、そのパワーを世界征服のためにしようしようとする悪の秘密結社にその身柄を狙われる。科学者とその美人秘書はインド国外へ逃げ出すが、秘密結社の追跡は緩む事なくどこまでも追ってくる。インド特殊諜報局はこの科学者の身柄保護のため、彼の双子の弟である腕利きの諜報部員にその命を授ける。こうして彼は仲間の女諜報部員と共に兄を救うためアジア各地を飛び回り、途中邪魔にあったり、行き違いになったりしたりしてついに秘密のアジトで拷問にあっている兄を発見、そこで秘密結社の幹部たちを倒し、兄を救出することにみごと成功。こうして世界は危機から救われたのであった…。

 この時代のスパイ活劇 (60年代から70年代にかけての) ってどこの国も似たり寄ったりで、改めて『007』シリーズってすごいんだな、と思った。私は別にスパイ映画研究家でもないんだけど、この時代アジア各国ではスパイ映画が多数製作されていて、その雰囲気は香港でも韓国でもタイでもそしてインドでもみ~んな一緒! (あっ、もちろん日本もね) 使用言語が異なるだけで、中味は『007』とか『電撃フリント』とかとほとんど変わりゃしない。スーパーマン的な諜報部員がヒーローで、美女の諜報部員が敵か味方についていて、でっかい謎の秘密結社が世界征服を企んでいるっていうのが基本フォーマット。今やコメディにしかならないこのフォーマット、40年ぐらい前は世界中の男たちを魅了していたんだなぁ (しみじみ)
 
 この作品にはもうひとつ、われわれ日本人には「うわっ、懐かしい」というアイテムがある。それは1970年の大阪万博の様子がフィルムに収められているのだ。主人公が兄を探しに万博会場内を走り回って、仲間の女諜報部員が「そうだ、歌を歌えば気付いてくれるんじゃないかしら?」と言って、観光客がいる中、そのままミュージカル場面に突入するという力技を見せてくれる。私は大阪万博以降の生まれなので、両親の観光写真や文献でしかこの大阪万博を知らない。まさか何気なく購入したインド映画で (ジャケットは前回参照) 万博が写っているだなんて思いもしなかった。こういう事があるから 《非ハリウッド娯楽映画》 探検はやめられないっ! (2005年の愛知万博も絶対撮影してるよね?インド映画)
          

印度娯楽映画にもの申す!

2006年04月16日 | インド映画
 最近インド映画の公開状況ってどうなっているんだろう?『ムトゥ踊るマハラジャ』から始まったインド映画ブームもすっかり過去のものとなってしまい、今や一部のファンのみで語られるようになってしまった。全然認知すらされなかった時代にくらべるとまだマシかもしれないが、まだまだ秀作・傑作が眠っているこの娯楽映画の宝庫をこのまま放っておいていいものだろうか?

 『ムトゥ』をインド娯楽映画の入り口としてしまったのが、そもそもの間違いではなかったのだろうか?しかし、この作品は具体的にインド娯楽映画の何たるかを表しており、一般層における一番の教材であった。この映画があったからこそインド映画への扉が開いた、という人も少なくはない。だが、インド映画を代表する作品ではないという事をパブリシティしていなかったのが間違いだったのだ。 
 インド映画は地域・言語によって作られる作品が違い、中でも一番本数が製作され、画面も内容も洗練されているのが、ヒンディ言語で製作される通称《ボリウッド映画》なのだ。実は『ムトゥ』公開ちょっと前に日本で公開されたインド映画というのがこの《ボリウッド映画》で、シャールク・カーン主演の『ラジュー出世する』というのがそうだ。しかし、”インドっぽさ”を求める観客(やマスコミ)の支持は西洋的な顔つきのシャールクよりも、いかにもインドのおっさん的な顔付のラジニカーントを選んだようだ。それゆえ『ムトゥ』以降のインド映画のイメージは口髭の生えた主人公が出てきて、美人のヒロインと歌って踊って、悪玉と格闘する映画というのが定着してしまった。まぁ、まったくの間違いではないが…  
 配給会社も『ムトゥ』路線で売れると見込んだのか、次々とラジニ主演の旧作・新作や、それに似たような作品を輸入し続けた。結果、「なんだ、インド映画ってどれも同じじゃないか」と思われ次第に飽きられ始めてしまった。ブームというのは所詮こんなもん、と言ってしまえばそれまでなのだが、それじゃぁあまりにも寂しいではないか?!  

 私の場合、結構早いうちに《脱・ムトゥ》をスローガンとし、『インディラ』とか『1942・愛の物語』のような社会派作品を除く(ホントはそれじゃぁいけないと思うのだが)娯楽作品を探して観賞しまくった。結果、「インド映画は『ムトゥ』が全てではない」という事を悟った。 さぁ、まだ『ムトゥ』より一歩も前進していない映画ファンたちよ、とにかくインド映画を観なさい!『sholay』のスペクタクルに驚きなさい、『asoka』の戦闘シーンに恐怖しなさい、そして『koi mil gaya』のSFXに感動しなさい!また、3時間近く画面に向かうのが嫌だって人はインド映画のウリであるミュージカル場面を集めたコンピレーションDVD(またはVCD)を観賞したっていい。我々の思っている以上にインド映画は進んでいるというのが分かるはずだから。
      

ニセ座頭市、海を渡る 『盲侠闘白狼』

2006年04月09日 | 武侠映画
 日本製アクションヒーロー『座頭市』の香港映画における影響というのは、数々の武侠・クンフー映画で認識することができる。以前紹介した『盲女匂魂剣』のように、キャラクター設定やアクション演出に『座頭市』的影響を見ることができるものもあれば、今回紹介する『盲侠闘白狼』のように(見た目)座頭市ズバリをキャラクターとして登場させた作品も存在する。

 あらすじは、ある日突然やって来た《白狼》と呼ばれる武術使いの悪党とその手下たちによって牛耳られている寒村に、フラリと流れてきた座頭市モドキが、世話してくれた人々の為に《白狼》と一騎打ち、見事勝利し村に平和が訪れたのを確認すると次の土地へと去っていく…というもので、『座頭市』の世界と香港クンフー映画の世界が(無理矢理)合体して妙な違和感が《非ハリウッド娯楽映画》好きには何ともたまらない作品だ。
 《白狼》のキャラクター造形には『夕陽のガンマン』のジャン・マリア・ボロンテ扮する《インディオ》の影響があるようで、倒した武道家から奪い取ったオルゴール付きの懐中時計を肩身離さず持っている所なんかソックリである。とはいっても、ラストの対決でその懐中時計のオルゴールの調べにのって闘うわけじゃないんだけど。まぁマカロニウェスタン自体も日本の時代劇の影響が大きいので、香港クンフー映画⇔時代劇⇔マカロニという互いに影響を及ぼしている3つの娯楽映画要素がこの1本で楽しめるわけである。(極論、この3つを押さえておけばどこの国の《非ハリウッド娯楽映画》を観賞しても怖くないのである)

 いい事ばかり書いてしまったが、この映画には大きな欠点がある。それは《出演者のクンフー・アクションが全員ヘタである》という事。せっかく仕込み杖を持っているにもかかわらず、クンフーで闘う座頭市って何だ?せっかく『座頭市』をキャラクターで登場させているんだから居合い抜きぐらい見せなきゃ客に失礼ってもんだろう。(もちろん全くそういうシーンが無いってワケではないが)後は一番大事な《白狼》自身がヘタクソなので座頭市モドキとの対決が盛り上がらないのはツライ。これだったら最初っから剣なり刀なりを持たせて完全な《武侠映画》にしちゃったほうが良くないか?と思うのだが…
                

HOW TO ルチャ映画

2006年04月01日 | 非ハリウッド娯楽映画
 映画好きならば一度は聞いたことがあるかもしれないが、日本ではなかなか観る機会がないのが、このルチャ映画というジャンル。最近ではミル・マスカラス主演の『愛と宿命のルチャ』なる作品が劇場公開されたのが記憶に新しい(といってもずいぶん前の話だが)。しかし、あとはブルー・デモンものやマスカラス、イホ・デル・サントの出演作が数本ビデオソフト化されたにとどまっており、すべての映画ファンに浸透してるとはいい難い。ここで「一体ルチャ映画とは何ぞや?」と疑問に思っている方に解説しましょう、ルチャ映画の面白さを!

 ルチャ映画という呼称を私は使っているが、海外ではサント・ムービーという呼び方もされている。エル・サント主演作が多いのでこの呼び名が付いたのだが、いろんなルチャドールが主役を張っているので、彼らの気を損ねないように(読んでないから損ねないって!)ここではルチャ映画と呼ばせてもらう。
 このジャンルの最初の頃はずばりルチャリブレを題材にしたもので、主人公がルチャドールになって富や名声を手に入れたり、逆にギャングたちに目を付けられ破滅的な末路を辿ったりといったスポーツ映画だった。それがそれまで試合シーン要員だった本職のマスクマンたちに子供たちの人気が集まるようになってくると、今度はそのマスクマンが主役のヒーロー映画に変化していくのであった。それが現在《ルチャ映画》と言われる物なのだ。
 このヒーロー型ルチャ映画にもいろいろあって、実際のマスクマンが主演するものと、映画オリジナルのマスクマンが主演のものの2タイプがある。プロレスファンが観て(私のことね)興味があるのはやはり本物が出てくるヤツで、メキシコでルチャリブレのテレビ放映が再開される1989年以前の(最初のルチャ・テレビ放映は1952年だそうだ)、写真でしか見たことのない伝説のマスクマンたちの試合が観賞できるのはこのルチャ映画だけなのだ。
 作品的には吸血鬼やミイラ男、狼男などのモンスターとか、ゴリラの脳を移植しようとするマッドサイエンティスト、遠い星からやってきた宇宙人などが、主役のマスクマンと闘うといった(もちろんそんな非現実的な敵ばかりじゃないが)どうしようもない物ばかりなのだが、それは頭が固くなった(画面だけ上品なハリウッド映画ばかり観ている)人の考えで、ちょっと子供心に帰って観賞してみたらこれほどワクワクさせられるものはない。ウルトラマン好きだったでしょ?仮面ライダー好きだったでしょ?

 現実の人物であるマスクマンたちのもう一つの世界での正義と悪との闘いに、私たち(私とルチャ映画好き)は血湧き肉踊らせるのだ。