やっぱり思春期を過ごしてきた1980年代の、このヌルい感じは心地よいなぁ。この『日本娃娃』のPVもNHKの『ハッピー・ニューイヤー・アジア』で観たんじゃないかな?…でも、いくらなんでもイマドキの(この当時)日本の女の子が和服着て歩いてるわけはないだろうに。日本人がスリットの入ったチャイナ服着ている中国娘を、妄想する感覚と同じなんだろうな、きっと。
スシ、テンプラ、中森明菜、マッチ(近藤真彦)、Careless Whisper(ケアレス・ウィスパー…ジョージ・マイケルの曲)、モニカ(吉川晃司の曲)等々、この曲が発表された当時を、思い出させるようなワードが歌詞に散りばめられていて(スシ・テンプラは別として)80年代中頃の、永遠に続くと思われた幸福感がこの曲を聴く度に蘇ってきます。
1980年代中ごろから90年代前半にかけて、香港映画界は数々の傑作群を産み出している。今思えばこの頃が一番、香港映画が《香港映画》であった時代で自分の中ではゴールデン・エイジ…黄金期だったのかな、と思う。実際1980年代だけ振り返ってみても、ジャッキーのゴールデン・ハーベスト(GH)移籍~老舗ショウ・ブラザース、GHに続く対抗勢力シネマシティ(CC)の台頭&D&B設立~ショウ・ブラザース、映画製作を(一時)停止…等々、ドラマチックな出来事の多い1decadeだったといえよう。個人的に香港映画そのものに興味を持ち始めた(ジャッキーとか功夫映画とかじゃなく)のが80年代中ごろからなので、思い出深い作品が多いのもこの時代のものばかりだ。
最近、youtubeなどの動画サイトで、憑かれたようにこの時代の香港映画ばかりを見ている。その多くが過去に日本公開やビデオリリースされたものばかりだけれども、中古VHSも最近は入手しにくいしDVDになっていない作品もけっこうある(あくまで国内での話)。ホラ、動画サイトならタダで観れるワケだしね。そんなワケで1980年代や90年代前半といった、香港映画がイチバン熱く、面白かった《あの時代》の作品たちを懐古してみようと思った次第だ。
ツイ・ハーク&ジョン・シャムが製作、サリー・イップが主演という《大作》モードなキャスティングにもかかわらず、現物からはすこ~しチープ感も漂うSFアクション映画『ロボフォース/鉄甲無敵マリア』(1988)は結構、いまでも印象深い作品で、ラストの女性型アンドロイド《マリア》(+ハーク&シャム)と敵のロボット兵器《パイオニア1号》との対決は何度当時ビデオで見返したか。90分前後という上映時間が心地よく、こちらがダレてくる前に場面転換するので、この頃の香港映画は友人たちが集まった際に流すのに丁度よい、パーティームービーとして重宝しておりました。
この作品、劇場公開時に観にいったのだが、配給がシネ・ロッポニカということで普段ポルノ映画を上映しているにっかつ系の映画館だった、というのも映画の内容とワンセットで思い出に残っている。今回久々にyoutubeで観たのだが、台詞が広東語になっていて、オープニングのテーマ曲も劇場公開&ビデオではシンセのみのインスト曲だった(はず)が、広東語ボーカルが入ったものになっていた。男声合唱のテーマ曲は広東語独特のリズムと相まってなかなかカッコいい。台詞も英語と日本語のものしか観た事がなかったのでまさに《初遭遇》である。
ちなみにこの映画、今や押しも押されぬアジアの大スター、トニー・レオンが出演しているのだが、全くといってオイシイ所がない、《誰がやってもいいような》役でちょっと悲しい(大円団まで顔を出しているので、それだけでも十分だと思う)。のちに『ハード・ボイルド』や『HERO/英雄』なんかにも出てとりあえずアクションもこなせるトニーではあるが、まだこの時点では映画俳優としてのキャリアもまだまだで、周りには一流の監督や製作者、ピンで主演作の撮れる女優がいたのだからこの扱いは仕方なし、か?まぁ、ビリング(表記列)的には同列だったラム・チェンインにバイクで空飛ばれちゃぁねぇ…
何かにつけて、クルクルと旋回するチン・シウトンのアクションも最高だし、ラストに4人(3人と1体のアンドロイド)が夜道で踊るシーンを見る度にいつも「あぁ、いい映画だなぁ」なんて思ってしまう、わたしの心のビタミンムービーのひとつである。