と、タイトルに書いても、プロレス(ルチャリブレ界隈)に詳しくない御仁には何のことやらサッパリだと思うので整理するとですね…
メキシコCMLLにおいてダントツの人気を誇っていたカナダ出身の女子レスラー(この場合、ルチャドーラと言ったほうが適切かな?)、ダーク・エンジェルことサラ・ストックがこの度アメリカのメジャー団体(一応)であるTNAと契約を結んだ…という事です。
ここのところTNAは女子部門に力を入れており、日本でも活躍していたオーサム・コング(アメージング・コングの名で全女の末期に出てましたよね)を招いて女子部門の中心に据えWWEの女子部門とは異なる世界を築き上げていて、WWEが泥酔客相手の泥レスチックな“色っぽさ”、“華やかさ”をテーマにしているとすれば、TNAはアスリート思考の日本流の女子プロレスを打ち出しているのだ。個人的にはどちらも大好きですが。
ただ、現状としてはオーサム・コング一人勝ちの状態が続いているのでTNAとしては新たなタレントがほしい。アスリート的なレスリングも出来、米国内では無名ながら国際的知名度も高く、(多分ここがポイント)そこそこ美形なダーク・エンジェルに白羽の矢が立ったのも当然といえる。彼女も更なるステップアップ(当然ギャラアップも)を望みアメリカでやっていきたいと考えていたのだろう。TNAと彼女の思惑が一致して今回の件に到ったというわけだ。
ここ近年、米メジャー団体って南米系の市場を狙っていろいろなスペル・エストレージャに接近していますね、ミスティコとかドス・カラスJrなどCMLL系選手ばかり。たいてい土壇場で立ち消えになっちゃいますけどね。レイ・ミステリオのWWEでの成功以来、団体のほうは市場開拓の駒として、選手は金銭面や国際的知名度を狙って双方接近するのだけど、言葉の問題やスタイルの問題などで合意に達するのは難しいようだ。長いアメリカン・プロレスの歴史でメキシカン・レスラーで成功したのは結局ミル・マスカラスとレイ・ミステリオだけなのだ。
日本人選手だってそうでしょ?あれだけ《ポスト・ミステリオ》の本命馬だったウルティモ・ドラゴンも長く定着できなかったし、鈴木健想もそう。そうやって考えると10年以上在籍しているフナキってすごいなぁ。
ダーク・エンジェルの場合はカナダ人で英語も話せるし、スター性も感じられるので期待大だ。ちょっと体が固そうだけど一通りのルチャムーブはできるしスープレックスも大丈夫なので、本来なら日本向けの人材なのだが老舗・全日本女子は今は無く(90年代末の女子プロ全盛期なら間違いなくレギュラー外人でしょう!)、数多くの小団体が乱立している現在、定期的に彼女を呼べる所はないのでしょうがない。アメリカでメキシコでいたとき以上に彼女がビックになる事を期待しましょう!