知らぬが仏とはいうが2
集会があって全員が外出して部屋を留守にしたとき、サルは勝手に部屋に入り飲み食いをした。まさか猿が僕のミネラルウオーターの栓を空けてボトルのなかの水を飲むなんて想像さえしなかった。
僕の部屋は20畳位の広さで、そこに10人ばかりの日本人が寝泊りしている。
若い人が多く,僕が最年長みたいである。贅沢に育った若い日本人が暑くて汚い、このインドまで精神的な何かを求めて、はるばる日本からやってきて、この修養道場に寝起きして、毎日修行に励んでいる姿は感動さえ覚えるし、この人達の人生に神の祝福のあることを願わずにはいられない。
アシュラムの朝は早い。日が昇るまで寝ているものなど誰も居ない。みな4時ごろになると、おき出して、そっととなりの人に迷惑をかけないように静かに身支度をして、朝のお祈りをするため,会場に入って、サイババの会場入りを静かに待つのである。
僕も同室者と同じように身支度をしては、5時には会場前に並んだ。床に敷いたマットはそのままにして、蚊帳を巻き上げて、枕もとに置いてあるボトルの栓をしっかり締めて水がこぼれないようにして、部屋を後にするのが日課だった。
ところがある日、僕が部屋に帰ってくると,ボトルが横だおしになっていて、辺りに水がこぼれて、床がびしょびしょに濡れている。
おかしいな?、栓を開けて水を飲み、あたり一面に水を,丸で撒き散らすかのようにこぼし、栓もしないで横倒しにしたままで、誰がほったらかしにしておくのか?飲むのだったら、せめて栓ぐらい閉めておけばよいのに。僕は愚痴た。、
まさか猿がボトルの栓を開けて、中の水を飲もうとは、考えもしないし、想像だにしなかった。
水は、かなりの量がこぼれているだけでなく床にじかに敷いたマットレスの裏側に染み込んでいた。マットの色が水に溶けだしている。
40度近い外気温で、外から帰ってきた僕は、喉がカラカラになっていた。栓が開いて横倒しになったボトルに口をつけて、思いっきり水を飲んだ。そこへ隣に寝ている青年が帰ってきて
「水をこぼしたのですか」と聞く
「床にこぼれているのは、僕がこぼしたのではない。勝手にボトルが倒れていたんだです。」
「それは猿が飲んだの違ういますか。」
「ええっ?。猿がどうしてボトルの栓を開いて勝手にのむことができるのかね」
「おじさんは信じないかもしれないが、ここの猿は非常に利口だから、人間のまねをして、ボトルの栓を開けて水を飲むくらいのことは、やすやすとやってのけますよ。実はぼくも以前に、一回ボトルの水を飲まれてしまった事があるんです。
たまたま部屋に入ってきたときに、猿が両手でボトルをつかみ、口に当てて飲んでいたんです。すぐには追い払わないで、何をするかずっと観察していたが、ボトルの栓を締めないで、床にこ転がして水をこぼしたまま、外へに逃げていった。あの時初めて、猿がこんな器用なまねをするということを知りました。
おじさんのボトルもきっと猿が開けて、中の水を飲んでいると思いますよ。そして床に転がして逃げていったんでしょう。人間のまねをするといっても、所詮畜生で、栓を締めるという知恵は発達していないようですね。」
「そうでしたか。もう少し前に、その話を聞きたかった。僕は今、暑い外から帰ってきて、その猿の飲んだ水を、腹いっぱい飲んだんですよ。話を聞いて急に胃のあたりの気分が悪くなってきた。吐き気を感じるみたいですよ。」
集会があって全員が外出して部屋を留守にしたとき、サルは勝手に部屋に入り飲み食いをした。まさか猿が僕のミネラルウオーターの栓を空けてボトルのなかの水を飲むなんて想像さえしなかった。
僕の部屋は20畳位の広さで、そこに10人ばかりの日本人が寝泊りしている。
若い人が多く,僕が最年長みたいである。贅沢に育った若い日本人が暑くて汚い、このインドまで精神的な何かを求めて、はるばる日本からやってきて、この修養道場に寝起きして、毎日修行に励んでいる姿は感動さえ覚えるし、この人達の人生に神の祝福のあることを願わずにはいられない。
アシュラムの朝は早い。日が昇るまで寝ているものなど誰も居ない。みな4時ごろになると、おき出して、そっととなりの人に迷惑をかけないように静かに身支度をして、朝のお祈りをするため,会場に入って、サイババの会場入りを静かに待つのである。
僕も同室者と同じように身支度をしては、5時には会場前に並んだ。床に敷いたマットはそのままにして、蚊帳を巻き上げて、枕もとに置いてあるボトルの栓をしっかり締めて水がこぼれないようにして、部屋を後にするのが日課だった。
ところがある日、僕が部屋に帰ってくると,ボトルが横だおしになっていて、辺りに水がこぼれて、床がびしょびしょに濡れている。
おかしいな?、栓を開けて水を飲み、あたり一面に水を,丸で撒き散らすかのようにこぼし、栓もしないで横倒しにしたままで、誰がほったらかしにしておくのか?飲むのだったら、せめて栓ぐらい閉めておけばよいのに。僕は愚痴た。、
まさか猿がボトルの栓を開けて、中の水を飲もうとは、考えもしないし、想像だにしなかった。
水は、かなりの量がこぼれているだけでなく床にじかに敷いたマットレスの裏側に染み込んでいた。マットの色が水に溶けだしている。
40度近い外気温で、外から帰ってきた僕は、喉がカラカラになっていた。栓が開いて横倒しになったボトルに口をつけて、思いっきり水を飲んだ。そこへ隣に寝ている青年が帰ってきて
「水をこぼしたのですか」と聞く
「床にこぼれているのは、僕がこぼしたのではない。勝手にボトルが倒れていたんだです。」
「それは猿が飲んだの違ういますか。」
「ええっ?。猿がどうしてボトルの栓を開いて勝手にのむことができるのかね」
「おじさんは信じないかもしれないが、ここの猿は非常に利口だから、人間のまねをして、ボトルの栓を開けて水を飲むくらいのことは、やすやすとやってのけますよ。実はぼくも以前に、一回ボトルの水を飲まれてしまった事があるんです。
たまたま部屋に入ってきたときに、猿が両手でボトルをつかみ、口に当てて飲んでいたんです。すぐには追い払わないで、何をするかずっと観察していたが、ボトルの栓を締めないで、床にこ転がして水をこぼしたまま、外へに逃げていった。あの時初めて、猿がこんな器用なまねをするということを知りました。
おじさんのボトルもきっと猿が開けて、中の水を飲んでいると思いますよ。そして床に転がして逃げていったんでしょう。人間のまねをするといっても、所詮畜生で、栓を締めるという知恵は発達していないようですね。」
「そうでしたか。もう少し前に、その話を聞きたかった。僕は今、暑い外から帰ってきて、その猿の飲んだ水を、腹いっぱい飲んだんですよ。話を聞いて急に胃のあたりの気分が悪くなってきた。吐き気を感じるみたいですよ。」