気合いを入れる
僕のお客さんは
十七才。 高校二年生。食べ盛り。弁当を食べた昼下がり、眠気盛り。
教える科目は倫理社会。大学受験とは関係ない科目。
内容はソクラテスの考え方、無知の知。とか、ルソーの自然に帰れとか、
カントの純粋理性批判とか、おおよそ日常生活になじみの無い抽象的なことばかり。
お客さんから見れば、うっとい教科。だが最低点でも、とっておかなければ単位不足になる。
顔はこっち向いてるが目は眠っている。これが普通の子供達の姿だ。
そういう状況を前にして、どのようにして、彼らを眠らせずに注意を授業に集中させるか。工夫のしどころである。
そこで僕は考えた。
1,気合いを入れること
2,面白いこと。笑わせること。
3,抽象度の高いことは、如何に日常の場面において、具体的に説明するか。
4,生徒にしゃべらせること。分担を決めて、そこを宿題にして次回の授業に教壇に立って発表する形式。 等々。
昼飯喰って、体育の実技をして、その次の時間に倫理社会の授業が来れば、こちらにとっては最悪。前向いて寝ている生徒が続出。
そこで教壇に立つなり「オーッス」と叫ぶ。普通の教室は起立・礼だけど、様子が違うので「彼らは反応しない」。そこでもう一度 「オーッス」と言うが、反応無し。
出席をとって、ありきたりの授業をして一時間はやり過ごした。
職員室に戻るなり、女子生徒から「下品な言葉を使わないで下さい」と抗議を受ける。
何を言われても頑として、考えを変えず、1年間押し通した。おかげで倫理社会は優しいようで、難しい科目なんだと、自覚が行き渡った。
どこまで僕の言ったことが浸透したか、判らないが、意図したことが通じたのか、抗議を受けたのは、後にも先にも、これ一回だけだった。
気合いを入れないで勉強なんか出るか。その考えは今も変わっていない。勿論僕自身に対しても。
僕のお客さんは
十七才。 高校二年生。食べ盛り。弁当を食べた昼下がり、眠気盛り。
教える科目は倫理社会。大学受験とは関係ない科目。
内容はソクラテスの考え方、無知の知。とか、ルソーの自然に帰れとか、
カントの純粋理性批判とか、おおよそ日常生活になじみの無い抽象的なことばかり。
お客さんから見れば、うっとい教科。だが最低点でも、とっておかなければ単位不足になる。
顔はこっち向いてるが目は眠っている。これが普通の子供達の姿だ。
そういう状況を前にして、どのようにして、彼らを眠らせずに注意を授業に集中させるか。工夫のしどころである。
そこで僕は考えた。
1,気合いを入れること
2,面白いこと。笑わせること。
3,抽象度の高いことは、如何に日常の場面において、具体的に説明するか。
4,生徒にしゃべらせること。分担を決めて、そこを宿題にして次回の授業に教壇に立って発表する形式。 等々。
昼飯喰って、体育の実技をして、その次の時間に倫理社会の授業が来れば、こちらにとっては最悪。前向いて寝ている生徒が続出。
そこで教壇に立つなり「オーッス」と叫ぶ。普通の教室は起立・礼だけど、様子が違うので「彼らは反応しない」。そこでもう一度 「オーッス」と言うが、反応無し。
出席をとって、ありきたりの授業をして一時間はやり過ごした。
職員室に戻るなり、女子生徒から「下品な言葉を使わないで下さい」と抗議を受ける。
何を言われても頑として、考えを変えず、1年間押し通した。おかげで倫理社会は優しいようで、難しい科目なんだと、自覚が行き渡った。
どこまで僕の言ったことが浸透したか、判らないが、意図したことが通じたのか、抗議を受けたのは、後にも先にも、これ一回だけだった。
気合いを入れないで勉強なんか出るか。その考えは今も変わっていない。勿論僕自身に対しても。