日々雑感

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メルヘン

2013年06月09日 | Weblog
メルヘン

大人になって考えてみると、子供のころには大人が、理解できないようなことを考えたり、信じたりにするものだ。

現実にはおそらく、この世には存在しないであろう世界に自分を引きずりこんで、その世界を現実の世界だと信じこむ。

つまり、客観的な世界と主観的な世界の未分化である。そしてこの未分化の世界こそが、メルヘンの世界である。

 メルヘンの世界は意図的・無意図的に願望の世界であるから、主観性が非常に強い世界であり、これは我々大人になって、客観的な世界に飛び込んで生活をするにもかかわらず、へその緒みたいに、我々の心の中に強く結びついている。

 本質的に主観性が強いとされる、女性においては、このへその緒は、かなり太いのであろうか。往々にして、女性はこの世界に足をおろして立ちながら、現実の世界で生じるもろもろの事象に対し、判断を下すのでほほえましい場面が生ずる。

 「そんなのはメルヘンの世界だ」という言い方で、その世界に住むことがあたかも悪い、少なくともレベルが低俗だと、我々は言うが、一概には悪いとも言えないようである。

 それどころか、厳しい現実ばかりを眺めていると、我々は人生に夢を見いだすことが難しくて、悲観的になってしまうが、おそらく現実には存在し得ないであろう観念の世界に浸って、我々は航海で疲れた船が港で休むように、メルヘンの世界に遊ぶことによって、心が癒される事も経験する。

 極端につらい現実に浸かってもそうだし、冬の日差しを背にうけて、うつらうつらする時も、メルヘンの世界に遊んでいることが非常に多い。そしてこのことは後になって気がつくことが多い。

ともあれ、神は我々人間、男にも、女にも、メルヘンを与えてくれた。現実の場面で、メルヘンの世界の話をされると腹立たしく思うこともあるが、なかなか楽しいものだから、これは大切にしたい世界である。