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令和2年(2020年)二級建築士試験問題解説 ①

2020-09-01 09:10:35 | ビジネス・教育学習
◇令和2年(2020年)の二級建築士試験問題と正答が公開されましたので、私なりの解説を始めます。
◇まずは、今日から単体規定(N0.1からNo.11)について、4回に分けて掲載していきます。
◇問題文は公表されていますので、参照しながら見てゆくと分かり易いと思います。
◇問題文と正答表については、公益財団法人 建築技術教育普及センターのH.P.にて参照できます。
◇下記URLにアクセスしてください。
 http://www.jaeic.or.jp/shiken/2k/2k-mondai.html
(Ctrlキーを押しながらクリックすると表示できると思います。)
⇒できない場合は、検索システムで、公益財団法人 建築技術教育普及センターにアクセスしてください。
 H.P.内に、試験問題「過去問」にアクセスする「窓(メニュー)」があります。

〔No. 1 〕 用語に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
正答 5
1.正しい。法2条八号かっこ書き:防火構造の外壁と軒裏に要求する性能について、かっこ書きで、「防火性能」を定義している。注意点は、法2条八号かっこ書きに定義する
 「防火性能」と、法23条かっこ書きに定義する「準防火性能」の定義の違いです。「防火性能」は、「軒裏」に対しても、延焼を抑制する性能を要求しているが、「準防火性
 能」は、外壁への要求だけで、軒裏まで延焼を抑制する性能を要求していないことです。今回は、正答の肢問にはなっていませんが、2019年(R1)、2016年(H28)では、正答と
 して、この条項の違いを問う肢問にはなっていますし、もう常連の出題分野です。
2.正しい。法23条かっこ書き:肢問1との関連分野で、内容比較ができるので、易しい肢問であったと思います。法22条指定区域内の延焼のおそれのある部分の外壁に要求す
 る性能について、かっこ書きで、「準防火性能」を定義していて、肢問1と比較すれば、一目瞭然です。
3.正しい。法2条五号、同十四号:主要構造部の定義と、大規模修繕の定義を問う問題で、階段は、主要構造部であり、その過半の修繕は、大規模修繕である。主要構造部(法2
 条五号)は、防火上の重要性を意図して、防火規制と関連して定義するもので、構造耐力上主要な部分(令1条三号)は、力学上の重要性を意図して、構造強度と関連して定義する
 ものです。主要構造部(法2条五号)と構造耐力上主要な部分(令1条三号)との定義の違いを問う肢問は、用語の定義が出題された年には、2014年(H26)以来、毎年出題される常連
 の分野です。
4.正しい。令19条、令115条の3、法別表第1(2)項、法2条二号:地域活動支援センターは、令19条により児童福祉施設等に該当し、令115条の3において、法別表第1(2)項に類す
 る用途としているので、法2条二号に定義する、特殊建築物である。この肢問では、「地域活動支援センター」が、令19条に定義する「児童福祉施設等」に該当し、特殊建築物
 (令2条二号)に該当するものであることの理解を求める問題です。令19に定義する「児童福祉施設等」に関しては、今後も注意すべき用途定義事項です。
5.誤り。令13条一号、同二号:避難階とは、「直接地上へ通ずる出入り口のある階」であることが、令13条一号において定義されている。また、避難上有効なバルコニーにつ
 いては、令13条二号において、避難施設として定義されている。すなわち、避難階とは、被災建築物から敷地等の屋外に、直接避難可能な出入り口を有する階ということにな
 り、避難バルコニーでは、被災建築物から脱したことにはならない。

〔No. 2 〕 次の行為のうち、建築基準法上、全国どの場所においても、確認済証の交付を受ける 必要があるものはどれか。
正答 3
1.確認は不要。法6条1項三号、同四号:増築後も四号建築物であり、四号建築物の増築(建築)は、都市計画区域内であれば確認が必要だが、全国どこでも必要というわけでは
 ない。
2.確認は不要。法87条1項、法6条1項一号:用途変更をして、200㎡を超える一号建築物とする場合には、確認申請を必要とするが、設問の事務所の用途の建築物は、特殊建築
 物ではないので、一号建築物には該当しない。
3.確認が必要。法6条1項三号:300㎡の事務所は、三号建築物の大規模修繕であり、全国どこでも、確認申請が必要である。
4.確認は不要。令19条、法6条1項一号:老人福祉施設は、令19条において、児童福祉施設等に該当する特殊建築物であるが、200㎡を超えないものは、一号建築物には該当し
 ない。法改正で、一号建築物の範囲が、100㎡を超えるものから、200㎡を超えるものに変更していることにも注意する必要がある。
5.確認は不要。法6条1項一号、同四号:共同住宅は、法2条二号に定義する特殊建築物であるが、200㎡を超えないものは、一号建築物(法改正で、一号建築物の範囲が、200㎡
 を超えるものに緩和されている。)に該当しないので、構造・規模は四号建築物に該当する。したがって、都市計画区域内であれば確認が必要だが、全国どこでも必要というわ
 けではない。

〔No. 3 〕 次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
正答 1
1.誤り。法87条1項。法7条1項:用途変更の場合、完了検査ではなく、建築主事への完了届である。法87条において、法7条1項における建築主事への検査申請について、「建
 築主事への届け出」と読み替えるとしている。なお、法7条の2第1項において、確認検査機関は、完了検査を引き受けた場合に、法7条1項の規定の適用をしないとしており、
 法87条において、検査ではなく届出としているので、確認検査機関の役割は、制度上、そもそも存在しない。
2.正しい。法6条の4第1項三号、令10条三号:問題文通り、法28条の規定は、確認の特例の対象であり、確認審査対象外となる。確認の特例の条文(法6条の4)において、同三号
 に掲げる、建築士の設計にかかる法6条1項の四号建築物においては、「」書きの中で、政令で定める規定を除くとしており、令10条三号イにおいて、防火地域、準防火地域内
 の一戸建て住宅については、法28条(居室の採光及び換気)を掲げているので、問題文は正しい。
3.正しい。法89条2項:施工者としての情報開示義務を定義している(条文参照)。なお。法89条の施工者への表示義務に関して、第1項の確認表示看板の表示義務規定を問う
 肢問が、2018年(H30)に出題があり、情報開示義務への啓発を図っている気がするので、その他の条文においても、今後、正答にはならずとも、情報開示義務の肢問への注意
 は必要。
4.正しい。法12条5項:工事監理者だけではなく、その他の関係者にも報告を求めることができる(通称ではあるが、「施工状況報告書」として定着している)。2018年(H30)に
 も出題があり、上記の肢問と同様に、今後、注意すべき情報開示分野の問題と推察する。なお、建築士法18条3項の工事監理者の建築主への報告義務である、工事監理報告書と
 は、利害関係が異なるので、注意が必要。施工状況報告書は、公的機関への報告書であり、工事監理者(建築士)としての工事監理報告書は、工事監理という、民と民の契約にお
 ける、クライアントへの報告書である。
5.正しい。法9条の4:保安上危険な建築物等の所有者等に対する指導・助言の規定(条文参照)。初めての出題分野で、今後も、出題実績のない、レアな分野の出題傾向を感じ
 るが、建築士になる技術者への啓発的要素ではないかと推察し、正答になる確率も低く、条文が検索出来れば、条文通りの問題文ということが多い。

2020年9月1日 by SHRS(シュルズ)一級建築士、建築基準適合判定資格者
コメント
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