暮らす、生きる、繋がる、持続可能な未来

人も社会も、成長と負荷を切り離して、落としどころを考える。

令和2年(2020年)二級建築士試験問題解説 ②

2020-09-02 10:24:22 | ビジネス・教育学習
◇昨日に引き続き、令和2年(2020年)の二級建築士試験問題解説をします。
◇問題文と正答表は公表されていますので、参照しながら見てゆくと分かり易いと思います。
◇公益財団法人 建築技術教育普及センターのH.P.にて参照できます。
◇下記URLにアクセスしてください。
http://www.jaeic.or.jp/shiken/2k/2k-mondai.html
(Ctrlキーを押しながらクリックすると表示できると思います。)
⇒できない場合は、検索システムで、公益財団法人 建築技術教育普及センターにアクセスしてください。
 H.P.内に、試験問題「過去問」にアクセスする「窓(メニュー)」があります。

〔No. 4 〕 木造2階建て、延べ面積200㎡の共同住宅の計画に関する次の記述のうち、建築基準法に適合しないものはどれか。ただし、国土交通大臣が定めた構造方法は考慮しないものとする。
正答 4
1.適合する。令24条、令23条1項表:踊り場を必要としない階段なので、踏幅は、1mで充分である。設問の共同住宅は、令23条1項表において、(1)項、(2)項には該当しないの
 で、令24条により、階段の高さが4mを超えるものに踊り場の設置義務があり、設問の高さ3mのものへの踊り場の設置義務はない。したがって、令24条2項の踏み幅の規定の
 適用もない。法令集を確認することで、容易に理解できる問題であったと思います。
2.適合する。法30条1項二号、同2項:原則、小屋裏又は天井裏に達する遮音性能を有する界壁を必要とする(条文参照)。設問が、「小屋裏又は天井裏に達するものとした。」
 という問いかけではなく、「達するものとしなければならない。」と問いかけてくれば、同2項に新設された改正法で、遮音壁と同等性能の遮音天井でもよいとしているので、
 「これ違うよ!」と言えたのですが、原則論での問いかけでしたので、設問は適合することになります。ただし、改正法(同2項)で緩和していることへの注意は必要です。
3.適合する。法28条3項、令20条の3第1項一号:火気使用室には、原則、換気設備の設置が義務付けられているが、令20条の3において、換気設備を要しない火気使用室の緩和
 条件が示されており、設問のものは、同一号に該当するので、換気設備は、なくても適合する。今回は、正答にはなっていませんが、R1、H29、H27年と、一年おきに正答の
 設問として出題されていて、ひょっとすれば、R3年度は、正答での出題かもしれないとの予測もできる重要事項です。一度内容を理解すれば、法令集で簡単に読み込める部分
 ですので、しっかり把握しておく必要があります。
4.適合しない。令20条の8第1項一号イ:ホルム対策の機械換気設備の必要有効換気量計算の問題で、法令集の公式を当てはめて計算します。令20条の8第1項一号イ(1)に掲載さ
 れている式に、問題文の居室の床面積20㎡⇒(A)、天井の高さ⇒(h)、1時間当たりの換気回数⇒(n)について、数値を挿入して計算します。1時間当たりの換気回数(n)は、住宅の
 居室は、法令集で「0.5」と定義されています。
  Vr=nAh ⇒ Vr=0.5×20×2.4=24 (㎥/h)必要。
 したがって、20 (㎥/h)では足りないので、設問の24 (㎥/h)では適合しないということになります。
5.正しい。令21条1項、法2条四号:居室の天井高は、2.1m以上と規定されており、寝室は、法2条四号に定義する居室に該当するので、2.4m以上必要とし、適合する。しかし
 便所は、居室に該当しないので、令21条の天井高の規定は適用されないので、2.0mでもよいことになる。

〔No. 5 〕 近隣商業地域内において、図のような断面を有する住宅の1階に居室(開口部は幅1.5 m、 面積3.0㎡とする。)を計画する場合、建築基準法上、有効な採光を確保するために、隣地境界線から後退しなければならない最小限度の距離Xは、次のうちどれか。ただし、居室の床面積は21㎡とし、図に記載されている開口部を除き、採光に有効な措置については考慮しないものとする。
正答 3
二級建築士試験では、久しぶりの採光計算の図形問題で、かつ、隣地境界線との有効な隔離距離を求める問題は、H24以来の出題です。採光計算の図形問題のパターンは3つあり、その一つです。
対象条文である、法28条1項、令20条(採光有効面積の計算)を整理してゆくと、
・必要とする採光有効面積(法28条)=居室の床面積21㎡×1/7(住宅に必要とする割合)=3㎡
・採光有効面積(令20条)=居室の開口部面積×採光補正係数(λ)
・ということは、採光補正係数を求めるために、採光有効面積を居室の開口部面積で割ってやればよい。
  採光補正係数(λ)=採光有効面積÷居室の開口部面積
         =3㎡(採光有効面積)÷3㎡(居室の開口部面積)
         =1 
・すなわち、採光補正係数を「1」とするようにすればよいことになる。
・また、採光関係比率について、未知数を「D」とし、採光補正係数を「1」として計算式を整理すると、
 採光関係比率=D(軒先から隣地境界線までの距離)÷H(軒先から窓の中心線までの距離)
       =D÷5
 近隣商業地域の採光補正係数(λ)=D/5(採光関係比率)×10-1=1
                D=(1+1)÷10×5=1m
∴求める値である「X」は、
 これに図示されている軒先の0.5mを加えればよいので、1m+0.5m=1.5m 「3」が正答となる。

2020年9月2日 by SHRS(シュルズ)一級建築士、建築基準適合判定資格者
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする