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令和2年(2020年)二級建築士試験問題解説 ⑤

2020-09-08 09:33:02 | ビジネス・教育学習
◇今回は、道路に関する規定と用途規制の分野の解説をしていきます。
◇いつも通り、公表されている問題文を参照しながら見てゆくと分かり易いと思います。
◇問題文、正答表共に、公益財団法人 建築技術教育普及センターのH.P.にて参照できます。
◇下記URLにアクセスしてください。
http://www.jaeic.or.jp/shiken/2k/2k-mondai.html
(Ctrlキーを押しながらクリックすると表示できると思います。)
⇒できない場合は、検索システムで、公益財団法人 建築技術教育普及センターにアクセスしてください。
 H.P.内に、試験問題「過去問」にアクセスする「窓(メニュー)」があります。

〔No.12〕 都市計画区域内における道路等に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
正答 1
1.誤り。法42条1項五号、令144条の4第1項一号ニ:幅員6m以上の場合、終端に自動車の回転広場がなくても、法42条1項五号に基づき、袋地状の私道として、特定行政庁から
 位置の指定を受けることができる。私道として特定行政庁から位置指定を受けるための技術基準(令144条の4)の中で最もシンプルな定義が、この令144条の4第一号「ニ」で
 す。細かい技術基準を示している中で、幅員6m以上であればよいとしています。二級では、H26に出題以来の事項ですが、一級の問題でも、正答として出題実績がある設問で
 す。これは、車が回転きる広さがあるという解釈なのではないかと思います。
2.正しい。法47条:壁面戦を超えてはならないのは、建築物の壁、柱、高さ2mを超える門、塀であり、屋根、庇などは含まれていないので、壁面線を超えることができる。法
 44条(道路内建築制限)との違いは、法44条では、建築物と擁壁を道路内に突き出してはいけないとし、法47条では、建築物の壁、柱、門・塀とし、建築物の部分に限定してい
 るのです。R1、H27、H26でもこの部分への設問がありますので、来年度以降も注意する必要がある部分だと思っています。
3.正しい。法42条6項:法42条2項による幅員4m未満の道路で、幅員1.8m未満のもの、及び3項による水平距離を指定する場合において、特定行政庁による道路位置指定の関し
 ては、建築審査会の同意を必要とする規定です。最近の出題傾向として、建築審査会の同意の有無を問う設問がありますので、今後(R3年度試験)への注意が必要です。具体例
 として、法43条2項二号、法44条1項二号、同四号(法44条2項において同意を求めている)、法46条、法47条、法48条の用途規制においては、改正法の緩和追加があるので、特
 に注意です(法48条16項において、建築審査会の同意を必要としない条件の記述がある。)。
4.正しい。法44条ただし書き一号:道路内建築制限規定で、ただし書き一号において除外している。
5.正しい。法42条1項四号:四号に記載された法律により、2年以内に事業執行予定のものとして、特定行政庁が指定したものに対しての、法42条の基づく道路定義の規定であ
 る。

余計な話:法42条で道路と定義されない「農道」等の手続き制度緩和策としての法43条2項における一号の認定制度(詳細は、規則10条の3第1項と第3項)、及び同二号の許可制度(詳細は、規則10条の3第4項)について、試験で取り扱わないことが、少々不満で、今後の気がかり事項なのです。

〔No.13〕 次の建築物のうち、建築基準法上、新築することができるものはどれか。
正答 3
1. 新築できない。法別表第2(い)項二号、令130条の3かっこ書き、同六号:用途としては規制されていないが、前文かっこ書きにて、住居以外の用途に関して、50㎡を超えな
 いこととしている。
2. 新築できない。法別表第2(は)項五号かっこ書き:3階以上部分を飲食店の用途にできないとしている。
3. 新築できる。法別表第2(は)項七号、令130条の5の4第一号:政令で、公益上必要な建築物と定義されており、用途上問題なく、かつ、かっこ書きで、5階以上のものは認め
 ていないが、設問のものは、4階建てなので、新築できる。
4. 新築できない。法別表第2(に)項三号、令130条の6の2:バッティング練習場は、政令で、三号に類する運動施設として定義されており、建築できないものに該当する。
5. 新築できない。法別表第2(へ)項二号:作業場の床面積が50㎡を超える、原動機を使用する工場は、建築できない。

〔No.14〕 図のような敷地及び建築物(平家建て、延べ面積100㎡)の配置において、建築基準法上、新築してはならない建築物は、次のうちどれか。
正答 2
図の解釈(法91条):建築物の敷地が、地区の内外にわたる場合においては、その建築物又はその敷地の全部について敷地の過半の属する区域、地域又は地区内の建築物に関するこの法律の規定を適用する。したがって、第二種中高層住居専用地域の規定を適用(法別表第2(に)項を参照)する。
1.新築できる。(に)項二号、令130条の6:作業場50㎡以内、原動機の出力が0.75kW以下のパン屋の工場は、建築できる。昨年の木造建築士試験の用途規制の文章問題で、同様
 の部分を問う問題がありましたが、その問題では、「パン屋」という表現だけでしたので、店舗との誤認による誤答を誘発する可能性がありましたが、この設問では、「パン
 屋の工場」と明記していますので、その様な誤認はないと解釈しています。
2.新築できない。(に)項六号、令130条の7:床面積15㎡を超える畜舎(100㎡)は、建築できない。
3.新築できる。令130条の5の3第三号:(は)項五号に該当する第一種中高層住居専用地域でも建築可能な用途、規模(2階建て以下、500㎡以内)の建築物に該当し、第二種中高層
 住居専用地域に建築できないものには該当しないので、建築できる。
4.新築できる。令130条の5の3第一号、令130条の5の2第三号:(は)項五号に該当する第一種中高層住居専用地域でも建築可能な用途、規模(2階建て以下、500㎡以内)の建築物
 に該当し、令130条の5の3第一号において、前条(令130条の5の2)二号から五号に掲げるものを含むとしており、令130条の5の2第三号において、建築できる用途に「畳屋」は
 含まれており、その条件として、作業場50㎡以内、原動機の出力が0.75kW以下としている。したがって、設問のものは、建築できる。
5.新築できる。別表第2(に)項に該当せず、建築でき、別表第2(い)項八号に該当し、第一種低層住居専用地域から第一種中高層住居専用地域内のいずれでも建築できる。

余計な話:「建築審査会の同意」に関する出題に関して注目していますので、今回の法改正で、用途規制(法48条1項から13項)に関する、ただし書き許可における、建築審査会の同意を不要として、結果的に、第一種低層住居専用地域に、コンビニを建て易くした規制変更は、注目していますが、試験では扱いませんでした。予想が外れて少々不満なのですが、今後の気がかり事項なのです。

2020年9月8日 by SHRS(シュルズ)一級建築士、建築基準適合判定資格者
コメント
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