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令和2年(2020年)木造建築士試験問題解説 ③

2020-09-18 08:36:28 | ビジネス・教育学習
◇今日は、天井高、階段形状、採光、換気の規定に関する問題を解説していきます。
◇木造建築士試験らしさが出てくる分野で、出題傾向分析はしていませんが、重要事項だと思っています。
◇公表された木造建築士試験問題を参照しながら見てゆくと分かり易いと思います。
◇問題文、正答表共に、公益財団法人 建築技術教育普及センターのH.P.にて参照できます。
◇下記URLにアクセスしてください。(Ctrlキーを押しながらクリックすると表示できると思います。)
問題文(計画・法規)
https://www.jaeic.or.jp/shiken/mk/mk-mondai.files/mk-2020-1st-gakka1_2.pdf
正答表(全4科目):
https://www.jaeic.or.jp/shiken/mk/mk-mondai.files/mk-2020-1st-gokakukijun.pdf
⇒できない場合は、検索システムで、公益財団法人 建築技術教育普及センターにアクセスしてください。
 ホームページ内に、試験問題「過去問」にアクセスする「窓(メニュー)」があります。

〔No. 5 〕 張り間方向に図のような断面(桁行方向には同一とする。)を有する居室の天井の高さを算定する場合、建築基準法上、その高さとして、正しいものは、次のうちどれか。
正答 2
◇図形問題ですので、ネット上からダウンロードし、図形を見ながら解説を見ていただければと思います。
◇端的に言うと、子供のころを思い出していただき、算数の問題と思ってください。
◇算数の図形面積を求める問題です。
◇令21条1項:居室の天井高は2.1m以上とする。
  同  2項:高さの異なる天井の場合は、平均の高さによる。
◇天井の平均高さ=断面積÷底辺の長さ
◇方法①:長方形から台形の欠損部分を引く算定方法
 全体の長方形としての断面積=(2+5)×(3+3)=42㎡
 欠損部分の三角形=1/2×3×2=3㎡
 欠損部分の台形=(3.5+3.5+1)×3÷2=12㎡
 断面積の合計=42-3-12=27㎡
 平均の天井の高さ=27÷(3+3)=4.5m・・・「2」
◇方法②:図形を分割して合計する算定方法
 断面積①=[(3.5-2)+3.5]×3÷2=7.5㎡
 断面積②=3×3.5=10.5㎡
 断面積⓷=[2.5+(2.5+1)]×3÷2=9㎡
 平均の天井の高さ=(7.5+10.5+9)÷(3+3)=4.5m・・・「2」

〔No. 6 〕 木造2階建て、延べ面積150㎡の一戸建て住宅の1階から2階に通ずる屋内階段について、「必要な最小限の階段の幅」、「許容される最大限の蹴上げの寸法」及び「必要な最小限の踏面の寸法」の組合せとして、建築基準法上、正しいものは、次のうちどれか。
正答 5:問題文の表と、法令集の令23条を見比べて解く問題です。
 ◇令23条1項ただし書き:戸建て住宅の階段は、蹴上23㎝以下、踏面15㎝以上とすることができる。
 ◇幅=75㎝以上、蹴上23㎝以下、踏面15㎝以上 ⇒ 回答欄の「5」

〔No. 7 〕 第一種住居地域内(建築基準法第86条第10項に規定する公告対象区域外とする。)において、川に面して図のような断面を有する住宅の1階の居室の開口部で、建築基準法上、採光に有効な部分の面積は、次のうちどれか。
正答 2
◇法28条1項、令20条(採光有効面積の計算)
 ・採光有効面積(令20条)=居室の開口部面積×採光補正係数(λ)
 ・居室の開口部面積=(開口部の高さ)×(開口部の有効幅)
          =2.0×2.5=5.0
 ・令20条2項一号
 第一種住居地域の採光補正係数(λ)=採光関係比率(D/H)×6-1.4
 ・採光関係比率=D/H
 ・D=開口部の直上にある軒先等から隣地境界線までの距離
  ただし、水面等の空地がある場合は、その1/2だけ、境界線が外側にあるものとする。
 D=(3×1/2)+(1-0.5)=1.5+0.5=2
 ・H=軒先から開口部中心までの距離
   =4+(2×1/2)=4+1=5
 ・採光有効面積=(居室の開口部面積)×採光補正係数(λ)
        =5.0×(2/5×6-1.4)=5.0・・・「2」

〔No. 8 〕木造2階建ての一戸建て住宅に関する次の記述のうち、建築基準法に適合しないものはどれか。
正答 5
1.適合する。令21条1項:居室には、2.1m以上の天井高が必要だが、便所は、法2条四号に規定する「居室」に該当せず、2.0mでもよい。
2.適合する。令20条の8第1項一号イ(1):住宅の居室は、n=「0.5」、それ以外は「0.3」とする。
3.適合する。令20条の3第2項一号イ(1):吸気口は、天井高さの1/2以下とする。
4.適合する。令20条の3第2項一号イ(2):排気口は、煙突又は排気フードを有する排気筒を設けた場合を除き、その下端を天井から下方80cm以内の高さとする。
[ポイント]:肢問3と4は、吸気口、排気口のそれぞれの口の全体が、法令の規定の数値の意範囲内に入っているか否かを確認する問題です。口の上端なのか、口の下端なのかに注意して回答する設問です。
5.適合しない。法31条かっこ書き:公共下水道に連結されたものに限定している。なお、同2項において、公共下水道以外に放流しようとする場合には、合併処理浄化槽(技術基準は令32条に規定)を設ける規定があることにも留意する。

2020年9月18日 by SHRS(シュルズ)一級建築士、建築基準適合判定資格者
コメント
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