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令和2年(2020年)木造建築士試験問題解説 ⑥

2020-09-26 09:30:36 | ビジネス・教育学習
◇今回は、集団規定の図形問題、建蔽率、容積率、斜線制限の分野を解説していきます。
◇木造建築士試験の特徴として、計算式を含めて、解答を選択する方式になっています。
◇回答欄の表の中に、計算式が記入されていますので、自分で計算する必要はありません。
◇ポイントとなる計算要素を確認すればよいのですが、解説の都合上、計算方法を追って進めていきます。
◇図形問題ですので、公表された木造建築士試験問題を参照しながら見てゆくと分かり易いと思います。
◇問題文、正答表共に、公益財団法人 建築技術教育普及センターのH.P.にて参照できます。
◇下記URLにアクセスしてください。(Ctrlキーを押しながらクリックすると表示できると思います。)
問題文(計画・法規)
https://www.jaeic.or.jp/shiken/mk/mk-mondai.files/mk-2020-1st-gakka1_2.pdf
正答表(全4科目):
https://www.jaeic.or.jp/shiken/mk/mk-mondai.files/mk-2020-1st-gokakukijun.pdf
⇒できない場合は、検索システムで、公益財団法人 建築技術教育普及センターにアクセスしてください。
 ホームページ内に、試験問題「過去問」にアクセスする「窓(メニュー)」があります。

〔No.16〕 図のような敷地において、建築基準法上、新築することができる建築物の建築面積の最高限度は、次のうちどれか。
◇図に「準防火地域」の指定はなく、改正法の準防火地域内への建蔽率緩和は、織り込まれませんでした。
◇従って、角地指定による緩和と、法42条2項道路による敷地面積の減少に気を付ければいいです。
◇なお角地指定は敷地全体に適用になりますので、第二種住居地域部分の建蔽率計算にも注意です。
◇あとは、それぞれの敷地で計算して合算する、面積加重平均の計算で、ことは済みます。
正答 4
◇法53条2項:各部分の敷地面積の割合に乗じて得たものを合計する(面積加重平均)。
◇法53条3項二号:特定行政庁による角地の指定を受けている場合は、建蔽率に1/10の緩和がある。
◇令2条1項一号、法42条2項
 ・崖地に沿う場合は、がけ地との境界線より4mの位置を道路境界線とする。
 ・宅地との間の4m未満の道の場合は、道の中心線から2mの位置を道路境界線とする。
◇近隣商業地域の建築面積の最高限度:10×(14-2)×(8/10+1/10)=108㎡
◇第二種住居地域の建築面積の最高限度:9×(14-2)×(6/10+1/10)=75.6㎡
◇建築物の建築面積の最高限度:108+75.6=183.6㎡・・・「4」

〔No.17〕 図のような敷地において、建築基準法上、新築することができる建築物の延べ面積(同法第52条第1 項に規定する容積率の算定の基礎となる延べ面積)の最高限度は、次のうちどれか。
◇容積率計算では、原則、広い方の道路幅で、敷地全体に接道しているとの解釈で計算します。
◇すなわち、準住居地域に関しても、前面道路幅は、広い道路幅員「6m」として計算します。
◇許容延べ面積計算では、前面道路が12m未満の場合、道路幅による容積率の規制を受けます。
◇あくまで通称ですが道路容積率と称し、問題図形内にある都市計画容積率との不利な方で計算します。
◇建蔽率同様に、法42条2項道路による敷地面積の減少は気を付ける必要があります。
◇あとは、それぞれの敷地で計算して合算する、面積加重平均による計算です。
正答 5
◇法52条2項:前面道路が12m未満の場合、道路容積率以下であることを要求している。
      2つ以上の道路がある場合には、最大幅で計算できる(広い道路幅で計算する)。
  ⇒問題文記載の都市計画容積率と計算した道路容積率の厳しい方を採用して、延べ面積を計算する。
   法52条2項一号、二号(住居系):道路幅に乗ずる係数は4/10
        同三号(住居系以外) :道路幅に乗ずる係数は6/10
◇法52条7項:各部分の敷地面積の割合に乗じて得たものを合計する(面積加重平均)。
◇法52条9項:特定道路に関する規定だが、問題文で影響しないと定義しているので、考慮しない。
◇令2条1項一号、法42条2項
 ・崖地に沿う場合は、がけ地との境界線より4mの位置を道路境界線とする。
 ・宅地との間の4m未満の道の場合は、道の中心線から2mの位置を道路境界線とする。
◇道路容積率
 ・近隣商業地域:道路幅6m×6/10=36/10<40/10(都市計画容積率)・・・道路容積率を採用
 ・準住居地域:広い方の道路幅6m×4/10=24/10>20/10・・・都市計画容積率を採用
◇延べ面積の最高限度の計算
 ・近隣商業地域の延べ面積の最高限度:10×10×36/10=360㎡
 ・準住居地域の延べ面積の最高限度:(6-1)×10×20/10=100㎡
 ・建築物の延べ面積の最高限度:360+100=460㎡・・・「5」

〔No.18〕 図のような敷地において、建築物を新築する場合、建築基準法上、A点における地盤面からの建築物の高さの最高限度は、次のうちどれか。
◇第一種低層住居専用地域ですので、北側斜線と道路斜線の不利な計算結果の値が正答となります。
◇北側斜線は、真北方向に対しての規制なので、方向の確認は必要です。
◇道路斜線制限では、境界線からの隔離距離分だけ緩和が適用になります。
◇従って、この問題では、反対側の境界線より1mセットバックした位置を道路境界線として計算します。
◇隣地斜線制限は、この規模の内容の問題では、対象となることはないので、無視できます。
正答 1
①道路斜線制限:法56条1項一号、法別表第3、法56条2項(建物後退による緩和)
 ・(に)欄より、第一種低層住居専用地域の斜線勾配:1.25
 ・(幅員12m未満の道路容積率)4×4/10=16/10 > 10/10 (都市計画容積率を採用)
 ・(は)欄より、第一種低層住居専用地域(容積率20/10以下)の適用距離:20m
 ・建物後退による緩和(法56条2項):1m(東側)
 ・東側の道路斜線:(1+4+1+2)×1.25=10m
  ちなみに、(1+4+1+2)=8m<適用距離:20mの範囲内
②隣地斜線制限:法56条1項二号
 ⇒20mを超える部分からの斜線勾配:1.25なので、計算の必要なし。
③北側斜線制限:法56条1項三号
・第一種低層住居専用地域の場合:1×1.25+5=6.25m・・・「1」
∴北側斜線制限「1」が一番厳しい。

2020年9月26日 by SHRS(シュルズ)一級建築士、建築基準適合判定資格者
コメント
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