キューピーヘアーのたらたら日記

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『アッシュベイビー』 金原ひとみ

2020-09-01 10:30:12 | 
怖ろしい小説を読んでしまった、

というのが率直な感想だ。

金原ひとみはあまりに過激だ。

過激というのが陳腐なら、

彼女の性器を切り刻むナイフは、

あまりにギザギザで残酷だ。

僕は、この小説を批評する言葉を持たない。

だが、ラストのアヤの言葉で心を整理した。

「もしかしたらあの赤ん坊は、

私なのかもしれない。」


無垢な魂を汚した代償は無限大だ。

そのことに対する金原ひとみの洞察は正確だ。

いや、もしかしたら経験知かもしれないが、

そこには立ち入らない。

アヤのルームシェア二スト、ホクトによって誘拐され、

幼児性虐待の生贄にされた、名前も明かされない赤ん坊の魂は、

もう救われない。

だが、赤ん坊の魂はアヤに乗り移ることによって、

懸命に救われようとしているのかも知れない。


その魂は、ヤリマンのアヤの中に潜在する、

ただ一人の男をひたすら愛し抜きたい、

という心を肥大させるが、

彼女が愛する村野さんは、決して彼女に心を開かない。

もう、アヤは未来永劫救われない。

自らを傷つけ、

ホクトを刺し、

同僚から刺され、

小動物を虐殺し、

男たちと愛のないセックスをし、

誰からも愛されずに

地獄でのたうちまわっているしかないのだ。


ブラックアウト

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