キューピーヘアーのたらたら日記

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『サウスバウンド』 奥田英朗

2010-03-20 16:44:30 | 
主人公は東京中野に住む上原二郎君、小学校六年生。

中野か、懐かしいな。

歌舞伎町で働くキャバ嬢がいっぱい住んでたっけ。

おっと、話を戻さなきゃ。

二郎君の家は両親と姉と妹の5人家族。

一家の家計はお母さんが経営する喫茶店の収入で賄われている。

お父さんは自称フリーライターだが、実際は家でごろごろしてるだけ。

二郎君が学校から帰ってくるとプロレスごっこをして気を紛らわせているような按配。

このお父さん、正体は元過激派。

キューバのカストロ議長と肩を組んでる写真があったり、

沖縄の基地闘争ではファントムを燃やしちゃったりと、

武勇伝には事欠かない。

今でも、

「国民年金には加入しない!」

「税金など払わん!」

「国も経済も無くていい!」

と言っては家を訪れる役人達と揉め事ばかり起こしている。

そんなお父さんだが、お母さんは「何も言わずあなたについていきます」

ってな感じで夫婦仲はきわめて良好。


第一部はそんな生活の中で一家が内ゲバ事件に巻き込まれ中野に住めなくなるまで。

そして第二部は一家が理想を具現化するために、

沖縄西表島の廃村に移住し、地上の楽園を堪能するが長くは続かず、

また派手な騒動を巻き起こすお話。



この小説を読むと、お父さんにオルグされた気分になるね。

キューピーは単純だから、国家なんて無くてもいいんじゃないかって思えてきたよ。

もちろん、道路や橋は誰が作るんだ?

外国が攻めてきたらどうするんだ?

子供たちの教育は行き届くのか?

年取って働けなくなったら誰が面倒を見てくれるんだ?

それから、もっともっといろんな問題が沸き起こってくるのはわかってるんだけど、

八重山の伝説の偉人:アカハチの血を引くお父さんは

問題をチャラにしてお釣りがくるくらいインパクトがある。

もっとも、そう感じたのは奥田英朗の技量なんだけどさあ。


幸福に満ちた家族愛が全編を貫き、

そこに少年:二郎の成長の軌跡が描写され、

感動的なラストで締めくくられた名作です。

今年読んだ小説の中で一番かも…。






映画の観想記事はこちらです。若気の至りでまことにお恥ずかしいことになっておりやす。


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