キューピーヘアーのたらたら日記

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『ニューヨーク・シティ・マラソン』 村上龍

2020-07-16 14:44:26 | 
1986年発行の村上龍の短編小説集である。

若い頃読んだ本が、Yahoo! Auctionにもメルカリにも

出品されず、本棚で眠っていたのを開いてみた。


読み始めは、正直戸惑った。

僕のおぼろげな記憶によると、

これは良い短編集のはずであった。

なのに、犬を食べる会話や、

男娼が精液を飲み込んだ後、

匂い消しのためタバスコを舐め、

客もチン〇を咥えられたとき、

このほうが刺激があって喜ぶ、

とかいった話ばっかりで、

趣味の悪さというか、不健康さに

辟易してしまった。

2番目の小説の主人公の愛人も娼婦だった。

若い頃の自分は、

こんな刺激の強い小説があたり前だったのか、

と驚いた。

ところがである。

3番目の香港を舞台にした、

クラブのピアノ弾きとヌードダンサーとの恋物語に

ガツンとやられた。

何より美しい。

描写が美しい。

物語が美しい。

別れを意識した女が、

男に嫌われるため、

年収の何倍もの腕時計をねだる。

それに気づかない男は、

借金をしてその腕時計を贈る。

二人の恋は、女が腕時計を海に投げ捨てて終わる。

何十年か過ぎ、二人がどれだけ醜くなろうと、

落ちぶれようと、あるいは成功を収めようと、

愛し合った記憶だけは、

この地球からは消え去らない。

愛はやっぱり永遠だ。



他の小説も佳作ぞろいでしたよ。


おススメです<3<3

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