キューピーヘアーのたらたら日記

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『variety』 奥田英朗

2020-06-02 15:10:36 | 
本書は奥田英朗があちこちの出版社に

書き散らかし、シリーズ化しなかった短編小説と

2つの対談を一冊の本にまとめたものである。

いわば、死んだあとに出版される本のたぐいで、

いよいよ奥田英朗の作家生命も尽きようとしているのか、

なんて悲観的になっちゃいました。

お蔵入り小説集だけあって、出来はCクラスです。

ベンツのCクラスとは違います。

悪いと言っているのです。

初めて奥田作品を読むという人には、本書は絶対薦めません。

あの人はいい人だったと、

香典返しとして読む本です。



僕は前から、

奥田英朗に一言いいたいと思っていたことがある。

僕のなかで奥田英朗が勢いを失ったのは、

『ナオミとカナコ』を出した後からだった。

申し分ない傑作だった。

ただ一点を除いて。

殺人犯が逮捕されることなくまんまと逃げおおせるのである。

この殺人犯とは主人公なので、ハッピーエンドなのだが、

僕は良心の呵責に悩まされた。

真から楽しくならなかった。

多くのほかの読者もそうであったろうと思う。

そのしばらく後で出た『純平、考え直せ』も、

悪玉のヤクザの組長を射殺する物語だ。

どうも、奥田さんの思想は、

「悪い奴をやっつけるためなら、法律は破ってもいい。」

ということらしい。

「それは、小説を面白くするための手立てだよ。」

とおっしゃるかもしれない。

だが、世間の答えは「No!!!!!!!!!!」だったのだ。

奥田小説の倫理観が世間一般のそれと齟齬をきたしてる!!!!!!

それが、近年の奥田英朗の不振の原因である、

と僕は分析する。


これは、もう奥田英朗が心を入れ替えるしかないのだ。

悔い改めよ!!!!

そして、文壇のヒーローとして戻ってきてくれ!!!!!

それが、ファンの切なる思いだ。

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