”投離”

　さてこれをどう読むとお思いでしょうか？？？建御雷神は出たばかりの初々しい若葉の葦のようになっていた建御名方神の手をぐいとこちらに引っ張ります。そんなんに力いっぱいではないのでしょうが、すると、その勢いで建御名方神の体は宙に浮かび、東の空の彼方に、恰も、逃げるように飛んで行きます。
　建御名方神は自分の仕掛けた術が失敗したことを恥じたのでしょうか、それとも、そこにいると自分の身に危険が押し迫るのではないかとも考えられたのでしょうか、投げとがされたのを、それ幸いと利用して逃げ隠れようと試みるのです。天の神の力を十分に知っって驚くやら恐ろしいやらで逃げるが勝ちとばかりに出雲の国から逃げ隠れます。
　そのようなその場の状況を

　　　　　　　　　　　“投離＜ナゲハナツ＞”

　とたった２字で言い表わしております。こらあたりの表現にもなかなか面白さが伺えますよね。