仁徳天皇は、吉備に帰る黒日売を見送る為に、密かに宮殿の高台に登ります。そこで、黒日売愛しさの余り、天皇の口をついて歌が流れます。
“游岐幣邇波<オキヘニハ>袁夫泥都羅羅玖<オブネツララク>久漏邪夜能<クロザキノ>摩佐豆古和藝毛<マサズコワギモ>玖邇幣玖陀良須<ムニヘクダラス>”
と。
このシーンは、普通なら、誰も見ていない仁徳一人のはずでした。ところが、これを、物が影からこっそりと見ていた人がいたのです。それも天皇のごく近くでです。天皇が歌った歌は、咄嗟に、口から出たもので、それほど大きな声である筈がありません。その声が聞けるほど天皇の間近にそっと隠れてその様子を伺っていた人がいたのです。その人は、この歌の中の“摩佐豆古和藝毛”という言葉に、頭の中が真っ白けになったのです。
そうです。この人こそ大后こと「石之日売命」です。足母阿賀迦邇嫉妬<アシモアガガニネタマイキ>して、
“大后聞是之御歌。大忿<オホキサキ コノミウタヲキカシテ、イタクイカリマシテ>となります。
それほど大きく言ったのではなく、大后に聞こえる程度の声で口ずさむ天皇の御歌を大后は聞いたのす。何かそこには策略があったのではないでしょうか。
此の歌も、事前に、天皇は大后が聞くであろうことを想定して作っていたのを、ごく自然のように聞かせたのではないでしょうか。どうすれば、大后の怒りが大爆発でなく、小爆発で終わらせる事が出来るかと。此の度、大后が、どのような処罰を黒日売に与えるか、死をも賜わるうのではないかと、予め、おおよそ見当をつけての事ではなかったかと思われます。そのため、その処罰が出来る限り小さいものにしようと、仁徳天皇お考えになったのではないでしょうか。
そこから彼の戦略が始まったのです。
“游岐幣邇波<オキヘニハ>袁夫泥都羅羅玖<オブネツララク>久漏邪夜能<クロザキノ>摩佐豆古和藝毛<マサズコワギモ>玖邇幣玖陀良須<ムニヘクダラス>”
と。
このシーンは、普通なら、誰も見ていない仁徳一人のはずでした。ところが、これを、物が影からこっそりと見ていた人がいたのです。それも天皇のごく近くでです。天皇が歌った歌は、咄嗟に、口から出たもので、それほど大きな声である筈がありません。その声が聞けるほど天皇の間近にそっと隠れてその様子を伺っていた人がいたのです。その人は、この歌の中の“摩佐豆古和藝毛”という言葉に、頭の中が真っ白けになったのです。
そうです。この人こそ大后こと「石之日売命」です。足母阿賀迦邇嫉妬<アシモアガガニネタマイキ>して、
“大后聞是之御歌。大忿<オホキサキ コノミウタヲキカシテ、イタクイカリマシテ>となります。
それほど大きく言ったのではなく、大后に聞こえる程度の声で口ずさむ天皇の御歌を大后は聞いたのす。何かそこには策略があったのではないでしょうか。
此の歌も、事前に、天皇は大后が聞くであろうことを想定して作っていたのを、ごく自然のように聞かせたのではないでしょうか。どうすれば、大后の怒りが大爆発でなく、小爆発で終わらせる事が出来るかと。此の度、大后が、どのような処罰を黒日売に与えるか、死をも賜わるうのではないかと、予め、おおよそ見当をつけての事ではなかったかと思われます。そのため、その処罰が出来る限り小さいものにしようと、仁徳天皇お考えになったのではないでしょうか。
そこから彼の戦略が始まったのです。