昨日の「奴那登母母由良爾<ヌナトモモユラニ>」について、古事記伝の中で、本居宣長は次のような説明をしております。
『書紀にも「瓊響瑲々」と書かれているが、アマテラスが「玉の音を響かせた」と言うのは、どうも此の事には大いに疑わしき所がある。
「スサノヲ」が「マテラス」の髪に飾ってある「美須麻流珠」を借りて天之真名井に滌<スス>がれるのですが、その時は、その珠がお互いに触れ合って美しい音が出たのは確かですが、アマテラスは弟の剣を三つに折って滌ぐのですから、その剣には珠が付いているはずもなく、音が出るのはおかしいことである。だから、アマテラスが弟の持つ「十拳剣」を滌ぐ時に出たと書いているのは
“誤りだ”』
と、断じております。更に、書紀には、「スワノヲ」が滌がれる時だけ、「珠の触れあう音がした」と書かれていると説明があります。
なお、蛇足ですが「古事記」には
”奴那登母母由良爾振滌天之真名井而佐賀美爾迦美而於吹棄気吹之狭霧”
と、全く同じ文字を使って、姉弟の神に誓う場面(宇気比)を説明しております。