出雲の軍勢に下ることは、越の国にとっては、大変な屈辱なことではありますが、その勢力には如何ともしがたしです。ついに、降伏文章を送りつけます。
「準備も色々とありますから、明日になったら、あなたの兵力を我々越の国に受け入れましょう。どうぞそれまで、明日の夜までお待ちください。」
と。そして
“阿和由岐能 和加夜流 牟泥遠 曾陀多岐 多多岐 麻那賀理”
「沫雪の 若やる 胸を、素手抱き 手抱き 抜がり」と書いてあります。
「沫雪のように、若々しい、これから栄えていくだろう我が国を、どうぞ、ご自由に支配してくださいな。お願いですから、そんなにワイワイと吼えたてて越の人達を驚かさないでくださいよ。私たちは従順にあなたたちに従いますから、八千矛の神の命様よ」
と。
遂に、オホクニに降参しております。出雲の勢力が次第にその力を延ばし、日本海一帯を支配していく過程を、如何も物語風に、書いているだけで、此処の主人公である「沼河比売」も、此処だけの記述で、後々のことは何も書かれてはありません。
それはそれとして、古事記と云う書物は読んでいけばいくほどその内容の深さに驚かされますよね!!!!