朝起きて庭に出ました。何となく美人のカンバセを伺わせるような、そこら辺りを席巻するがごときのたおやかな、何と形容すればいいのか分からないような匂いが立ちこめています。キンコクセイの花がこぼれんばかりにまぶれ付くように咲いております。朝の爽やかな、あるかないかのような風がその匂いを運んでくるのです。半径にすれば2mくらいの範囲にしか届かないような、誠に清心な匂いです。「いいにおい」としか言葉では言い表せない匂いです。詩人は、これをいかなる言葉で言い表わしているのでしょかね。
しばらく、何も考えないで、その香りだけの世界に浸りながら、酔い痴れていました。
朝まだき 山の端よりの 光観え
キンモクセイの 匂い立ちおり おそまつさまで・・・・