私の町吉備津

岡山市吉備津に住んでいます。何にやかにやと・・・

“璵任著”

2019-01-31 09:45:25 | 日記
 従婢<マカタチ>は玉器<タマモヒ>に樹の上の壮夫<オトコ>が唾入れた璵を入れたままで、豊玉毘売の処に急いで持ち帰ります。
 それを古事記には

           “璵任著<タマ ツケナガラ>”


 と書いてあります。宮殿に持ちかえります。すると、その器の中にある璵(勾玉でしょうか??)を見て毘売は、
 「もし誰か門の外に人がいたのですか?」
 と、咄嗟に、尋ねます。すると、従婢は
 「はい。井戸の傍にある香木<カツラ>の木におりました。大変気品のある立派な男の人です。我君(綿津見神)より優れて高貴な壮夫です。」
 と答えます。

 ここを読むと何時も思うのですが、木の上にいた大変イケメンな男性を見た待女は、今までに見たことのある男性といえば年老いた「綿津見神」だけで、若い男の人と対面して、それも話をするなどと云う事は皆無だったのでしょう、見た途端に、その若き男性の姿に一目惚れしてしまってボーっとしてしまい、器の中にある璵も何も見えず、驚きのあまり何もかも忘れて、分別心まで失い、その場にいたたまれず、顔を真っ赤にして、取敢えず、毘売の処に急ぎ立ち返ったと言うのが真実ではないかと?????
 淡い乙女の恋心を、このような文で太安万侶は綴ったのではと思うのですが????。
 そうでなかったなら。器に入った璵が、突然に、とれなくなるなんてことはあり得ないのではとも思われるのですが???
 更に、従婢でありながら、自分の主人である綿津見神とその見知らぬ男性と比べて
  
       “益我王而甚貴<アガキミニ マサリテ イト タウトシ>”

 なんて言葉が飛び出すはずがありません。どんな顔をして毘売に報告したかと思えば何か微笑ましい周りの光(様子)が頭に描かれるのですが???

従婢<マナタチ>は水を・・・

2019-01-30 09:28:18 | 日記
 “乞欲得水”「どうぞ私にその水をください。」
 と、火遠理命はその女性に頼みます。すると、女性は、てっきり、その壮夫<「遠登古<オトコ>」が水を飲むものだと考えて、持ってきた玉器に、なみなみと水を汲んで差し上げます。しかし、差しだされた器を取るとその男性は

        “爾不飲水。解御頸之嶼。口含。唾入其玉器”

 「すなわち、水を飲まず、御頸の璵<タマ>を解き、口に含み、その玉器<タマモヒ>に
 唾入れたまふ」
 のです。この璵<タマ>ですが、どのような物だったか説明がありませんが、勾玉類の物ではと私は思っております。なお、青木繁の絵では火遠理命の御頸にあるのは勾玉です。

           

 その玉器を受け取った従婢<マカタチ>は
    「何て汚い事を」
 と思ったのでしょう、替えされた玉器の中にある璵<タマ>を取ろうとしますが、器の中にくっついていくら引っ張っても取り出せません。仕方がありませんから、そのまま豊玉毘売の所に持って帰ります。

 

“有麗壮夫”とは

2019-01-29 09:47:27 | 日記
 従婢<マカタチ>は、持ってきた玉器<タマモヒ>で、水を汲もうと井戸を覗きます。そこには
         
         “有麗壮夫<ウルハシキオトコ アリ>”

 が水の中に影が映っているではありませか。従婢は大変驚きます。その様子を

         “甚異奇<イト アヤシ>”

 と表わしています。この「異奇」を「異」と「奇」の二つに分けずして、「アヤシ」と宣長は読んでおりますが、それよりも、寧ろ、「ケシク メズラシ」と読み分けた方がいのではと私は思うのですがどうでしょうかね???。・・・・・・おっとと、これ又宣長先生に叱られるかな????

 その時、従婢は、きっと「あっ」と小声を上げたのではと思いますが、その声を聞くと同時に、火遠理命は、咄嗟に「驚かして済まない。」とでも思われたのでしょうか、それとも、早く豊玉毘売にお会いしたいと思ったのでしょか、その女性に声掛けをします。

         “乞欲得水<ミヅヲ エシメヨト コヒタマフ>”
  
 と。「娘さん!!どうぞ驚かないでください。そこにある水を私にくださいませんか。」
 此処ら辺りの古事記の表現の巧みさにも、毎度ですが、驚きながら読み進めております。
  
 「そんなに無理して小間切れにしてまで、知ったかぶりして、解説を付けないで先に進んだら」と云う御意見のあるのは知っておりますが、敢て、書きなぐっております。

        お許しを!!!!!!!!!!!!!

豊玉毘売の従媿が驚きます・・・

2019-01-28 09:17:39 | 日記
 火遠理命が井戸の傍にあった湯津香木に登っていると、そこに宮殿の海神の姫「豊玉毘売」の従媿<マカタチ>(こしもと)が

           “玉器<タマモヒ>”

 を持って、井戸の水を汲みに来ます。
 広辞苑によると、「タマモイ」は「玉盌」で、玉で作った盌(わん)だとでております。昨日見ていただいた青木繁の絵ですが、そこには従媿が持っているのは壺みたいなものが画かれていますが、正式には、盌ですからもう少し浅い水を汲む器ではなかったのではないでしょうかね。宣長も、この玉器について、
 「太古の水汲みは「ツルベ」形式でなく、浅い井戸で、盌で直接にくみ上げるための口の広い器だ。」
 と説明がしてありますが。まあそれは兎も角として、火遠理命は木の上からその従媿を見ております。何も知らない従媿が水を汲もうとして井戸を見ます。そこに

          “於井有光<イニ カゲアリ>”

 です。「光<カゲ>」。そうです。井戸の水の上に人の影が映っています。驚いた従媿は一体誰だろうかと仰ぎ見ます。木の上に

          “有麗荘夫<ウルワシキ オトコ アリ>”
 
 がいるではありませんか。
 古事記には、「荘夫を訓じて遠登古<ヲトコ>と云う」と補足があります。大変凛々しい若い男が、今様の[ikemen」そこにいたのです。

“見相識者也”

2019-01-27 11:39:54 | 日記
 塩椎神<シホツチノカミ>は言います。
 「このまま舟に乗って行きなさい。暫らくすると綿津見神の宮殿につきます。その門の傍に井戸があります。そこにある湯津香木<ユツカツラ>の木に登って待っていなさい。そこの姫様が来て、

         “見相識者也”」

 と。
 <ミテ ハカラムモノゾ>です。「その姫君が木の上の貴方を見つけて、失ったは鉤を見つけてくれる何かよい知恵を与えてくれるはずです。」

 と、教えてくれました。そこで火遠理命は、教えに従って行くと、不思議な翁が云った通りの所に到着し、傍にあった木に登って待つことしばらくと、これまた教えられた通りに、「海神之女<ワタノカミノムスメ>」がやってくるのです。
 
 この話の場面を画家「青木繁」は、次のような絵に描き表わしておりますので見てください。