杜甫がその技巧をこらして書き上げた「麗人行」の最終です。
”御紅巾”で「転」が終わります。何か男女の間の秘められた淫らな空気がそこはかとなく漂っている感じです。でも、杜甫は、ただ、それだけ、それ以上もそれ以下も書き表してはおりません。意味深な表現で終わっております。そして、次に、場面をがらりと転換して、最後の「七言二句」で、この詩を完成さしております。
”炙手可熱勢絶倫" <手を炙らば熱すべし 勢ひ絶倫なり>
「手を炙る」、その人の事をとやかく批判しておれば、「熱すべし」、火傷しますよ。大変なことになりますよ。余りにもその権勢が強大だから。
その勢力を火に例えて歌っているのです。これくらいの意味になりましょうか。
だから、皆さんは、今
” 慎莫近前丞相嗔” <慎んで近前する莫かれ 丞相嗔らん>
知らん顔して、遠くからじっと見つめておればそれでいいのです。あまり近寄りすぎるととんでもない事に巻き込まれますよ。
「君子危うきに近寄らず」ですよ、と警戒を呼び掛けているのです。「丞相」から、この人が「楊国忠」ということが分かります
これで「麗人行」は終わります。
杜甫は、この詩を「起・承・転・結」の文章で書き上げて、玄宗皇帝など、当時の支配体制上層部の体たらくな様子を諧謔的手法で風刺しているのです。そして、その最後の「結」の部分も、やはり「起・承・転・結」で締めくくっております。
もう一度、その麗人行の「結」の部分を挙げておきますので、御読みいただければと思います。名詩中の名詩だと私は思っているのですが。
簫管哀吟感鬼
賓從雜遝實要津
後來鞍馬何逡巡
當軒下馬入錦茵
楊花雪落覆白蘋
鳥飛去銜紅巾
炙手可熱勢絶倫
慎莫近前丞相嗔
長いこと、脱線の「中国四大美女」に付いて見ていただきましてありがとうございました。明日からは、やっと、本題の「古代吉備国三大美女」に入ることができます。
乞う、ご期待!!!
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