病院の一室。
木に止まっている小鳥が鳴く中、明菜は外の景色を何かを探すかのように上の空で眺めていた。たった一人の幼い弟が目の前で交通事故で死んで心にポッカリと穴が開いたのだ。
あの時、死んだのは私の方がいいとさえ思っていた。
そんなある時、隣に頭と腕と片足に包帯を巻いた若い男が入って来た。
名前は難しい字でベッドのネームプレートに書いてあったが明菜は読むことが出来なかった。
その男は馴 . . . 本文を読む
27歳独身。男性。彼女いない歴…大分経った。就職にもついてない。
大学の友達から電話があり、子供が来月生まれると言って結婚したからと言った。
私はハローワークの帰りにそんな事を聞いたので物凄く驚いた。
近くの公園では浮浪者が空き缶を一生懸命集めていた。私は、公園のベンチに座り、彼と彼女との結婚生活についてぼんやり揺れているブランコを見ながら考えていた。
「あなたお帰り。ご飯にします。それ . . . 本文を読む