日差しが落ち着き、涼しい風が木の葉を揺らした。
空中でダンスをしている木の葉を見ていると切なさが胸を掠めていった。
瞳は高校生で、剣道部の先輩に恋をしていた。
内気な性格で今でも告白は出来ないままだった。
先輩が目の前を通り過ぎる度に心がピンボールみたいにはじけていた。
そんな学校の帰り、おばぁさんが大きな荷物を持ってキョロキョロと見回していた。瞳の姿を見ると家を訪ねてきた。
瞳は知 . . . 本文を読む
私の家は喫茶店をしている。
家の前には虹色のパラソルを大きく広げ、その下にはベンチのようなソファのような座る場所がある。
いつも夕暮れになると父が座っている。
杖をついてジョンレノンみたいなサングラスをして帽子をかぶり、堂々とした感じで夕日を眺めている。
首のコルセットが少し痛々しいが、どことなくアルパチーノ演じるゴッドファーザーを感じさせられる。
大きな体を支えるのが辛そうなソファに . . . 本文を読む
日差しが穏やかになり、夜がダンダンと長くなって来た。
コンビニでは、新商品の秋のお菓子が棚に並び始め、私は一人の女の子を待っていた。
一ヶ月ほど前から挨拶をするようになり、世間話しをするようになった。名前も知らないし、年齢も知らない。
結局は何も知らないのだが、無邪気に話しかけてくる。
隣の焼肉屋でアルバイトをしている女の子だ。
いつもオレンジエプロンをしている。
今日も、コンビニの . . . 本文を読む