無精ひげを生やし、ボロボロの服を着たうだつの上がらない男は、土手の川沿いで風景の絵を描いている。
ススキとトンボを描き、橋を後ろに描いている。川も入れるか入れないかどうか考えている。
今日は、日も暗くなったので帰る事にした。
橋を渡ると、目の前に質屋がある。看板は傾き、蜘蛛の巣が窓の外に張り巡らされている。丁度蛾が飛んできて、蜘蛛の巣に引っかかった。その姿を見て、男は社会の縮図だなと感じた . . . 本文を読む
サマーホテル23階の会場で、高校の同窓会があった。30年ぶりに見る顔は、白髪と顔には皺が目立つ同級生が多い。
私は、昔から老けているように見られていたから、今は少しだけ若く見えるのかもしれない。
隣で、ビールを飲んでいるサトルが話しかけてきた。昔は坊主だったが、今は茶髪に染めている長い髪が印象的だ。
「飲んでるか?」
「あぁ、飲んでるよ。」グラスとグラスを重ねた。重ねるときパきっという音 . . . 本文を読む