とある高級ホテルの23階。長いカウンターがあり、高級なお酒が綺麗に並べられている。カウンターの中には二人の若いバーテンダーがグラスを拭いている。
その横では、六人のオーケストラのジャズの生演奏が奏でている。静かなモノトーンの音色に酔いしれているお客達。向かい側には、ガラス窓があり、夜色の中に街の光が映し出されていた。
カウンターの席に座っている綾小路寿久。ピンクのシャツに黒のジャケットで、薔薇の花を一輪胸ポケットにさしている。
「マティーニをワンモアプリーズ。」少し時間より早く来たので、一杯目はあっという間に飲んだ。髪をポニーティールに結んでいる男のバーテンダーに頼んだ。何故英語で頼んでいるのかと首をかしげてるが、受け答えはスムーズだった。
「かしこまりました。」バーテンダーが一礼すると、素早い動きでマティーニを作り、グラスに赤いチェリーを乗せた。コースターを目の前に置き、その上にグラスを置いた。
「サンキューベルマッチョ。」ギコチナイ挨拶をしている綾小路。
慣れない雰囲気を醸し出していたので、隣の髭を生やした初老の男が苦笑していた。
初老の男の姿が気に障ったのか綾小路が「チッ。」と舌打ちをしている。その姿をバーテンダーが目で注意をした。
今日は、ギャンブルをやりに来たのだ。
午前十二時を過ぎるとホテルで眠れないお客たちが集まってきて、バーの隅っこでトランプのポーカーがはじまる。賭けるものは、お金や指輪その他にも、家や土地の権利書。中には、妻や娘等を賭けたりもする。
綾小路は、お金持ちの父親に頼んで、今日は、600万円持って来た。
時計の針が午前0時を指した。
「さてと。」隣でブランデーを飲んでいた初老の男も席を立ち、ホテルの隅にあるテーブルへと移動した。席は全部で5席ある。ディーラーが一人いて、人数は、一つのテーブルに五人だ。
綾小路は、薔薇の花が一輪テーブルの真中にある一つのテーブルの席に目星をつけた。
右から見渡すと、さっきの初老の髭を生やした男性がいる。その隣には、高価な指輪やネックレスをたくさんした40代の女性。隣には、面長なサラリーマン風な30代男性。一番左、私の隣には、赤いチャイニーズドレスを着た美しい女性がいる。細い生足が印象的だ。
綾小路が、隣の席に座ると、チャイナドレスの女性が話しかけてきた。
「あら、素敵な男性が隣なんてついてるわ。」淡いピンク色の唇から吐息が漏れた。仕草も色っぽい。
「こちらこそセニョリータ。こんな素敵な女性がいるなんて、今日は来たかいがあったようだ。」ポケットの薔薇を女性に差し出した。
「ありがとう。」と言って、テーブルに置いた。
さっきのバーテンダーに指で合図をして、マティーニを二つ頼んだ。ポニーティールのバーテンダーは、素早い動きで横にある小さいテーブルに二つ置いた。
「どうぞ。もう三杯目だけど、ここのマティーニはうまいよ。」綾小路が一口飲んだ。
「ありがとう。」女性は、グラスの上のサクランボを口に運ぶと舌の上で転がした。
その様子を見ていたディーラーが「それでは、集まりの皆様はじめましょう。」と言って、カードが五枚配られた。
初老の男が配られたカードを見てニヤッと笑った。いいカードが来た様子だ。隣の女性は、眉毛をへの字に曲げたので、あんまりよくなかったようだ。
「今日はついてないようだわ。全部コール。」と言って女性がカードを全部変えた。
綾小路は、自分のカードをこそっと見ると、8の2ペアだった。この手で勝つには、やはりもう一度コールをしなくてはならない。「コール。」と言って三枚カードを変えた。
ディーラーの透き通る目がカードの暗雲を分けているみたいだ。
カードを見ると8が三枚になった。これで勝てる。一通りコールが終わり、初老の男からカードが開かれた。ロイアルストレートフラッシュだ。次に40代の女性がカードを置いた。3のツーペアで、サラリーマンは、キングのスリーペアだった。チャイナドレスの女性は、「私は、ブタだったわ。」と言って、カードを雑に置いた。その後、持っている煙草に火をつけた。
「8のスリーペアでーす。」綾小路もテーブルにカードを置いた。
そのカードを見るなり、初老の男が「私の勝ちのようだな。」と呟いた。
40代女性は、指のダイアモンドをはずして、初老の男に渡した。サラリーマンも現金を十万円渡している。チャイナドレスの女性は、「私はお金がないから。」と言って、椅子から降りると、手をスカートの中に入れ、無造作にピンクの下着を脱ぎだした。
チャイナドレスからスルスルと落ちるピンクのパンツそれを初老の男に出した。
綾小路が「うひょー。俺が欲しいくらいだ。」と叫んだ。
「わしがそんな物が欲しいと思うのかい?」初老の男が持っているステッキを二回たたいて、静かに答えた。
「しょうがないな~。俺が立て替えておこう。」600万円が入った封筒の中から、綾小路が初老の男に現金を二十万円渡した。
「ありがとう。やっぱり私の目に狂いはなかったようだわ。」と言って、綾小路のホッペにキスをした。
「ウフェフェ。もうポーカーなんて、どうでもよくなりそう。ちょっと、俺と部屋に行かないかい?」
「もちろん。いいわよ。」チャイナドレスの女性が呟いた。ディラーに一時休戦と伝えて、女性を連れていく。
「まったく最近の若い者は。」初老の男が笑った。その姿を見送り、チャイナドレスの女性と自分の部屋へと向かう。
部屋に入り、女性に濃厚なキスをする。さっき飲んだマティーニの甘い味がした。
「ダメ。先にシャワー浴びて。」甘い声で囁く。
「そうなの。先にシャワー浴びてくるかー。」綾小路が服を脱ぎシャワー室に入る。鼻歌を歌う綾小路。
その姿を見ていた女性は、脱ぎ散らした綾小路のジャケットから、580万円が入った封筒をバッグに入れ、そのまま、部屋を出て行った。
「男って本当馬鹿なんだから。」
綾小路が、シャワー室を出ると女性の姿が見当たらない。
「まったく。逃げた魚は大きいかな。」煙草を取り出し、火をつけて、椅子に座る。ホテル窓から見える夜景に煙を吐いた。煙が瞬く間に夜景に吸い込まれていくようだった。
サングラスに帽子を被った足が細い綺麗な女性がタクシーに乗り込む。
運転手に「駅までお願い。」と言い、バッグの中からさっきの封筒を開けた。
「何これ。」古い新聞紙が580枚束ねてある。
一枚ずつ捲ると、コースターが出てきて、携帯番号と「さっきの続きをしようぜー。」と添え書きがしてあった。
「もう、本当に馬鹿な男だわ。」笑って、運転手にもう一度ホテルに戻るように促した。
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その横では、六人のオーケストラのジャズの生演奏が奏でている。静かなモノトーンの音色に酔いしれているお客達。向かい側には、ガラス窓があり、夜色の中に街の光が映し出されていた。
カウンターの席に座っている綾小路寿久。ピンクのシャツに黒のジャケットで、薔薇の花を一輪胸ポケットにさしている。
「マティーニをワンモアプリーズ。」少し時間より早く来たので、一杯目はあっという間に飲んだ。髪をポニーティールに結んでいる男のバーテンダーに頼んだ。何故英語で頼んでいるのかと首をかしげてるが、受け答えはスムーズだった。
「かしこまりました。」バーテンダーが一礼すると、素早い動きでマティーニを作り、グラスに赤いチェリーを乗せた。コースターを目の前に置き、その上にグラスを置いた。
「サンキューベルマッチョ。」ギコチナイ挨拶をしている綾小路。
慣れない雰囲気を醸し出していたので、隣の髭を生やした初老の男が苦笑していた。
初老の男の姿が気に障ったのか綾小路が「チッ。」と舌打ちをしている。その姿をバーテンダーが目で注意をした。
今日は、ギャンブルをやりに来たのだ。
午前十二時を過ぎるとホテルで眠れないお客たちが集まってきて、バーの隅っこでトランプのポーカーがはじまる。賭けるものは、お金や指輪その他にも、家や土地の権利書。中には、妻や娘等を賭けたりもする。
綾小路は、お金持ちの父親に頼んで、今日は、600万円持って来た。
時計の針が午前0時を指した。
「さてと。」隣でブランデーを飲んでいた初老の男も席を立ち、ホテルの隅にあるテーブルへと移動した。席は全部で5席ある。ディーラーが一人いて、人数は、一つのテーブルに五人だ。
綾小路は、薔薇の花が一輪テーブルの真中にある一つのテーブルの席に目星をつけた。
右から見渡すと、さっきの初老の髭を生やした男性がいる。その隣には、高価な指輪やネックレスをたくさんした40代の女性。隣には、面長なサラリーマン風な30代男性。一番左、私の隣には、赤いチャイニーズドレスを着た美しい女性がいる。細い生足が印象的だ。
綾小路が、隣の席に座ると、チャイナドレスの女性が話しかけてきた。
「あら、素敵な男性が隣なんてついてるわ。」淡いピンク色の唇から吐息が漏れた。仕草も色っぽい。
「こちらこそセニョリータ。こんな素敵な女性がいるなんて、今日は来たかいがあったようだ。」ポケットの薔薇を女性に差し出した。
「ありがとう。」と言って、テーブルに置いた。
さっきのバーテンダーに指で合図をして、マティーニを二つ頼んだ。ポニーティールのバーテンダーは、素早い動きで横にある小さいテーブルに二つ置いた。
「どうぞ。もう三杯目だけど、ここのマティーニはうまいよ。」綾小路が一口飲んだ。
「ありがとう。」女性は、グラスの上のサクランボを口に運ぶと舌の上で転がした。
その様子を見ていたディーラーが「それでは、集まりの皆様はじめましょう。」と言って、カードが五枚配られた。
初老の男が配られたカードを見てニヤッと笑った。いいカードが来た様子だ。隣の女性は、眉毛をへの字に曲げたので、あんまりよくなかったようだ。
「今日はついてないようだわ。全部コール。」と言って女性がカードを全部変えた。
綾小路は、自分のカードをこそっと見ると、8の2ペアだった。この手で勝つには、やはりもう一度コールをしなくてはならない。「コール。」と言って三枚カードを変えた。
ディーラーの透き通る目がカードの暗雲を分けているみたいだ。
カードを見ると8が三枚になった。これで勝てる。一通りコールが終わり、初老の男からカードが開かれた。ロイアルストレートフラッシュだ。次に40代の女性がカードを置いた。3のツーペアで、サラリーマンは、キングのスリーペアだった。チャイナドレスの女性は、「私は、ブタだったわ。」と言って、カードを雑に置いた。その後、持っている煙草に火をつけた。
「8のスリーペアでーす。」綾小路もテーブルにカードを置いた。
そのカードを見るなり、初老の男が「私の勝ちのようだな。」と呟いた。
40代女性は、指のダイアモンドをはずして、初老の男に渡した。サラリーマンも現金を十万円渡している。チャイナドレスの女性は、「私はお金がないから。」と言って、椅子から降りると、手をスカートの中に入れ、無造作にピンクの下着を脱ぎだした。
チャイナドレスからスルスルと落ちるピンクのパンツそれを初老の男に出した。
綾小路が「うひょー。俺が欲しいくらいだ。」と叫んだ。
「わしがそんな物が欲しいと思うのかい?」初老の男が持っているステッキを二回たたいて、静かに答えた。
「しょうがないな~。俺が立て替えておこう。」600万円が入った封筒の中から、綾小路が初老の男に現金を二十万円渡した。
「ありがとう。やっぱり私の目に狂いはなかったようだわ。」と言って、綾小路のホッペにキスをした。
「ウフェフェ。もうポーカーなんて、どうでもよくなりそう。ちょっと、俺と部屋に行かないかい?」
「もちろん。いいわよ。」チャイナドレスの女性が呟いた。ディラーに一時休戦と伝えて、女性を連れていく。
「まったく最近の若い者は。」初老の男が笑った。その姿を見送り、チャイナドレスの女性と自分の部屋へと向かう。
部屋に入り、女性に濃厚なキスをする。さっき飲んだマティーニの甘い味がした。
「ダメ。先にシャワー浴びて。」甘い声で囁く。
「そうなの。先にシャワー浴びてくるかー。」綾小路が服を脱ぎシャワー室に入る。鼻歌を歌う綾小路。
その姿を見ていた女性は、脱ぎ散らした綾小路のジャケットから、580万円が入った封筒をバッグに入れ、そのまま、部屋を出て行った。
「男って本当馬鹿なんだから。」
綾小路が、シャワー室を出ると女性の姿が見当たらない。
「まったく。逃げた魚は大きいかな。」煙草を取り出し、火をつけて、椅子に座る。ホテル窓から見える夜景に煙を吐いた。煙が瞬く間に夜景に吸い込まれていくようだった。
サングラスに帽子を被った足が細い綺麗な女性がタクシーに乗り込む。
運転手に「駅までお願い。」と言い、バッグの中からさっきの封筒を開けた。
「何これ。」古い新聞紙が580枚束ねてある。
一枚ずつ捲ると、コースターが出てきて、携帯番号と「さっきの続きをしようぜー。」と添え書きがしてあった。
「もう、本当に馬鹿な男だわ。」笑って、運転手にもう一度ホテルに戻るように促した。
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大人の危険な賭けですね!
綾小路くん上手くいって良かった。
20万と引き換えなら口説かれてみたいかも(笑)
20万円でいいんですかー?って、例えですよねw
綾小路くんこれからどうなっていくのでしょうね。
続きが気になる所ですが、なさそうな気もします。(笑)
頑張って、楽しいブログを書いていければいいですね。