日差しが穏やかになり、夜がダンダンと長くなって来た。
コンビニでは、新商品の秋のお菓子が棚に並び始め、私は一人の女の子を待っていた。
一ヶ月ほど前から挨拶をするようになり、世間話しをするようになった。名前も知らないし、年齢も知らない。
結局は何も知らないのだが、無邪気に話しかけてくる。
隣の焼肉屋でアルバイトをしている女の子だ。
いつもオレンジエプロンをしている。
今日も、コンビニの . . . 本文を読む
夜の街にネオンが点く頃、私はコンビニのバイトに入る。
風俗で働いている人や、スナックで働いている人がここのコンビニを利用する。
ヤクザなんて毎日来るし、ホストもやって来る。
私がコンビニのレジに立っていると、米米クラブの一員のような体格はごつくて、うっすらと化粧をしたおじさんが栄養剤を買っていった。またヤクザだろう。
黒いスーツに身を包んだホストもよく来る。
夜中なのにサングラスをかけ . . . 本文を読む
次の仕事が決まるまでの間、コンビニで深夜バイトをする事が決まった。
都会のど真ん中にあるコンビニだ。
昼は人通りが少ないが、夜になると明々とスナックや風俗店が開き始め、隣にはラブホテルが立ち並んでいる。
目の前には、背が小さくて、気さくなおじさんが経営している居酒屋があり、その隣には、すし屋がある。
コンビニの隣は、焼き肉屋があり、結構夜遅くまでどこの店も開いていた。
私がコンビニのシ . . . 本文を読む
秋から冬へと変わる骨の髄から冷たくなる様な雨が降り、北風が吹いていた。
午前5時30分。外は、まだ薄暗く、飛行機すら飛んでいない。空港の警備会社に入って、かれこれ二ヶ月経とうとしていた。寮から空港まで20分くらいかかり、空港から私が勤務している第2ターミナルまで10分だ。空港も広いから大変である。
手と手をこすり合せ、寒さをこらえ、縮こまり、飛行機を見ながら歩いていた。 飛行機は遠くから見た . . . 本文を読む
キッチンの漫画の絵を描いている男の人がいるのだが、従業員の似顔絵を書いていて、驚くほど似ていて、面白かった。
私の同じ時間帯にバイトに入る少女漫画家の女の人と文句を言い合うのも楽しかった。映画の話しや女心や男心について語っていたような気がする。
昼は、高校の非常勤講師をして、夜は、ファミレスのバイトをしていて、精神的にも肉体的にもきつかったのだが、帰る時のそんな一時の時間、控え室でみんなと話 . . . 本文を読む
非常勤講師を辞めたくてしょうがなかった。
高校生からふられて、他の先生からも変な目で見られ、生徒の信頼も失っていた。好きな生徒との電話代が月に5万円もかかっていて、お金が底をついた。姉からも借金をしていて、大学の友達にも40万円ほど借りていた。
私は最悪な男だ。
大学の頃は、毎日の様にギャンブルにハマっていて、授業をサボり、むさぼるようにパチンコ、スロットをしていた。目の色も輝きを失い、不 . . . 本文を読む
部屋の掃除をしていると、押入れの奥の方から綺麗なビー玉がコロコロと転がって出てきた。ビー玉を見ていると、お嬢様といわれていた女の子を思い出した。
私が小学三年生の頃、近くの公園で男友達三人と野球をしていた。野球とはいっても、ピッチャーとキャッチャーとバッターで分かれて遊んでいた。
私が打席に立って、おもいっきりバットを振ったら、ボールにあたり、大きな塀を越えて家の中へと入っていった。みんなは . . . 本文を読む
今日、高校の頃の女の友達から久しぶりに電話がかかってきた。
「元気?」明るい声に私も元気が出た。女の子から久しぶりに電話がかかって来たので、うれしかった。
この彼女は、高校の頃よく遊んでいた唯一の女友達だった。
彼女はAクラスの学級委員で私はBクラスの学級委員だった。学級委員の集会があって、知り合ったのだ。
その時に、彼女と目と目が合って、話してみて気があった。
好きとか嫌いとかじゃな . . . 本文を読む
私が二回目の恋をしたのは、高校生の頃だった。彼女はバスケット部で、クラスの人気者だった。いや、学校中の人気者だったかもしれない。
私は、その彼女とは三回しか話した事がない。
一回目は、後輩のクラスに遊びに行っていた時の事、バスケットの勧誘に来ていたのだ。彼女はバスケットのユニホームを着ていた。さわやかで、ショートカットが印象的だった。私はその姿を見て恋をしたのだ。なんて素敵な人なのだろうと心 . . . 本文を読む
大学三年の冬。そろそろコタツがいる頃かなと思う時期にメル友を友達から紹介してもらった。私の為にわざわざ紹介してくれたので、断る理由も見つからなかった。次の日に紹介してもらった。最初はうまい具合にメールしていた。
「今何してるの?」
「買い物」
「どこで?」
「デパート」たわいもない会話を一ヶ月くらいしていた。
だんだんとメールで親しくなって、会おうということになった。それから、電話をし . . . 本文を読む
私は毎日、ゲームセンターに通っていた。ゲームセンターのお姉さんに会うためだ。黒髪のショートカットがよく似合っていて、外人みたいに目も大きかった。
「こんにちわ。今日も来てたね。」私と会うとお姉さんはいつも話しかけてくれるのだ。
「うん。」お姉さんと通りすがる時、石鹸の甘い香りが漂っていた。私は石鹸の香りとお姉さんが大好きだった。私の初恋の人でもある。
ユーホーキャッチャーでヌイグルミが取れ . . . 本文を読む