仕事帰りにスーパーに立ち寄り、ケーキを眺めていた。
チョコレートケーキやチーズケーキ、モンブランまである。
まったく、どれでも一緒に見えるが、美穂のやつはどれが好きだったか、忘れてしまった。
悩んでいると、目がクリッとした可愛い女の店員がチーズケーキがオススメだと言っていたので、すぐに買ってしまった。
「ただいま。」
「あら、お帰りなさい。早かったのね。」美穂が玄関にトボトボと歩いてき . . . 本文を読む
悟と朋美はいい関係を続けて三年が経とうとしていた。
真夏の暑い午後、大事な話しがあると言って、朋美が悟を部屋に呼んだ。
部屋に入ると朋美はこの世の終りみたいな深刻な顔をしていた。
悟が「どうかしたのか。」と聞くと、「私、妊娠したの。」と言葉を探すように答えた。
悟は一時考えて、「俺、絶対朋美を幸せにするから生もうぜ。」と呟くと同時に朋美は泣き出した。
「実は悟の子供じゃないんだ。」部屋 . . . 本文を読む
私の可愛い妻が浮気をした。
私が出張から家に帰ってくると、違和感があり、妻を呼んでも誰も出て来なかった。寝ているのかなと思い、廊下をゆっくりと歩いていると、散らばった服と下着があり、ただ事じゃないなと思って、寝室のドアを開けた。
ベッドには、知らない男と可愛い妻が寝ていた。
私は夢かと思い一度ドアを閉めて、外に出た。
ホルモンのバランスが悪いのか。仕事の疲れなのか。怒りが込み上げてきた。 . . . 本文を読む
テーブルを囲んで家族三人で朝食を食べていた。
旦那が新聞を広げて、テレビを見ていた。私の隣には、高校生の長男タケルがご飯とおかずを交互に食べている。
私は、じっと二人の顔を見ていた。
テレビのニュースで話題の芸能人が結婚したと流れていた。
旦那は、「へぇー結婚したんだ。」とタケルに話しかけると、また新聞を読んでいた。
「お父さん。やっぱり好きなんだ。」沈黙が少し流れた後、タケルが答えて . . . 本文を読む
この気持ちは何年ぶりだろうか。
私が恋人になりたいと思う女の人が目の前にいる。私のすぐ隣にいる。彼女の顔を見ると、せつなくて、ただ胸が押し潰されるくらいに苦しくなる。
彼女は私の顔を見ると、すぐ笑う。私の顔がおかしいのか。恥しいのか。ただいつもクスクスと笑っている。
彼女の笑顔が素敵すぎて、私にはもったいない。
笑顔を見ていると、今日一日の嫌な出来事が吹き飛ぶ、永遠に見ていたいが、私が目 . . . 本文を読む
テーブルを囲んで5.6人男女向き合うように座っていた。私は今お見合いパーティーに来ている。今年30歳で小さな工場で働く私には出会いが少なかった。 私のタイプは、背が高くてモデルみたいな女の人が好きなのだけれども、選んでいる場合ではなかった。
現実を見ようと思い、勢いで出会いを探す為に、お見合いパーティーに申し込んだのだ。
経費は3000円でフリードリンク付きで、お互い気に入らなかったらすぐ . . . 本文を読む
「五年後。クリスマスイブの午後8時にここで逢おう。」夜景が見えるビルの30階のレストランは、イブという事もありジャズの生演奏があっていた。クリスマスのメロディが居心地良かった。彼氏が急に海外に出張する事になり、五年間も離れ離れになる事を話していた。
「わかったわ。あなたを信じて待ってるわ。」お互い結婚してなかったら、またこの店で午後八時に逢うという約束を交わした。私達が色々と悩んでの結果だった . . . 本文を読む
毎日、子供が泣いている。朝から晩まで泣いている。何をそんなに泣いているの。私が泣きたくなった。
旦那は、会社へ行っていつも家にいない。家に帰ってきたらきたで「メシ、フロ、ネル」の言葉しか言わない。
休みの日は、会社の上司の接待役。ゴルフや飲み会に行っている。私を構ってくれない。いつ構ってくれるの。セックスは、三ヶ月していない。時々、家族を捨てて逃げたくなる時がある。
一人ボンヤリと洗濯物を . . . 本文を読む
ジッポライターを取り出して、カチッとすばやくタバコに火をつけた。そのしぐさが渋い。一つ一つの仕草が絵になる。
カウンターで一人タバコを吸っている男がいた。タバコを一息吸い、煙を吐き出し、グラスに入っているブランデーを一口飲んだ。
私は絵のような男の姿に見入ってしまった。アルマーニのスーツをバシッと着て、スラットした体格で、目が二重だった。
その男はマスターに語りかけていた。ユーモアを交えて . . . 本文を読む