一人暮らしをして、一週間が経った。明日晴れるという事で、溜まっていた洗濯物をコインランドリーに持っていき、大きな洗濯機の中へと投げ込んだ。
金額は300円。機械に入れると、ウィーンと音と共にシャカシャカと回りだした。一週間の汚れが洗い流されて、私も気分がよかった。私の人生もそんな風に洗ってくれたらいいのだがと思った。
洗濯機が回っている間、暇なので浅田次郎の小説を読むことにした。
私が読ん . . . 本文を読む
テレビもない。ラジオもない。布団もない。お金もない。仕事もない。保険証もない。帰る家もない。会社をリストラされ、私はとうとうホームレスになってしまうのだろうか。
目の前で、ダンボールを広げ、空き缶が無造作に横に積み上げられ、髪は伸び続け、真っ白な髭も髪以上に伸び、泥だらけの素足の老人がニヤッと私の方を見て笑っていた。
私に何か囁いている様に感じた。「こっちへおいで居心地がいいよ。」と言ってい . . . 本文を読む
秋から冬へと変わる骨の髄から冷たくなる様な雨が降り、北風が吹いていた。
午前5時30分。外は、まだ薄暗く、飛行機すら飛んでいない。空港の警備会社に入って、かれこれ二ヶ月経とうとしていた。寮から空港まで20分くらいかかり、空港から私が勤務している第2ターミナルまで10分だ。空港も広いから大変である。
手と手をこすり合せ、寒さをこらえ、縮こまり、飛行機を見ながら歩いていた。 飛行機は遠くから見た . . . 本文を読む