サンタクロースが今にも目の前を通り過ぎていきそうな夜。行きかう人は何かを忘れているかのような錯覚をして、この年が無事に過ごしてきた事を感じる。
準は、小さな白いショートケーキを買った。
亜矢子とクリスマスを祝う為だ。時間通りに彼女はやってくる。歯医者が終るのが8時で、心の準備をする時間はタップリあった。
今日こそは、亜矢子に告白をすると準は密かに思っていた。
BARのドアが開くチリンチリ . . . 本文を読む
北風が通り過ぎていく。紅葉が色づく並木道を通り、鉄平は大学の学園祭のステージで熱唱していた。
駅で歌っていた甲斐もあって、先輩からバンドをするからボーカルしないかと誘われてこうやって歌う事が出来た。
歌手になる夢の前座だと思えばやる気が出た。
鉄平が歌を歌い終わると拍手が鳴り止まないくらいに凄かった。思ったよりお客のウケがよかった。
アンコールをもう一曲歌って、鳴り止まない拍手の中ステー . . . 本文を読む