恋愛ブログ

世にも不思議な物語。
出会いの数だけドラマがある。
一日一話愛の短編物語。
〜ショートストーリー〜

8.お風呂屋さん ⑤

2019年03月13日 | お風呂屋さん
 傾き剥げた駐車場の看板が取り外された。  昨年の大きな台風が二回きて、お風呂屋の屋根が半分飛ばされて、穴がぽっかりと開いている。  上を見ると、大きな穴から空が見えてる。夜は星が見えて、望遠鏡でもあったらなと、神秘的な感じもするが、雨の日は、最悪で、滝のように風呂の方へと雨が流れ込んでくる。  雨をモップで奥にやるのが来てからの仕事である。  それから、フロントに立っていると、券売機の横に「今月 . . . 本文を読む

20.お風呂屋さん ④

2018年04月15日 | お風呂屋さん
 今日も、お風呂のフロントに立っていると、おかしな客が入ってきた。  券売機の前に立ってて、ずっと指と券売機を見ている。  女の人で、歳は40代後半だろうか。黒い長い髪、鼻の所に大きなほくろがある。  物まねタレントのコロッケが真似をするちあきなおみに少し似ている。  30分~1時間たっても、券売機の前から動こうとしない。何をそんなに悩んでいるのだろうか。  「ここのボタン押すんですよね。」女の人 . . . 本文を読む

19.お風呂屋さん ③

2018年03月29日 | お風呂屋さん
 私が温泉施設のフロントに立っていると色々なお客さんが通っていく。  二階に行く階段があるのだけど、初めての若い大男のお客さんで、お金を財布に入れようとして、下ばかり見ていて、階段の角で、思いっきり頭をぶつけた。  ドォォォンっという音が温泉施設中に響いたので、それは痛かっただろうと思ったが、そのまま暖簾をくぐったところで、早足で、フロントに戻って来て、「ワオッ血が流れてきた。」と頭から血が滝のよ . . . 本文を読む

18.お風呂屋さん ②

2018年03月18日 | お風呂屋さん
 私がお風呂のフロントに立っていると、ザンバラな白髪で、白雪姫に出てきそうな70歳くらいの魔女が話しかけてきた。  お風呂の入浴券が毒リンゴに見えた。  そのおばさんは、家のドアで中指をザックリ切って、12針縫っていた。  フロントで、ずっと話しかけてくるから、めんどくさい。  「指をお湯につけると、血が出るからつけられない。」といって指を見せる。先週も同じ話を聞いている。  「そうなんですね。気 . . . 本文を読む

17.お風呂屋さん ①

2018年03月11日 | お風呂屋さん
 8号線の道路に入り込むと、パチンコ屋があり、信号機がある。信号機を右に曲がり、小さな道路を進むと、ローソンがあり、目の前に古びた温泉施設がある。  剥がれた看板は傾き、夜になると電球は、片方しかついていない。大通りから見たら電球が消えているので、お風呂がいつも閉まってると勘違いをされてお客さんから怒られる。  脱衣室では、雨になると滝のように雨漏りがして、清掃スタッフが「バケツ、バケツ。」と呟き . . . 本文を読む