中学校の校舎が取り壊しになる事を聞きつけ4人が集まった。
私とタカシとアカネとユリだ。
それぞれ家族があり、集まるのは25年ぶりの事だった。
校庭に入ると桜並木があって、その近くにはチューリップを植えた小さな畑があったが、まだ咲いてはいなかった。
昨日から降っていた雪がうっすらとだが積もっていて、運動場に真っ白な空間が出来ていて、四人の足跡がついた。
一時の間、古びた校舎を眺めていた。 . . . 本文を読む
寒い中、悴む手をこすり合わせて橋の上で女の子が待っていた。フサフサの帽子をかぶって首にはトランプの様な柄のマフラーをしていた。手には綺麗に包装してあるチョコレートを持っていた。
誰にあげるのだろうと横を通ると女の子が笑顔で近づいてきた。
「すみません。」
「えっ。」まさか私にだとは思ってもいなかったので驚いた。
「今日バレンタインデーなのでもらってくれませんか。」
「別にいいですけど、 . . . 本文を読む
部屋の窓から外を見ると、天気がよくて、猫が欠伸をして暖かそうだった。
おばぁさんは朝の買い物に行く準備をしていた。
その姿を見ていたら無性に外に出かけたくなった。
「私も一緒にいく。」と言うとおばぁさんは子供の様にはしゃいだ。
化粧をしてふさふさの帽子をかぶり、玄関で「はい、これ。」とか細い声で白い杖を渡された。
これがないと歩くのも億劫になった。
脳梗塞で倒れ、体の左側だけどうして . . . 本文を読む