ジメジメとした梅雨が終わると、入道雲がモクモクと上がり、蝉の声が聞こえてくる夏になるのだった。
白の半そでにチェックのミニスカートの学生服を着ているよりこは、学校の帰り、コンビニによってファッション雑誌を立ち読みした。木村タクヤが表紙でかっこよかったので目についたからだ。
大人の恋愛について書かれてあった。
私にはよくわからないと雑誌を置き、一通りドリンクまで一周して、何も買わずにコンビニ . . . 本文を読む
純は、朝は高校の非常勤講師をしている。大学の頃に国語の教員免許を取っていたからだ。近くにある高校に一日2、3時間の授業を受け持っている。子供が好きだという事と、教師に憧れを抱いていた事が関係があるのかもしれない。
夜になると実家がBARを開いている事もあり店を手伝っていた。
夜の7時から開くBARは、長いカウンターがあり、店内では静かなジャズが流れていた。親父がジャズが好きなので、流している . . . 本文を読む
私は、その女性を何度も見ている。
ある時はカフェで、ある時は橋の上で、またある時は、駅のホームで見つける。 私の幻影なのか、実物なのか分からない。もちろん名前も住所も分からない。そんな事お構いなしに君は素敵だった。
茶色のロングスカートをヒラヒラさせて、ジージャンを羽織っていた。カフェでは小さい本を読んでいた。時々涙ぐむ姿に私は好きになっていった。春風のように爽やかだった。
私が仕事に行く . . . 本文を読む
夜の街。夜になると周りの電気が明々と点きはじめ、風俗、スナック、居酒屋などの店が開き始める。
酔っ払ったサラリーマンが昼間の鬱憤を晴らす為にフラフラと店の前を歩いている。ぼんやりとした光が天国の入り口と勘違いしているのかもしれない。
ミニスカートを履いた若い女性が客寄せで店の前で呼び込みをしている。
「ねぇオジサン。遊んでいかない。」
「おじ様。いい男だね。私とどう?」虚ろな目で呼び込み . . . 本文を読む
「えっと私どもは結婚を前提にお付き合いする人の為に出会いを提供している会社でして、お互いのデータを採取してですね。性格など合いそうな人と人とを結びつける。出会い系サイトみたいなグループです。ただ、これだけは分かってほしいのは、お互いが気に入る確立が98パーセントですよ。この前だって、貧乏な女性がいまして、何でもホストに金を使って、借金を返せなくてどうしようかと悩んでいました所、私どもが紹介した歯 . . . 本文を読む
幸一は、金が有り余っていた。
仕事が軌道に乗っていた。父が歯科医で私も歯科医になり患者も多かった。
金は、腐るほどあるのだが、ただ一つ難点をあげれば彼女がいなかった。周りは歯科助手など美人が多いが、どうせ金目当てだと思うとやる気がおきなかった。
そんなある時、BARで黒服の男と出会った。
私が飲んでいると、足音も立てずに近寄ってきて、「お一人ですか?」と聞いてきた。私は女性の事で苛立って . . . 本文を読む