不器用な陽一は、仕事もろくに出来なくて、女からいつも振られていた。
寒い雪が降りそうなクリスマスイブ。
近くの店からはクリスマスソングが流れていた。君とは友達として付き合っていたが、今夜なら好きだと言う事を伝えられそうな気がしていた。
君は眠たそうな顔をして、ダボダボの灰色のセーターを着て、白いマフラーをしていた。
「ごめん。急に呼び出して。」
「別にいいけど。どうしたの?」長い袖の中 . . . 本文を読む
12月24日。クリスマスイブだというのに彼女に仕事が入った。
町の商店街を抜け、人通りが少なくなる通りにある小さなBARで彼女と待ち合わせをしていた。
このBARは、お洒落で老若男女に人気があった。マスターは30歳くらいの男性で、温かく味がある人だ。
「いらっしゃいませ。」私がドアを開けると、声優のような甘い声で迎えてくれる。
「彼女と待ち合わせをしてて、ひとまず一人でお願いします。」私 . . . 本文を読む