福ちゃんの散歩道

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“アシアナはどこへ、吹き荒れる韓国航空大再編”のニュース‼️

2020-06-02 10:50:00 | 飛行機の話題(乗り物ニュース)

アシアナはどこへ、吹き荒れる韓国航空大再編
6/2(火) 5:25配信
東洋経済オンライン

世界では、国を代表する航空会社が新型コロナウイルスの拡散によって経営に直撃弾を受けている。航空業界は今後、大規模な再編が行われそうだ。

 韓国の航空業界でも、アシアナ航空の買収に名乗り出ていたHDC現代産業開発(HDC)が買収を断念するとの見方が出ている。今後、アシアナ航空が買収されるかどうかで、韓国航空業界の再編の方向性が決まる。買収されれば、大韓航空とアシアナ航空による大手航空会社の二強体制が維持される。

 しかし、買収されなければ、大韓航空一強体制へと変わる可能性が高い。格安航空会社(LCC)の中では、財務状態が良好なジンエアーが生き残る確率が高いものの、ティーウェイ航空とエアプサンは年内いっぱい持ちこたえることができるか疑問符がつけられている。

アシアナ買収で「二強体制」に

 航空業界の関係者らの意見を総合すると、HDCがアシアナ航空を買収するかどうかで意見が分かれている。アシアナ航空のメインバンクであるKDB産業銀行が、HDCが満足できる破格の交渉条件を提示すればアシアナ航空は買収されるという見方が多い。

 その一方で、新型コロナが航空業界に与えた危機的な状況を考えれば、買収しないというシグナルをHDCが発しているとみる意見も少なくない。

 HDCが買収すれば、現在の大韓航空とアシアナ航空の二強体制は維持されそうだ。この場合、アシアナ航空の子会社であるLCCのエアプサンは分離・売却される可能性が高い。買収後にアシアナ航空へ数兆ウォンの資金を投下しなければならず、それを考えるとエアプサンまで抱え込むのは厳しいためだ。
 エアプサンは2019年から業績不振が続いている。同年に元徴用工問題や貿易規制問題が発生して日韓関係が緊張し、韓国では日本製品の不買運動が発生。そのあおりを受けて日本路線の旅客が急減したためだ。同社の2019年の営業損失は378億ウォン(約33億円)。ハン・テグン社長が2019年10月の記者会見で、「日本が変わらなければ危機を打開する策はない」と発言したほどだ。

 2020年には新型コロナの影響が重なり、状況は手がつけられないほど悪化している。2020年1~3月期の営業損失は385億ウォン(約34億円)なのに対し、現金および現金同等資産は99億ウォン(約8億6000万円)しかない。すでに債務超過状態だ。
韓国の公正取引法による規制もある。持株会社体制にあるHDCがアシアナ航空を買収すれば、アシアナ航空はHDCの孫会社となり、エアプサンはひ孫会社となる。公正取引法に従えば、アシアナ航空はエアプサンの発行済み株式の100%を買い入れないといけないが、そこまでHDCが抱え込むことができるかは疑問だ。現在、アシアナ航空が保有するエアプサンの保有率は44.17%だ。

 エアプサンが放出されるとなれば、大韓航空が買収する可能性もある。現在、イースター航空買収を進めているチェジュ(済州)航空がエアプサンを買い入れる可能性は低い。もちろん、航空業界以外からエアプサン買収に名乗り出る企業があるかもしれないが、買収後のシナジー効果などを考えると、既存の航空会社が買収する可能性が高いだろう。

アシアナ買収不発なら業界再編へ

 HDCがアシアナ航空の買収を断念すれば、航空業界の再編も急スピードで進むだろう。KDB産業銀行が現状のままでアシアナ航空の売却を進めるのは難しいだろう。新型コロナで航空業界の厳しさが増している中、アシアナ航空の新たな買い手を探すのは至難の業だ。航空業界周辺では、「KDB産業銀行がアシアナ航空の売却に失敗すれば、アシアナ航空の合理化やリストラを進めざるをえなくなるだろう」との声が多い。

 KDB産業銀行がアシアナ航空のリストラを進めた後にエアプサンを分離・売却し、同じアシアナ航空子会社のエアソウルの清算手続きに入るという見方もある。航空業界関係者は、「アシアナ航空の財務状態と航空業界の危機的状況を考えると、KDB産業銀行によるアシアナ航空売却はとても難しい。KDB産業銀行からすれば、アシアナ航空の企業価値を引き上げるために大規模なリストラに着手するほかない。この過程で、競争力が激しく下落しているエアソウルは清算手続きを進める可能性がある」という。

 エアソウルの2019年末時点の資本総額は57億ウォン(約5億円)のマイナスであり、債務超過状態だ。

 HDCがアシアナ航空を買収しなければ、韓国航空業界は大韓航空とアシアナ航空の二強体制から大韓航空の一強体制へ変わる可能性が高い。大韓航空が分離売却されるエアプサンも買収すれば、ジンエアー、エアプサンを合わせた「LCC連合」を保有する企業集団になる。現在、大韓航空が長距離路線で圧倒的競争力を確保しており、一強体制となれば、中短距離をはじめ、あらゆる目的地への需要を満たす航空会社が生まれる可能性が出てくる。
韓国LCCの代表格であるチェジュ航空は、これまで進めてきた同じLCCのイースター航空の買収をあきらめないだろう。HDCとチェジュ航空は、アシアナ航空とイースター航空をそれぞれ買収する予定日をそろって延期した。しかし、両社の事情はまったく違う。

 「HDCは買収するかどうかで苦悩しているが、チェジュ航空はイースター航空の買収を悩んでいない。チェジュ航空が株式取得日を延期したのは、同社が納得できるだけのイースター航空のリストラがなされていないためだ」(航空業界関係者)

 イースター航空の株式取得日を変更した理由について、チェジュ航空は「株式売買契約の先行条件が満たされていないため」としている。チェジュ航空とイースター航空の事情に精通している関係者は、「チェジュ航空は以前から、イースター航空の買収を打診していた。仁川国際空港など主要空港のスロット(1時間当たりの航空機運航可能回数)が飽和状態であり、既存事業者を買収することでより多くのスロットを確保するためだ」と指摘する。

買収の狙いはドル箱・中国路線

 一部では、「チェジュ航空は中国路線を将来のドル箱路線として重要視しており、中国路線の運航権を確保しているイースター航空を買収するのは自然な流れ」という声も聞かれる。実際に、イースター航空は韓国の仁川国際空港と済州国際空港からの上海路線を確保している。さらに5月15日には韓国・清州(忠清北道)から上海と張家口(河北省)の運航権を得ている。

 チェジュ航空は中国市場を将来の成長市場とし、韓中間の「完全航空自由化」(オープンスカイ)が必要だと主張してきた。韓中間でオープンスカイが成立すれば、中国の航空会社の低価格攻勢にさらされるという声が多いものの、チェジュ航空は「オープンスカイはさらに拡大されるべき」と主張している。

 チェジュ航空の経営母体の1つであるAKホールディングスのイ・ソクチュ代表は、チェジュ航空社長時代の2018年3月、韓国と中国の全面的なオープンスカイについて「リスクでもありチャンス」と述べたことがある。イ代表は「中国という巨大な需要がある国を見過ごしたり、そこでの競争を恐れるようであれば、収益性のある成長はどうやって得るのか」とさえ述べた。チェジュ航空がイースター航空を買収すれば、韓国では初の「メガLCC」が誕生する。
 チェジュ航空を除く韓国LCCのうち、ジンエアーは生き残る確率が高いとみられている。一方、ティーウェイ航空は意見が分かれる。2019年3月に運航免許を得たフライ江原やエアロK、エアプレミアなど新規LCCが生き残る可能性は薄い。

 2020年3月末のジンエアーの現金・現金同等資産は2070億ウォン(約181億円)。チェジュ航空は680億ウォン(約60億円)であり、ティーウェイ航空は334億ウォン(約29億円)にすぎず、債務超過状態だ。フライ江原も2019年末時点で債務超過に陥っている。「航空会社が持つ現金と財務状態などを見ると、ジンエアーを除いたほかのLCCは年内もたない」(航空業界関係者)。

■年内もたないLCCが続出するか

 韓国政府は大韓航空、アシアナ航空など大手航空会社中心の業界支援を発表したが、これもLCCの生存可能性が低いためとされている。

 韓国政府は5月20日に国内基幹産業の支援を決定し、借入金が5000億ウォン(約437億円)以上、従業員数300人以上の航空・海運企業を支援すると発表した。大韓航空やアシアナ航空、チェジュ航空、エアプサンなどを除く残りのLCCは支援対象にならない。

 韓国政府は2020年2月、緊急運営資金として国内LCCに3000億ウォン(約262億円)を支援したが、これ以上の支援は考えていないようだ。

 韓国航空大学経営学部のホ・ヒヨン教授は、韓国政府による大企業中心の支援について、「基礎体力が弱いLCCが他の航空会社に吸収、あるいは清算されれば、大韓航空など大企業中心による業界再編が進む」と指摘する。

 また、世宗大学経営学部のファン・ヨンシク教授は「各国の航空業界を分析すれば、韓国には大手航空会社が1社、LCCは2~3社程度で十分だ。HDCがアシアナ航空買収を放棄するとなれば、大韓航空一強体制での業界再編が進むだろう」とみている。(韓国「中央日報エコノミスト」2020年6月1日号)

一方で運航再開の動きが
韓国航空業界が活路模索 大手は来月から国際線運航を一部再開
5/19(火) 10:15配信
聯合ニュース

【ソウル聯合ニュース】新型コロナウイルスの感染拡大の影響で運休や減便が続き1~3月期の業績が大幅に悪化した韓国の航空各社が、立て直しに向け動き出す。フルサービスキャリア(FSC)は貨物輸送に力を入れる一方、国際旅客便の運航を一部再開する構えだ。

 大韓航空は来月、米ワシントンとシアトル、カナダのバンクーバー、トロントの各路線の運航を50日ぶりに再開する。これで110の国際線のうち32路線(週146往復)を運航することになる。アシアナ航空も来月から国際線13路線の運航を再開する予定。全73路線のうち実際に運航する路線は27路線(週110往復)に増える。

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による混乱が続く中、国際線の旅客需要が速やかに回復しないとしても、出張などのビジネス需要と貨物需要を期待し、先手を打つ。

 一方、これまで供給過剰の状態にあり、値引き競争が激しかった格安航空会社(LCC)は、新型コロナウイルス禍収束後の戦略に頭を悩ます。現在の対応としては、各国の入国制限措置の緩和などを期待し、一部の路線で予約を受け付けている。

 最大手のチェジュ航空は、新たにアシアナ航空出身の専門家をトップに迎え入れた。イースター航空の買収や財務構造の改善などで陣頭指揮を執るとみられる。ただ、航空業界全体の打撃は深刻で、買収による相乗効果がどれほど得られるかは未知数だ。

 昨年下半期に国際線でシェア2位に浮上したティーウェイ航空は、他社との差別化を図るために中長距離路線に注力する計画で、その機材を導入する準備を進めている。

 だが、旅客需要は容易には戻りそうにない。証券アナリストは「感染状況が安定し、国際線運航が元に戻ってようやく、航空輸送各社の売上高が上向き始め、株価も上昇する」とし、感染状況が鍵を握るとの見解を示した。


韓国エアライン

大韓航空
大韓航空 Boeing 747-8 (HL7609)

大韓航空グループ LCC
ジンエアー Boeing 777-200 (HL7743)


アシアナ航空
アシアナ航空 Boeing 747-400 (HL7418)

アシアナ航空グループLCC

エアソウル Airbus A321 (HL8281) 


エアプサン Airbus A321 (HL7735)






LCC

チェジュ航空 
Boeing 737-800 (HL8031)


イースター航空 (チュジュ航空買収交渉中)
Boeing 737 MAX 8 (HL8340)
★MAX8運航していた





ティーウェイ航空 
Boeing 737-800 (HL8294)



既存 韓国のLCC6社
(エアプサン・エアソウル・ジンエアー・イースター航空・チェジュ航空・ティーウェイ航空)
に挑む
新興LCC 2社

7社目のLCC

韓国新LLCのフライ江原、7月にベトナム3都市へ新規就航



8社目のLCC
エアロK




FSC 2社
LCC 8社
10社が生き残るのは国際線しかなないけど・・・
これは
韓国だけの問題ではない

韓国国内空港
人口
約51百万人

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船はどうやって進む?現在のプロペラに至るまでのあゆみ〜櫂と櫓の違い? 船はすぐに止まれない・・お話‼️

2020-06-02 00:10:00 | 船のお話も面白い🛳⚓️🚢

船にズブの素人 ネットで見てみた❗️

船の推進器のあゆみ
船はどうやって進むのでしょうか
古代の船では、櫂かいや櫓ろなどの長い木の板を使って人の手でこいでいました。
『人力で船をこぐ!櫂(かい)と櫓(ろ)の違い』・・下記
やがて18世紀には、帆を張り、風の力で船を進めるようになりました。
陸で蒸気機関が発明されると船にも適用され、外輪と呼ばれる車輪を回して走るようになりました。
1826年になると、チェコとオーストリアの発明家Joseph Resselさんによってプロペラが製作されました

プロペラが普及したきっかけ
プロペラができたころはまだ外輪船が主流で、
本当にプロペラが推進効率が良いのか疑われていました。
たしかに、当初のプロペラはネジのような形をしたもので、
なにかと不十分な点が多く、取り入れられませんでした。
しかし1835年、ある事故がきっかけでプロペラが大きく発展します。
イギリスの Francis Pettit Smithさんは、
運河で2ピッチ分のネジ型プロペラをつけたボートをテスト走行させていました。
するとテスト中にブレードが破損してしまい、1ピッチ分だけが残ったにもかかわらず、
これまでより速く進んだのです!これがきっかけで現在のような形へと進化していきました。



また、同時期の1845年、2隻のイギリス艦艇を使った実船実験が行われました。
どちらも蒸気機関で、1隻はプロペラをつけたRattler号、もう1隻は外輪をつけたAlecto号でした。
なんと、この2隻の船尾どうしをロープでつなぎ、引っ張り合いをしたのです。
結果は、プロペラをつけたRattler号のほうが2.5ノットの速さで引っ張り、勝利しました。
この実験以来現在に至るまで、プロペラは最も優れた推進器とされ、開発が続けられることとなります。


現在の推進器
現在の推進器はプロペラをベースとした以下のものが主流です。

1.スクリュープロペラ (Screw propeller)
日本語では「螺旋らせん推進器」と呼び、固定ピッチプロペラと可変ピッチプロペラに分かれます。
固定ピッチプロペラの場合はプロペラの羽とボスが固定されていますが、
可変ピッチプロペラの場合は羽のピッチ角を変えることができます。
前進させている船を後進させるためには、
固定ピッチプロペラの場合は、プロペラ正回転→停止→逆回転をしなければなりませんが、
可変ピッチプロペラだと、プロペラ正回転のままでピッチを逆に変えるだけで後進状態になるため、
より短時間で船を停止させたり後進させたりすることができます。
関連記事:『船は急には止まれない(プロペラ逆回転 vs 旋回)』・・・下記)

2.ウォータージェット推進器(Water Jet Propulsion)
船底からポンプで水を吸引し、船の後ろに向けて水を噴射する勢いで進む方式。
通常のスクリュープロペラに比べると推進効率は悪く、価格も高くつきますが、
一式セットで売られているのを簡単に装備できるというメリットがあります。
また、船の方向は噴射するノズルの角度を変えればよいため、舵も不要となります。
小型高速船にはよく使用されています。
実はウォータージェットでも噴射ノズルの内部にプロペラのような羽が入っているんですよ

3.フォイトシュナイダープロペラ(Voith-Shneider propeller)
円型の装置からいくつかの翼が垂直に装備された推進器で、
それらが回転することで推進力を生み出す複雑な推進器。
各翼の迎角を変えることができるため、細かい推進性能に優れており、
タグボートなどに使われていることがあります。
しかし、構造が複雑なうえに高価で、ロープなどをひっかけやすいということもあり、
最近ではポッド型プロペラに置き換わりつつあります。



4.ポッド型プロペラ(Azimuth thruster)
ポッド型プロペラは、別名アジマススラスターなどともいいます。
azimuthというは”全方位の”、thrusterは”推進器”という意味です
通常のプロペラは船体に固定されているため、方角を変えるときは舵を使いますが、
ポッド型プロペラはそれ自体が360℃回転するため、
舵が不要で細やかな動きも可能になります。大型客船や砕氷船などに用いられています

以上

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人力で船をこぐ!櫂(かい)と櫓(ろ)の違い
人類が船というものに乗り出した頃、推進器はまだ無く、人力でした。
それには櫂(かい)と櫓(ろ)という2種類の細長い道具が使われていました。

櫂(かい):(オール)
古代遺跡などにも登場するのが、(かい)と呼ばれる木の長い棒です。
中国の河姆渡遺跡かぼといせきから完全な形の櫂が発掘されたことがあります。
また、紀元3000年代、古代エジプト・メソポタミアでは壁画にしっかりと描かれています。
はじめは、こぎ手が船の進行方向を向いて座り、
棒の先に幅広い板がついたような櫂で水を押して進むスタイルでした。
やがて、こぎ手が船の後ろを見て座り、船のふちに櫂の支点を固定して、
より細長い櫂(これが英語でいわゆる、”oar(オール)”です)
を引っ張るこぎ方のほうが効率がよいことが判明し、
外航用大型船はみなこのスタイルになりました。
押すより引くほうが確かに効率は良さそうなのが想像できますね。
それにしても、人力で外航までしていたとは驚きです

櫓(ろ)
一方、櫓ろというのは東アジアを中心に使われてきました。
櫓は主に船尾に取り付けます。複数ある場合は左右にとりつけるケースもあります。
空中にでている部分を櫓腕ろうで、
水中に沈めて推進力を生み出す部分を櫓脚ろあし(または櫓羽、櫓べらなどとも)、
櫓ろを船のふちに固定する支点となる穴を入子いれこといいます。
櫓脚の断面は片面がふくらんでいて今でいう”翼型”のような形状だったため、
左右に動かす際、少しひねりを加えることで揚力が生まれ、推進力を生み出していました。
したがって櫂かいよりも推進効率が高く、
西洋に比べて体が小さいアジア人にとっては知恵を絞った道具だったのかもしれませんね。


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船は急には止まれない(プロペラ逆回転 vs 旋回)
船にブレーキはありません。
では止まるときはどうするのかというと、プロペラを逆回転させる必要があります。
(可変ピッチプロペラの場合はプロペラピッチをマイナス側へ変えます)
しかし、プロペラを急に逆回転させるとエンジンに負荷がかかるため、
燃料の送り込みを停止してしばらく遊ばせたあと、
回転数が落ちてきたところで逆回転させます。
そんなことをしているうちに、大型船だと2km、3kmも進んでしまいます。
船は急には止まれないのです。

衝突回避はプロペラ逆回転か、旋回か
広い海を高速で走る船の場合、
衝突を回避するにはプロペラ逆回転で停止するよりも旋回するほうが有利になります。

プロペラ逆回転による停止距離は長く、かつ蛇行する
舵を切っておらず直進状態でプロペラ逆回転をしても、
右回りプロペラの場合、船が左舷方向に蛇行してしまう傾向があります
また、プロペラ逆回転のほうが停止までの距離が非常に長く、
結果進路を大きく外れてしまうことになるのです。

アドバンスとトランスファー
プロペラ逆回転にて停止することを「後進全力停止」
または「危急停止ききゅうていし」(英語ではCrash-Stop)といいます。
一方、旋回のほうは英語でTuringまたはHard Port Turningなどといいいます。

それぞれ操作をしてから横に進む距離をトランスファー(Transffer)、
前方に進む距離をアドバンス(Advance)と呼びます。

では実際の航跡を見てみましょう。



船が16ノット(約30km/h)程度で走っていたとすると、
旋回した場合はトランスファーが約900m、
アドバンスが約900mでおさまっています。

一方、後進全力停止の場合は、トランスファーが約2.2km、
アドバンスが約2.8kmにも達してしまっています。
明らかに、
後進全力停止のほうが進路を大きく外れてしまうことがわかりますね。
(ただし、浅い海や狭い領域などの制限水路においては旋回ができない場合があるので、
そのときの操作方法を十分に検討することが重要です。)

これらの航跡は船の形や大きさによっても変わってくるため、
造船所では引き渡し前に必ず試運転に出て、
後進試験や旋回試験などを実際の海で行います。


低速状態ならば後進全力停止が有利
上の船の場合の、船の速度とアドバンスの関係を表したグラフがあります。
これによると、約6ノット以下では旋回よりも後進全力のほうがアドバンスが小さくなっています。
すなわちこの船の場合は6ノット以下ではプロペラ逆回転をしたほうが早いということがわかります。


おまけ
~錨をおろすのは危険な最終手段~

よく船を止めるのに錨を下せばいいのでは?という意見を聞きますが、これは最終手段です。
なかなかスピードがおさまらない船にとって急ブレーキをかけることは不可能であり、
錨を下ろしたところでチェーンが引きちぎれたり、
片方の錨だけ効いて船が回ってしまったり、
全く効かなかったりすることがあります。
危険なので、錨に頼るのは最後の最後ということになります。

以上