KDDI、ポヴォを開始半年で見直し 「官製プラン」に区切り
日経ビジネス記佐藤 嘉彦
KDDIはオンライン手続き専用のプラン「povo(ポヴォ)」について、プラン内容を刷新すると発表した。
契約できるデータ容量が月20ギガ(ギガは10億)バイトに限られていたが、幅を広げる。
ポヴォは菅義偉政権の発足後に慌てて始めた「官製プラン」。
菅首相の退陣を見計らったかのように、3月のサービス開始から半年で見直す。
ベースプランの月20ギガバイトというものが、お客様にとって柔軟性を損ねているのではないかと考えた」。
ポヴォのサービス企画子会社、KDDI Digital Life(東京・千代田)の秋山敏郎社長は9月13日、「ポヴォ2.0」の発表会でこう述べた。
現行のポヴォは月20ギガで2728円(税込み)のプラン1本のみ。
通話し放題など複数あった「トッピング」と呼ばれるオプションを追加する方式のサービスだった。
9月末で受け付けを終了し、新たに同月内からポヴォ2.0を提供する。
基本料金はゼロ円で、契約者が好きなようにデータ容量を選んでトッピングする形へと大きく変わる。
7日間1ギガまで使える390円のトッピングから、180日間150ギガまで使えて1万2980円のものまで5種類のトッピングを用意した。
データ容量を使い切るか、期限が切れたら、新たな容量をアプリで買い足す仕組みだ。
KDDIが主力と見込むのは、90日間使える60ギガ(6490円)、180日間150ギガのトッピングという。
1カ月当たりに換算すると前者は20ギガ、後者は25ギガをそれぞれ約2163円で利用できる計算になる。
現行のポヴォより安い事実上の値下げで、楽天モバイルとほぼ同水準に設定されている。
このほかに、購入から24時間に限りデータ容量が無制限になるトッピング(330円)などもある。
例えば、テレワークが中心で普段は自宅の固定回線を使っている人なら、
外出時だけ、24時間使い放題のトッピングを購入することが可能だ。
実態に合っていないプラン
必要なデータ容量を買い足す「オールトッピング」へとコンセプトを大きく変える背景には、
秋山社長の言うように月20ギガのプランが利用実態に合っていなかったことが挙げられる。
月20ギガのオンライン手続き専用プランは、NTTドコモが20年12月に「ahamo(アハモ)」を発表したことを皮切りに、
ソフトバンク、KDDIが雪崩を打つように投入した。
しかし、MM総研(東京・港)によると、21年5月時点でスマートフォンの月間データ通信量は平均8.72ギガ。
月3ギガ以下が全体の6割弱を占め、7ギガ以上通信する利用者は25%にとどまった。
多くの利用者にとって月20ギガは使い切ることができない。
だが、菅政権は月20ギガバイトに焦点を当て、通信業界に値下げを迫った。
「影響を及ぼしたのは、総務省が毎年3月に調査している内外価格差調査」(業界関係者)。
調査では東京やニューヨーク、ロンドンなど6都市の料金が比較され、対象となるのは月2ギガ、5ギガ、20ギガの3プラン。
通信大手の料金プランを比べると、20年3月時点では日本は20ギガで最も高かった
結果として料金引き下げ競争が起き、20ギガでは前年の6877円から2973円へと大幅に低下。
ロンドンに次ぎ2番目に安くなった。
KDDIにとってこの競争が悩ましかったのは、
安さを前面に出すサブブランド「UQモバイル」を持っていることだった。
UQのプランも値下げした結果、ポヴォの契約数は現在90万件にとどまる形となっている。
20ギガプランの一択では、消費者を囲い込めない――。
ある程度は事前に予想されたことが、今は現実となっている。
菅首相の退陣を見計らったかのように、KDDIは「官製プラン」見直しを発表した。
2.0が当初目指していた形
発表されたポヴォ2.0は、KDDIが当初、目指していた「サブブランド」としての携帯サービスの形に近い。
原型となるコンセプトは、デジタルネーティブ世代に向けたオンライン特化型MVNO(仮想移動体通信事業者)だ。
20年夏に企画され、同年11月にKDDI Digital Lifeを設立。
この分野で先行するシンガポールのMVNO、サークルズライフと提携した。
ところが武田良太総務相が同月、携帯値下げはメインブランドで実施されるべきだとの考えを強調し、
KDDIはポヴォをMVNOでなくauのプランとした。
今回の新プランの発表を見ると、当初のコンセプト通り、サブブランドの位置付けに戻ったと言える。
ポヴォのロゴマークの下に入っていた「on au」の文字は「2.0」に代わり、
auの料金プランであることは表立ってうたわれていない。
現行のポヴォはauのSIMカードがそのまま利用できたが、2.0では交換が必要になる。
ポヴォが初めてお披露目された21年3月の発表会では、KDDIの高橋誠社長がプレゼンテーションしたが、
今回はポヴォ2.0のパートをKDDI Digital Lifeの秋山社長にバトンタッチ。
協業しているサークルズライフの共同創業者、アビシェック・グプタ氏がビデオメッセージを寄せた。
高橋社長は発表会で、現行のポヴォが付け焼き刃的なサービス内容だったのではないかと問われ
「付け焼き刃でつくったわけではない」と、
政府の圧力でポヴォを提供し始めたことは表向き否定した。
同時に「従前から申し上げている通り、
事業者同士の競争によって結果的にサービスが良くなっていくと考えている」と語り、
政府の介入をけん制した。
事実上の値下げとなるが、高橋社長は「ポヴォ2.0が大きな減収減益につながるとは考えていない」と語った。
今回、スポーツ専門の動画配信サービス
「DAZN」がデータ容量無制限で見放題になるトッピング(7日間760円)を用意したように、
選べるトッピングを充実させ、得られる収入を増やしていきたいようだ。
高橋社長は「これまでは契約を締結してもらうところまでに重点を置いていたが、ポヴォでは契約後、
アクティブに使ってもらうための継続的なアプローチが重要になる。そこに力を入れる」と強調した。
菅首相の退陣後、新たな経済政策への期待などから日経平均株価が上昇し、
通信銘柄についても値下げ圧力が緩まるという見方から押し上げられた。
ただ、一度下げた料金を再び上げるわけにはいかない。
収益を増やすためには、利用が急増する動画を安く視聴できるなど、魅力的なトッピングの追加が欠かせない。
KDDIはトッピングという方式で日本の通信市場に新たな競争軸をつくり出せるのか。これからが本番となる。
了
携帯料金値下げに影響は? 菅首相退陣に業界安堵 総務省は予防線
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楽天モバイルのワンプランがやはり一番安くて分かり易い
POVO2も
使い方次第でメリットはあるけど
①音声通話のみでカケホーダイをつかう場合・・550円か1650円
②時折のネット利用で7日間か3GでOKの場合・・390円か990円
③大容量のネット利用の場合、1ヶ月に割り戻すとメリットがある
povo2.0のデメリット
①:povo1.0よりもプランが複雑になった
povo2.0は自由度が非常に高いプランになりましたが、
それによって逆にpovo1.0のときよりも料金プランが複雑になったと思います。
スマホ料金プランのことをいろいろと考えられる方なら、
povo2.0は非常に使い勝手の良いプランだとは思いますが、
そうでない人からすると使いにくいプランになってしまう可能性があります。
povo2.0のデメリット②:
データ容量0GB時の通信速度が最大128kbps
povo2.0ではデータ容量0GB時の通信速度が最大128kbpsになっており、
最大1Mbpsだったpovo1.0のときよりもかなり遅くなっています。
データ容量を使い切ってしまってもデータ容量をチャージして使わない方にとっては、デメリットになります。
povo2.0のデメリット③:
povo2.0に移行したらpovo1.0には戻れない
povo1.0はpovo2.0のサービス開始と同時に新規受付が終了となってしまうので、
povo2.0に一度移行してしまったらpovo1.0に戻ることができません。
現在povo1.0を契約している方で、povo2.0に移行する方は注意しましょう。
povo2.0のデメリット④:
povo2.0移行の際にSIMカードの変更が必要な場合がある
povo1.0を利用中のユーザーがpovo2.0に変更する場合とauからpovo2.0に変更する場合、
SIMカードの変更が必要になります。
SIMの変更する手間が発生してしまうのはデメリットです。
povo2.0のデメリット⑤:
キャリアメールが使えない
povo2.0は、キャリアメール非対応のため、auメール(@au.com/@ezweb.ne.jp)が使えません。
auメールを使っている方は、Gmailやヤフーメールなど他のサービスで代用する必要があります。
povo2.0のデメリット⑥:
手続きはすべてオンライン
povo2.0の申込み・手続きは全て「povo」専用サイトから申し込む必要があります。
すべてオンラインでやらないといけないので、慣れていない方は注意が必要です。
まとめ:povo2.0は上級者向け
本記事ではpovo2.0のプラン内容、povo1.0との比較、メリット・デメリットを解説しました。
povo2.0は月額基本料0円のベースプランを契約し、10種類のトッピングを自分の用途に合わせたプランを作ることができます。
こまめにトッピングを購入していくことが面倒でない方にとっては、非常に便利なプランだと思います。
ただ、そういったことが面倒だと感じる方にとってはちょっと使いづらいプランかもしれないなと感じました。