14日(米国時間)に発表された米アップルの最新スマホ「iPhone13」で、注目されたのは端末の価格だ。国内向けは8万6800~19万4800円(税込み)と、2020年発売の「12」シリーズより最も安い機種で約4000円、最も高い機種で約2万9000円高い設定となった。高機能化や大型化により、端末の最高価格はこの10年で3倍に上がった。日本人の平均月収の約6割に迫る「高級品」だが、日本はiPhoneのシェアが約半分という世界でも特異な市場となっている。
「価格は引き続き、僅か699ドルからです」。日本時間の15日未明、アップルの担当者はオンライン発表会で、iPhone13の最低価格が12と変わらないことを強調した。ただ、その後日本版のサイトに表示された最低価格は8万6800円と、12の発売時より4520円高くなっていた。為替の影響もあるとみられるが、国内消費者の支払う金額が上がったことには変わりない。
米調査会社IDCによると、国内向けのスマホ市場でアップルがトップに立ったのは12年。11年発売の「iPhone4S」からソフトバンクに加えてKDDI(au)からも購入できるようになり、一気に利用者が増えた。シェアで富士通、シャープなどの国内メーカーを抜くと、14年以降は50%前後のシェアを維持し、アップル1強が続く。
その間、毎年出す新製品の端末価格は上昇を続けた。「4S」の価格は16GBで4万円台、64GBでも7万円台だったが、消費増税もあり、18年発売の「XS」「XR」シリーズは、9万~17万円台と倍増した。廉価版の「SE」を除けば米国での価格も上がっている。「13」では上位機種「ProMax」で新たに投入した1TB(テラバイト)のモデルが1599ドルと過去最高だった。
世界の先進国を見渡せば、経済成長やインフレで物価も収入も伸びてきた。1人当たりの名目国内総生産(GDP)で米国は、19年に約6万5000ドル(約720万円)と10年比で35%増えた。低成長から抜け出せない日本は、19年に443万円と増加率は13%にとどまる。
厚生労働省が毎年公表する賃金構造基本調査でもフルタイム労働者の残業代を含む賃金は20年に月33万600円と10年比で2%しか増えなかった。その結果、月の賃金に占めるiPhone端末価格の割合は、10年の最大19%から59%に上昇した。
家計のスマホ費用、10年比で3倍
一方、スマホ端末の家計負担は増している。総務省の20年の家計消費状況調査によると、「スマホ・携帯電話本体」にかける費用は1世帯平均で年間1万4200円。19年比で12%増え、項目名が「移動電話機(携帯、PHSの本体価格と加入料)」だった10年と比べると3.2倍だ。米グーグルのOS「アンドロイド」のスマホも高級機種が多く登場していることに加え、「実質ゼロ円」での購入が難しくなったことも影響した。
スマホが高額化すれば、1台を使う期間も延びる。内閣府の消費動向調査では、スマホを含む携帯電話の平均利用年数は21年に4.3年と、10年から0.9年伸びた。NTTドコモモバイル社会研究所が21年に行った消費者調査でも、スマホ1台の平均所有期間は1年11カ月と、16年の調査から5カ月伸びた。
世界のスマホOSは安価な端末が多いアンドロイドが8割以上だ。IDCの調査では、21年4~6月のメーカー別のシェア1位は韓国サムスン電子で18.8%、2位は中国小米(シャオミ)で、アップルは14.1%の3位にとどまる。収入は増えず、端末価格は上がる一方なのに、なぜ日本で「iPhone1強」が続くのか。IDCジャパンの井辺将史マーケットアナリストは人気の高さを「アップルのブランド力と国内の通信キャリア側の努力が大きい」とみる。
国内ではスマホ端末の販売も通信会社が担ってきた。各社は顧客獲得のため、端末価格を大幅に割り引き、通信料に上乗せする戦略を長年とってきた。スマホ普及期に「実質ゼロ円」など、消費者の負担感を抑えることで、比較的高額なiPhoneのシェアは高まった。一度iPhoneユーザーになれば、使い勝手が異なるアンドロイドに移行するハードルは高い。各社は同じiPhoneで買い替えを促す「囲い込み」を進めた。
ガラパゴス市場の末路
現在は国の意向で端末の割引額は上限2万円に設定されているものの、大手キャリアは下取り前提で端末代を48カ月の分割払いとするなど、少しでも高さを感じさせないよう必死だ。21年からNTTドコモの「アハモ」など、各社が割安な通信プランの提供を始めた。通信料が下がればその分、高額な端末代の負担感は薄れそうだ。
最近はソニー、シャープなど国内メーカーも高級機種に力を入れている。米国の対中制裁の対象となった華為技術(ファーウェイ)の失速後も、OPPO(オッポ)、シャオミなど中国勢は高性能のスマホを割安な価格で続々投入している。調査会社のBCNでスマホの販売動向を担当する大蔵大輔さんは「このまま端末価格が上がり、日本の相対的な豊かさが下がり続けると、どこかで限界がきて、iPhoneの競争力は落ちるだろう」と話す。
かつて日本の携帯電話は「iモード」をはじめハード、ソフト両面で独自の進化を遂げた結果、世界市場と切り離された「ガラパゴス」と揶揄(やゆ)された。スマホという大きな環境変化に直面したが、国内メーカーは適応できず、海外から来たiPhoneに敗れてシェアを落とした。高級なiPhoneが「背伸び」して購入され続ける現状は、 別の選択肢で消費者をひきつけられなくなったガラパゴス市場の末路を示している。
(伴正春)
iPhoneやMacBook Proなどの新製品が発表されるAppleイベントやデベロッパー向けWWDCを速報レビュー。イベントでのCEO発言や内容から浮かぶAppleの動向などを分析・解説した記事を掲載します。
iPhone13の販売価格は各社微妙に違う
1例を見てみよう
現金一括価格の比較だ
割賦販売の元値なのだ
複雑なのは各社割引や各種キャンペーンで
目先が惑わされる
iPhoneの平均保有期間が4年前後を考えて
ベストは何処か
アップル直販店が最も安い
次いで楽天モバイルとなる
問題は販売の仕組みだ
キャンペーンの仕組みを精査しておかなければバカを見る
ソフトバンク・KDDI・docomo
24ヶ月〜残額支払い免除・・・・これがやばいと思う
端末返却条件となる。(返さないケースもあるらしいけど高い)
いわば、Mobileレンタルの様に感じるけど・・・レンタル代??
通信サービスもキャリア指定条件ではないかなぁ?
悩ましいところだ
アップル直販・楽天モバイル がいいかなぁ
特にiPhoneは2回線収容(eCIM利用)できるので
1回線は楽天モバイルを利用がいいかなぁ
もう1回線はpovo2かUQモバイルかYモバイルか?
通信費は大幅削減となると思う
あくまでも、個人的な感覚ですけど・・・
ささやか抵抗ですけど(笑い
アップル直販価格(SIMフリー)