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トランプ新政権は20日、「経済協力開発機構(OECD)を中心とした国際課税ルールをアメリカには適用しない」とする大統領覚書(効力は大統領令と同じ)に署名しました。

 

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国際課税ルールとは、2021年に130カ国・地域が国際的な法人税の最低税率を「15%以上」とすることで大枠合意したもので、IT企業など多国籍企業への「デジタル課税」の導入も含まれています。

 

OECDは近年では「格差是正」を標榜する国際機関と化し、「格差是正を進めれば、経済成長は活性化される」とまで分析しています。法人税の最低税率やデジタル課税の導入もその一環です。

 

バイデン前政権も格差是正を図る目的で国際課税ルールを声高に推進していましたが、米国内の反対も根強く、米議会では承認されていませんでした。新政権の財務長官候補のスコット・ベンセット氏も16日、15%の最低法人税率について「ひどい政策であり、撤回する」と主張していました。

 

そうした中、トランプ氏が大統領令に署名し、国際課税ルールからの離脱を表明。覚書では、「前政権の下で支持されたOECDの課税合意は、外国の権限が米国民の収入に及ぶことを認め、わが国の税政策の実施を制限する」「(適用を除外することで)米国の主権や経済的な競争力を取り戻す」としています。

 

これを受けて、フランスやドイツなど15%の最低税率を導入した国々は、税率の低い米国企業に「上乗せ徴収」する可能性がありますが、覚書はそうした対応を「報復的」とみなし、対抗措置の検討も示唆しています。

 

覚書の背景には、バイデン前政権が進めてきた左翼的な国際協調路線によって、アメリカが不利益を被ってきたことに対し、米保守派を中心に不満の声が上がっていたことがあります。

 

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