日米首脳会談、ひとまず成功裏に終わる 「日米の新たな黄金時代」を拓くには、石破政権は対中国で方向転換が必要
2025.02.08(liverty web)
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日米首脳会談で握手を交わす石破首相とトランプ米大統領(画像はトランプ氏のトゥルース・ソーシャルへの投稿より)。
《ニュース》
訪米した石破茂首相は現地時間7日、首都ワシントンD.C.のホワイトハウスでトランプ米大統領と初めての公式会談を行いました。石破氏はトランプ氏が就任後に対面で会う2人目の外国首脳となりました(1人目はイスラエルのネタニヤフ首相)。
《詳細》
石破氏は会談の冒頭、「日本とアメリカは今、非常に緊密な関係にあるが、それは全て1期目のトランプ政権でトランプ大統領と、今は亡き安倍元総理大臣との2人によって礎が築かれた」と指摘。今後も力を合わせ、さらに世界が平和になり、人々が夢と希望をもって生きていくことができるよう努めていきたいと語りました。
さらに「トヨタ自動車の豊田章男会長は、トランプ大統領が再び就任することを心待ちにしていた」と述べた上で、トヨタや大手トラックメーカーのいすゞ自動車がアメリカで新たな工場の建設を計画していることなどを説明。日本の対米投資は世界最大規模であり、アメリカの雇用創出に貢献していると伝えました。
トランプ氏は会談の冒頭、「私は来週、他国と互恵的な貿易を行うことについて発表する予定だ。貿易だけではなく、他にもいろいろなことを発表するつもりだ」と述べ、新たな関税政策を打ち出すことを示唆しました。この対象国に日本が含まれているかは不明です。また対日貿易赤字を縮小し、対等な関係にしたい旨を語りました。
少人数での会談を30分ほど行った後、両首脳は食事をとりながら意見を交わす「ワーキングランチ」を行いました。その後そろって記者会見し、会談の成果を共同声明として発表。共同声明では、暴力の続く混乱した世界に平和と繁栄をもたらす「日米関係の新たな黄金時代を追求する」という決意を示しました。
中国の脅威を念頭に、安全保障分野では、日米同盟はインド太平洋及びそれを超えた地域の平和、安全及び繁栄の礎であり続けることを強調し、日米同盟の抑止力・対処力をさらに強化すると指摘。また経済分野では、互いに利益のある形でアメリカから日本への液化天然ガス輸出を増やし、エネルギー安全保障を強化することなどを発表しました。
トランプ氏は記者会見で、「慢性的な貿易赤字は我が国の経済を弱体化させている。日本との貿易赤字は1000億ドルを超えているが、これを解消するつもりだ。率直に言えば原油とガスだけですぐに解消できると思っている」と語り、北部アラスカ州でのパイプライン建設などを手掛ける日米の合弁事業の立ち上げを目指すとしました。会談でトランプ氏は、関税についてはあまり話さず、液化天然ガスのビジネスに関して、多くの時間を割いたといいます。
石破氏は記者会見で、対米投資額を1兆ドル(約150兆円)といういまだかつてない規模まで引き上げたいとトランプ氏に伝えたと明かしています。また、中止命令が出されていた日本製鉄によるUSスチール買収計画について、トランプ氏は「USスチールを所有するのではなく、多額の投資をすることで合意した」と指摘。石破氏は「どちらかが利益を得るというような一方的な関係にならないことを大統領との間で強く認識を共有した。大きな成果だと考えている」と述べています。現時点では、これが日本製鉄の計画を認めることを意味するのかどうかは不明です。
また、石破氏はトランプ氏の印象について、「テレビで見ると、声高でかなり個性が強烈で、恐ろしい方だという印象がなかったわけではないが、実際にお目にかかると、誠実で強い使命感を持たれた方だと感じた」などと語り、トランプ氏の笑顔を引き出していました。
初めての日米首脳会談は、ひとまず成功裏に終わったと言えるでしょう。会談は穏やかな雰囲気で、共同記者会見で2人の掛け合いが会場の笑いを誘う場面もありました。
ただ、ここからが正念場です。共同声明で掲げたように、石破政権が本気で「日米の新たな黄金時代」を拓くつもりであれば、特に対中国での方向転換が不可欠となります。
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