人は決して他の人と同じには生きられない。

人の生き方は、様々であるのは言うまでもない。
言葉を変えれば、個々人の人格が同じという事はあり得ないのである。
しかし、共同の生活を長くしたり同じ考えのもとで活動をしたりすると、何となく意思を同じくする仲間だと思ってしまう。

それはある一面で気が合うだけなのであって、全く一緒ではない。
この当たり前の事を人は忘れがちである。

長く一緒に暮らした人や、それこそ生死を共にした戦友を自分の仲間だと思うのは自然なことなのだけれど、そうかといって全く同じく生きてきたわけではない。

永い共同の生活がお互いの理解を深めることはある。
同時にお互いの差異も又、理解できてしまう。

差異を認めた上での対等な付き合い方が、理想なのだろうが現実には二人以上の人がいれば、必ずや序列が出来てしまう。

二人の人間が出会うと、それだけで「社会」を構成してしまう。

これは仲睦まじい恋人同士や夫婦間でも「社会の要素」は必ずあるだろう。
人は、否応なしに「社会」に放りだされて生きてゆかねばならない宿命を持っている。

「社会」の中で有利な生存条件を見つけるために、人は大部分の時間を費やしてしまっている。

こんなことを言っているわたくしも、明日の昼までには出来さなければならない仕事があるのだ。

ブランデーの水割りを呑みながら記事などを書いている余裕ははたして、あるのだろうか？