昨日のコンサートはオペラのアリアで構成されていました。
好きな曲はいっぱいあったのだけれど、中でも心に残ったのは、ヴェルディの「椿姫」で歌われる「ああそはかの人か~花から花へ」。
無理のない心地よい声で、とてもていねいに勉強されていて心が伝わってきました。
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「椿姫」は、娼婦とはいえ、優しく人情に厚いヴィオレッタと名門の子息アルフレッドとの悲しい恋物語です。
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パーティーでめまいをおこして椅子に座り込んだヴィオレッタに、「こんな生活をしていてはいけない。」といい、「1年前からあなたを好きだった。」と告白するアルフレッド。
彼の真剣さに少し心を動かされ、ヴィオレッタは椿の花を渡して再会を約し、「この花がしおれるころに」と言います。
一人になったヴィオレッタは、「不思議だわ」と純情な青年の求愛に心ときめかせ、彼こそ今まで待ち望んできた真実の恋の相手ではないかと考える(「ああ、そは彼の人か」)。
しかし現実に引き戻された彼女は、
「そんな馬鹿なことをいってはいけない。自分は今の生活から抜け出せる訳が無い。享楽的な人生を楽しむのよと自分に言い聞かせる。(「花から花へ」)
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そんな複雑な女心を歌っている曲です。
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藤岡さんの公式HPにこのオペラに関しての記述が・・・
http://www.fujioka-sachio-fan.com/album.htm
小学生の頃、椿姫にまるで恋をしてるように毎日この演奏を聴き続けておられた藤岡さん。
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ご両親が日本に来日したイタリア歌劇団の「椿姫」に連れて行ってくださったそうです。
いよいよコンサート当日、生のオーケストラが奏でる前奏曲に大感激、そして幕が上がって・・いよいよヴィオレッタの登場・・・・・もの凄い大ショック・・・をうけられたとか。
イメージされていた美しい女性とは違い、小学生の目にはただの太ったおばちゃんだった・・・と。
そしてご両親に「なんであの人がヴィオレッタなの?」 「なんであんなに太ってるの?」と最後まで聞き続けられたそうです。そしてヴィオレッタが登場した後のことは全く覚えてない。・・・と。
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最近こそイメージを壊すほど役に会わない人はいないかもしれませんが、昔は???
やはり歌唱力はもちろんのこと、美しくスタイルもよく、役の内面に深く踏み込んだ表現をしたマリア・カラスの功績大でしょうか。