ファン投票上位馬による夏のグランプリ「宝塚記念」。
ファン投票第1位のウオッカが出走回避を表明したことで、予想通りファン投票第2位のディープスカイに圧倒的な支持が集まった。確かにメンバーを見ればディープスカイが1番人気に支持されるのも分かる。が、古馬との対戦になって以降、勝ち星がなく、好走はするけども勝つまでは至らない、そんなもどかしいレースが続いていた。そんな馬がそこまで50%以上の支持率を得るような圧倒的な人気で良いのだろうか?
そんな疑問への答えはレースの結果で現れた。
レースはコスモバルクの大逃げで始まった。昔は常に人気となる北海道競馬の星だったが、最近はG1に出ても逃げて序盤だけ目立つだけのテレビ馬(昔の20頭以上の多頭数時代のクラシックレースとかには結構いたらしい)に成り下がっている感じがする。そろそろ引退を考えるか地方レースに出ていればいいんじゃないだろうか・・・。厳しい見方だけど、なんか昔のように勝ちにきているとは到底思えないぞ・・・。
と、横道にそれたが、2番手はスクリーンヒーロー。以下アドマイヤフジ、カンパニーと続く。いつも後方のカンパニーが前にいるのには驚いた。圧倒的1番人気ディープスカイはほぼ中団、それをマークするようにドリームジャーニーがディープスカイの後ろにつけていた。
レースが動いたのは3コーナーすぎ。逃げていたコスモバルクに数頭が襲い掛かる。それに併せるかのようにディープスカイやドリームジャーニーなどの人気馬が仕掛ける。
が、ここで異変があった。いつもなら馬なりで上がってくるはずのディープスカイの手が動いている。まだ直線にも入っていないのに。
そして直線へ。ここからじわっと上がってくるはずだったディープスカイが一向に伸びてこない。その代わりにそのディープスカイを徹底的にマークしていた2番人気のドリームジャーニーが外から強襲、あっという間にディープスカイを置き去りにして先頭で粘っていたサクラメガワンダーをかわし、そのままゴールした。
終わってみれば2着以下に2馬身弱の差をつける圧勝劇だった。その光景は4月の産経大阪杯のVTRを観ているかのようだった。(ドリームジャーニーがディープスカイを徹底的にマークして差し切ったレース)
勝ったドリームジャーニーは父がステイゴールド(その父サンデーサイレンス)、母の父がメジロマックイーンという血統。現役最強女王ウオッカとは同期で、今回のG1勝利は朝日杯フューチュリティSを優勝して以来のG1勝利だった。父親同様に馬体が軽く、そしてG1級の切れ味がありながらも善戦マンだったドリームジャーニーだったが、今回は天気が味方したおかげか、その切れ味が爆発。見事、G1・2勝目を挙げた。G1レースというか重賞レースで何故か勝てなかった父の鬱憤を晴らすかのような勝利。良馬場限定の脚とはいえ、もう5歳だが今後の活躍に期待したい。天皇賞・秋では、ウオッカとの切れ味勝負で良い対決になるだろう。たぶん。
負けたディープスカイは、そろそろ脚質転換をしたほうがいいのではないか。どうも、一瞬のキレがないので、勝ちきれないように思う。アグネスタキオン産駒はそんなイメージが強い。ダイワスカーレットも切れ味よりも長く良い脚を持続していくタイプだった。ウオッカも古馬になってから(正確には騎手が変わってからだが)脚質を先行型に変えて成功したので、ディープスカイも変えてみてはどうだろう。良い脚を長く使うことではトップクラスだが、上がり勝負では絶対に負けるよ、この馬。
まぁディープスカイはまだ4歳。これから成長してくれることを願おう。でないと本当にウオッカがいなくなった後のスターがいなくなってしまう。この馬にはその素質があるので、是非頑張ってもらいたい。今の3歳クラシック世代も牝馬のブエナビスタ以外は分からんからなぁ・・・。牡馬は菊花賞の結果待ちだね・・・。
さてさて、これで春のG1戦線も終了。これから夏競馬。来年のクラシックへ向けて期待の2歳馬が続々デビュー。秋のG1戦線が始まるまでは2歳戦が1番の楽しみだね。