引き続き、少し古いのですがアップさせてください。
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「ごめんね、青春!」のおもしろさについて その2
H26.12.6
引き続き、「ごめんね、青春!」の話に戻ります。
見のがしていたので、ユーチューブで第一話、第二話を見てみました。特に、第一話の出来が良いように思いました(ブラックタイガーの出現がとても印象的です。)。びっくりしました。ドラマでもなんでも、番組放映が終わると、すぐ、ユーチューブにアップされるんですね、中国語字幕バージョンなのでそれもびっくりしました(彼らは日本(東夷;日本古代への蔑称)のテレビドラマを視るのか。)。
生徒会長の転校という感動ドラマをコロッと切り替え、今回は、性同一性障害の息子(男子校の生徒)を持つ権力者の理事長のエピソードになります。お金持ちのあととりで、気弱で優しい男子生徒は尼僧姿の制服(小さい銀のロザリオも付いています。)に憧れ、駅のトイレで着替え楽しく通学します。理事長はそれを放置、容認した学校に激怒し、合併白紙、文化祭中止と言い渡します。学園ドラマの王道の設定ですよね。
ブラックタイガーこと蜂矢先生(満島ひかり)に挑発された原先生(錦戸くん)は、一回目単身理事長宅に乗り込み門前払い、二回目生徒代表と連れ立ち生徒全員署名を集めて嘆願に行って門前払い、最期に蜂矢先生と一緒に訪問したところ、予想に反し会ってくれることとなり、おそるおそる玄関に入ると、女装した理事長が出迎えます。
「息子のために本を100冊以上読んだ」、と理事長は苦衷をかたります。「気持ちを理解するため、女装で近くのマックスバリューに買い物に行った」、と家族写真を見せながら、息子が息子でないことの苦しみを述べます。ブラックタイガーは、「じゃー、明日、息子さんと、原先生の授業に出てください」、と言い渡します。何の相談もなかった原先生が仰天したのはいうまでもありません。激論をしつつの帰り道、蜂谷先生は「あなたがすきだから」とカミングアウトしてしまいます。「返事は明日までにお願いしますね」、と。
翌日の授業、悩み多き原先生は、昔の学生制服姿で登場し、色々、性同一性障害について力説します。教室後方で、男子校、女子高の校長と、蜂谷先生が授業を批評します。「ま、泥臭い」、「月並みだねー」、「もっと響く言葉はないのかしら」、とか。とても笑えます。
「もういい」、「今になって、息子が息子でなくなった苦悩がわかるか」、激昂した理事長が、立ち上がりました。その時、同じく立ち上がって父の後ろでめそめそ泣く息子が目に入ります。終始一貫、反抗もなにもせず、父親に寄り添い、「ごめんね、ごめんね」、と、べしょ、べしょと泣くばかりの息子が。振り返った理事長は「上の娘二人は、家に寄り付きもしない。お前もそうなるのか」、「ぼくはそんなことはしないよ。ずっと一緒にいるよ。」その時、父親は和解します。絵にかいたような、理想の家族などはないことに、気づいて、少なくとも、思いやりのある優しい息子ではないかと。
最初から、クドカンは、どのように、このシチュエーションを脚本で納めるのか、と興味深々でしたが、本当に感心しました。実際に、現実的な有効性まで考えてしまいました。
理事長は、納得した後の判断は早く、「合併だろうと、別々だろうとどっちでもいい、好きにして」、と帰ってしまいました。男子校、女子高の校長たちは大喜びです。
その後、原先生が呼び出すと、「返事は?」と蜂谷先生が聞きます。「最初は、友達から」、原先生が答えると、「は、(こんなに思っているのに)友達から?」蜂谷先生は激怒します。原先生は、どうやら、納得させて、ふたりは、握手で締めます。(いわゆるエキセントリックでイタイ女ですが、勢いと行動力と、真情あふれる満嶋ひかりもとても魅力的です。私にはよくわかりませんが、場面ごとに変わる彼女の衣装も見どころのようです。)
新たな展開が始まります。
その夜の、地元のミニFM局のDJ(校長先生)に、キーパーソン、今まで失踪したままだった親友の三女の元ガールフレンド(蜂谷先生の姉)が電話してきます。「誰に、ごめんねしたいの?」、の問いに、火事の後で、ただ一人話しかけてくれたボーイフレンドの親友(原先生)が今は好きです、退学した元ボーイフレンドに、ごめんね、との答えです。ラジオを聴いていた、ひきずっている(火事とか失恋とか)原先生は、必死に追いかけ、FM局まで行きましたが、もちろん会えません(かくれDJの校長に出会いました。)。
翌日、取材したいとルポライターが学校に乗り込んできます。失踪していた蜂谷ゆうこ(親友の元ガールフレンド)、蜂谷先生の姉です。これから、原先生をめぐる、姉妹の、火花を散らす三角関係が始まりそうです。
同時に、原先生のエロオヤジ(風間杜男)の再婚話が舞い込みます。
(母は、菩薩になってしまったとはいえ)マザコンの原先生は心底狼狽し、混乱します。
この話は、次回からです。
このドラマは、12月21日までだそうです。あと3回です。
忙しいと思いますが、年末の娯楽に是非どうぞ。
宮藤官九郎は「大人計画」とかいう小劇場(松尾スズキとかいます。)で俳優もやっています。小劇場の劇では、脇役が主役を食うのが当たり前のようなところがあり(常に真剣勝負みたいです。)、毎回焦点が変わる、このドラマの脇役が本当に充実しています。度ごとに、女子高と男子校の合併、生徒同士のあつれき、先生と生徒の恋愛、先生同士の恋愛、理事長の専横と先生と生徒の連合しての戦いなど、扱うテーマがあり、連綿として続いてきた昔からの学園ドラマのパターンを揶揄し(からかい)、批評し、解体して行きます。しかし、解体されたなら、そのあと、再構築しなければなりません、原先生の努力が笑えます。はまり役です。
前回触れなかったけれど、これは、強くなった、女性に対するオマージュ(賛歌)でもあるドラマです。明らかに、教室内の主導権(教室内カースト)は、女子生徒が握っています。「しょうがねーだろうな」、と視聴者に思わせるようにドラマは展開し、しかし推進力だった、女子高の生徒会長が転校し、先が読めなくなりました。今回も、蜂矢先生、脇役の女子生徒、男子生徒、脇役が光り輝いています。また、当初からの伏線だった、原先生の親友と相愛で火事騒ぎで失踪した当時の三女の元生徒会長(ルポライターゆうこ)が登場しました。先行き、予断を許しません。
今回の、ドラマ中で、クドカンはドラマ性の解体を狙ったのか、ドラマ中で、東京に行った生徒会長がでて来ます。女子高を去り、都会風の私服になった彼女は、明らかに、オーラが失せています。改めて、制服の偉大さがわかります。男子校も、本来紫の詰襟の制服です。学園ドラマは、明らかに制服ですね。私見で言わせてもらえば、前々から時々見かけるブレザー制服とかバカにみえます。見栄えのしない思春期の日本人の男は、詰襟でないとだめ、というのが持論です(時代が変わったとも言われましたが)。かつて、桑田佳介が言っていましたが、「下に何を着ようと自由なのだから」、同感です。
年末に、とても楽しませてもらってます。
今回は、男子校の生徒会長(半田君)の出番が少なかった。
次は、誰が主役を食うのか楽しみです。