普通の(らくがき度の低い)絵を描くのは久しぶりなので、物珍しい気分で途中経過を写真に撮ってみました。
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例によって写真を撮るのが下手なので、写りが悪いのは相変わらずです。すみません。
今回使った紙は「クレスター水彩紙」というもので、水彩用の紙の中では低価格で使いやすいです。
紙によって性格が全く異なるので、自分で使ってみて好みのものを見つけるのも楽しみです。
まず紙に鉛筆で下描き。
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下描きは特に必須ということはなくて、必要に応じて描きます。全く下描き無しで描くことも少なくありません。
今回はきちんと描くということにしたので定規を使いました。
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もうすこし調子が良ければ定規など「不要・邪魔・面倒」と使わないのですが、今回は道具に頼ることにしました。
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もとより、そのための道具なので頼るのは別に悪いことではありません。単に、わたしの好みの都合です。
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今回の絵はほとんど直線ばかりな構成なので、定規を使えば難なく描けます。
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それだけに絵を描いていると言うより図面を引いているような気分になってしまうのがあまり好きではないのですが、直線的で精確な絵を好む人もいますので、これもまた人それぞれです。
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これは絵の具の溶き皿(不良在庫絵の具用)です。
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前回描いた後洗わずにそのまま次の絵を描くのに使います。
残っている絵の具が隠し味的な妙味を出すという意味もありますが、洗うのが面倒、絵の具がもったいない…という意味も。
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ただし、「必ずきれいに洗って、汚れ一つ無いまっさらなパレットじゃないとダメ」という人もいますし、流儀は人それぞれ。絵の描き方に決まりは何一つありません。
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これが、このごろしばらく使いつづけている通称「不良在庫絵の具」です。
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お店で不良在庫処分品として12本セット100円で売っていたので安いと思って買ったら、わたしの部屋で不良在庫化したという…
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マダーレーキディープ(赤紫寄りの赤)、バーントシェンナ(赤茶)、アイボリーブラック(黒)の三色セットです。
ただし、黒はカチコチに固まってなかなか水に溶けないので、使用をあきらめて、代わりにウルトラマリン青を追加しています。
当然のことながら黒よりは色の幅が広がるので、はるかに使いやすいセットになりました。(消費がはかどると期待
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)
別に嫌々使っているわけでも無くて、これはこれで面白い色ですし、好きな色合いでもあります。
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ただ、この微妙な色合いを活かすセンスが足りないのが問題ですが。
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前回の残りの乾いた絵の具に水を注ぐと、すぐに3色混合の色水ができます。
この手軽さがとてもらくがき向きなのです。
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いや、単にものぐさなだけとも…
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最初の下描きした紙に、前回の残り絵の具で作った色水を、空以外の部分にどばっと大胆に塗ります。たっぷりの色水で、かなりの水浸しになります。
溶き皿は空に、しかも「きれい」になっているので、そこで速やかにバントシェンナの極薄い色水を作って空の部分に塗ります。
二つの領域がぶつかる境界上では色が混ざり、にじみ込みますが、それが元からの狙いです。
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(上の写真は、全部塗った後、余分な水分を紙の外に流して筆やティッシュペーパーで吸い取った後の様子です)
普通は溶き皿を複数用意して、使う色水をあらかじめそれぞれ別に作っておいてから塗り始めるものと思います。
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とくにこの絵の場合は空の方を先に塗る方がうまく行きやすいと思います。
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皿一枚で済ませるための都合を優先させるという、わたしの変なやり方はおすすめできません。
それはともかく、水彩は「どばっと大胆に」がわりと重要な気がします。
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怖がってちまちまやっていると、たいてい芳しくないことになります。(わかっていてもやってしまいがち…
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)
今回は筆で塗りましたが、お皿から紙の上に直接色水を流し込むこともあります。
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完成予定の絵から逆算して行程を組み立てるので、描き方はいつも違うのです。
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普段は何も考えずに、行き当たりばったりで描くことも多いですが。
最初の一塗りはもう少し濃い方が良かった気もしますが、やり直しは出来ないので諦めが肝要です。予定通りの結果ではなくても、先に塗った色を活かすようにして塗り進めると意外と大丈夫だったりします。
紙が水を吸って波打ってますが、いつもこんな感じです。
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この波打ち具合が偶発的な色むらなどを生んで面白いので歓迎です。
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これも人それぞれで、紙の波打ちは絶対に許せない人もいたりします。…というか、わたしの周辺で見聞きしたところでは許せない人の方が多そうな印象です。
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(わたしの描き方が変だと指摘を受けたことは数知れず…
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)
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一塗り目が乾いたら、二塗り目に入ります。
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塗る順番などはその時の気分次第、自由に好きなところから。
ただし、絵の具の溶き皿が一つなので共通する色の部分をまとめて塗るようにしています。
まあ、そう思いつつも、塗り忘れてしまったところがいくつもあったのですけれども…
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二塗り目が進んでくるとだいたい全体の感じが決まってきます。
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…というか、そうなるような予定で描いてます。
前述の通り、紙のべこべこな波打ちが自然と色のむらを生み(色水が低いところにたまるので)、特に道路の部分など広い面も変化に富んで面白いと思います。
技術のある人は意図して「にじみ」などを作るのでしょうけれど、技術のないわたしは偶然性を楽しむことにしています。
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三塗り目で濃い色を入れながら全体の調子を合わせて完成です。
水彩の塗りはあっさり目で止めておくのが良いかもしれません。
いじりすぎて失敗した経験が数えきれません。(そしてこれからも失敗し続けるであろう)
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実は昨日の水彩絵も途中まですごく良かったのに、いじりすぎて失敗していたという…。
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そして今回使った溶き皿は、そのまま次のらくがきに使います。
…といったところで、「メイキング的な何か」のお話は終わりです。
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何かのお役に立てば幸いですが、笑われるのがせいぜい?