前回「#838 雪ゆかば(1)束の間の幸福」のつづきです…![]() わたしたちが遊んでいるところへ、見知らぬ男子グループが来ました。 「そこはオレたちが使う場所だ。おまえら邪魔だ、失せろ!」 ![]() かよ「なに言ってんだ! うちらが先に使ってるんだから、そっちこそ、どっかよそに行きな!」 ![]() 男A「それなら雪合戦で勝負しろ! 負けたら出て行け!」 かよ「何であんたたちと雪合戦なんかしなきゃならないんだ! アホなこと言うな!」 ![]() 男A「オレたちと勝負するのが怖いのか?」 ![]() かよ「何を! 誰が怖いって! やってやろうじゃないか!」 ![]() まゆみ「ああ…かよちゃん、向こうの挑発に乗せられちゃった…」 ![]() 男B「あの女、4組の島崎だべ? あいつめちゃくちゃ強いぞ。ヤバいんじゃねえか?」 男A「ビビんなよ。普通のケンカで勝てなくても、雪合戦なら勝てるべ」 ![]() 男A「強いのは島崎だけで、後の奴は戦力外だ。特にあのチビは『ウスノロ馬鹿』で有名な奴だ。居るだけ邪魔な荷物にしかならんべさ」 ![]() かよ「え? こういうときは、難攻不落な山の上に陣を張るんじゃないの?」 まゆみ「でも、紅葉ちゃんが…」 ![]() 紅葉「山の上は危ないよ…」 山頂は狭くて身動きがとりづらいし、すでに雪が踏み固められていて弾薬の製造も困難。籠城しても包囲されては反撃も出来ず、長く持ちこたえられない。 …というようなことを言いたかったのですが、その時はうまく説明できませんでした。 ![]() かよ「よくわからないけど、紅葉が言うのならそうしよう。とにかく今は陣地の構築と弾薬の製造を全力でやろう!」 まゆみ「うん」 |
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当時は学級内で男子と女子とが反目し、男子同士でも派閥間抗争があり、学級外でも紛争が起こるなど、非常に荒れた状況下にありました。「みんなで仲良く遊びましょう」などという貼り紙はとても白々しく見えたものです。
ここで言う「雪合戦」とは、「遊び」や「競技」などではなく、ただの「ケンカ(喧嘩)」のことです。普通のケンカと違うのは、拳で殴る代わりに雪弾で殴るということだけです。ケンカにルールはありません。とにかく雪弾で殴り合い、どちらかが敗走するか全面降伏するまで続きます。
拳で直接殴り合うケンカよりはケガ(怪我)が少ないため、紛争を解決する手段として「雪合戦」が多用されました。