(この絵は夢で見た光景です。)
日は静かに暮れゆき、空を満たしていた昼間の風はなりを潜め、羽ばたくものも鳴くものもなく、かすかに色を帯びた三日月だけが取り残されていました。
三日月は、ほかより遅れたことにあせったのでしょうか、あるいは淋しさに心ゆれたのでしょうか。山並みの向こうに沈むつもりが、誤って湖の中に落ちてしまいました。
水に沈んでしまった三日月は泳げませんでした。泳げないどころか、水にとても弱かったのです。空に浮かぶためにとても軽い体をしていましたから、水につかったとたんに、麩(ふ)のようにふやけてしまいました。
いくらもがいたところで水から上がることはできません。もがいているうちに、ふやけた体はちぎれ、湖の中でちりぢりばらばらになってしまいました。
そうしてその日以来、月は姿を消してしまいました。
(この続きはまた明日…)
日は静かに暮れゆき、空を満たしていた昼間の風はなりを潜め、羽ばたくものも鳴くものもなく、かすかに色を帯びた三日月だけが取り残されていました。
三日月は、ほかより遅れたことにあせったのでしょうか、あるいは淋しさに心ゆれたのでしょうか。山並みの向こうに沈むつもりが、誤って湖の中に落ちてしまいました。
水に沈んでしまった三日月は泳げませんでした。泳げないどころか、水にとても弱かったのです。空に浮かぶためにとても軽い体をしていましたから、水につかったとたんに、麩(ふ)のようにふやけてしまいました。
いくらもがいたところで水から上がることはできません。もがいているうちに、ふやけた体はちぎれ、湖の中でちりぢりばらばらになってしまいました。
そうしてその日以来、月は姿を消してしまいました。
(この続きはまた明日…)