例年のごとく今年を振り返る時期になってしまった。紹介もれの中から、やっぱりお勧めしておいたほうがよさそうなものをピックアップしてみよう。それでも数が多くなってしまったので、ちょっとだけ分類して数回に分けてみようと思う。あ、それといつも言っていることだけど、僕の振り返りなので本当にタイムリーじゃない場合もあるのであしからず。
今回はドキュメンタリー部門であります。
□ドキュメンタリー
マイケル・ムーアのおかげなんだろうが、ドキュメンタリーが商売になるということが証明されて、ドキュメンタリー映画が量産されるようになったようだ。映画的な編集は必要だと思うけど、基本的には現実を映すだけで、題材によっては見事なドラマを生み出していく。基本的なナレーションを入れないことで、実際にドラマをそのまま見せてくれるような手法をとる作家も出ている。映画の演出より当たり前だが非常にリアルで、本当にドラマチックな見事なドキュメンタリーを観られるようになったことは、本当に素晴らしい現象なのではなかろうか。今後もこの流れは続いていくだろう。
そういう中で特に感動的だったのは、
アンヴィル/サーシャ・ガヴァシ監督
だった。マイケル・ジャクソンを観てから比較して紹介しようと思っていたのだけど、まあ、いいか。見てないから比較できないけど、たぶん僕はこっちをとるに違いないとは分かっているんだ。年をとるとこういうのに弱くなるというのはあるだろうし、現実にどっちがカッコイイかというと、こっちのカッコ悪さに決まってんじゃないかという気がする。そのうえおまけのように、日本っていう国の素晴らしさを再認識させられる。日本人は遠い異国の頑張っている人間にとっては神様ではなかろうか。
※追記:昨夜(24日)マイケル・ジャクソンのthis is itがテレビで流れたのでチラ見したが、あれはあくまでメイキングなんだった。つまり映画としては「アンヴィル」と比較するようなものではない。そう言うわけで、観るんならこっちを見なきゃ人生の損失だろう。
マン・オン・ワイヤー/ジェームズ・マーシュ監督
これは観ているときはワクワクしながら展開を追うしかなかった。夢を追いかけるっていう比喩は陳腐化されてあんまり好きじゃないけど、これくらい荒唐無稽な面白い夢も珍しい。何しろ主人公は綱渡りすることに取りつかれているだけなんだから。単なるお騒がせ男なんだけど、その彼のためにまわりが夢に感化されて一緒に夢を追いかけるようになる。まったく実現が不可能に思えるハードルをどんどん越えていく。まるでスパイ大作戦。なんというとんでもない夢の実現物語なんだろう。
しかしこの映画は、ある意味で観る者を奈落の底に落としてしまう。人間というものの残酷さまで見事に描き出した傑作ドキュメンタリーである。
誰が電気自動車を殺したのか?/クリス・ペイン監督
すぐれたものが必ずしも勝つわけではないという、資本主義の熾烈な競争の物語である。ある種の活動家の思想めいた匂いが多少はするものの、物語のまとめ方は面白い。つい最近のことだし、今も続きが現実に起こっている。ある局面では終わってしまった物語であるにせよ、これからは違った展開の歴史が待っているのかもしれない。その当時者は、まぎれもなく僕らである。
四川のうた/ジャ・ジャンクー監督
これは疑似ドキュメンタリー。しかしながら、現代中国を見事に描き出していると思う。ある意味で日本が体験したことだし、そしてそれ以上に深い傷も垣間見える。巨大な国の苦悩を、自国民だってちゃんと見ているということを知るだけでも、隣国の日本人にとっては意味のあることではないだろうか。
あんにょん由美香/松江哲明監督
これは素直に傑作だと僕は思う。その上ちゃんと面白いです。
性を扱っているので入り口のところで敬遠してしまう人も多いかもしれないんだけど、文化論にもなっているし、ある種の美しさまで感じてしまう。いや、恥ずかしいけど、実に人間くさく、そして力強い。ひょっとして恋愛論かもしれないなあ、と思うけど、センチメンタルだけで終わっていない、いい映画ではないでしょうか。
今回はドキュメンタリー部門であります。
□ドキュメンタリー
マイケル・ムーアのおかげなんだろうが、ドキュメンタリーが商売になるということが証明されて、ドキュメンタリー映画が量産されるようになったようだ。映画的な編集は必要だと思うけど、基本的には現実を映すだけで、題材によっては見事なドラマを生み出していく。基本的なナレーションを入れないことで、実際にドラマをそのまま見せてくれるような手法をとる作家も出ている。映画の演出より当たり前だが非常にリアルで、本当にドラマチックな見事なドキュメンタリーを観られるようになったことは、本当に素晴らしい現象なのではなかろうか。今後もこの流れは続いていくだろう。
そういう中で特に感動的だったのは、
アンヴィル/サーシャ・ガヴァシ監督
だった。マイケル・ジャクソンを観てから比較して紹介しようと思っていたのだけど、まあ、いいか。見てないから比較できないけど、たぶん僕はこっちをとるに違いないとは分かっているんだ。年をとるとこういうのに弱くなるというのはあるだろうし、現実にどっちがカッコイイかというと、こっちのカッコ悪さに決まってんじゃないかという気がする。そのうえおまけのように、日本っていう国の素晴らしさを再認識させられる。日本人は遠い異国の頑張っている人間にとっては神様ではなかろうか。
※追記:昨夜(24日)マイケル・ジャクソンのthis is itがテレビで流れたのでチラ見したが、あれはあくまでメイキングなんだった。つまり映画としては「アンヴィル」と比較するようなものではない。そう言うわけで、観るんならこっちを見なきゃ人生の損失だろう。
マン・オン・ワイヤー/ジェームズ・マーシュ監督
これは観ているときはワクワクしながら展開を追うしかなかった。夢を追いかけるっていう比喩は陳腐化されてあんまり好きじゃないけど、これくらい荒唐無稽な面白い夢も珍しい。何しろ主人公は綱渡りすることに取りつかれているだけなんだから。単なるお騒がせ男なんだけど、その彼のためにまわりが夢に感化されて一緒に夢を追いかけるようになる。まったく実現が不可能に思えるハードルをどんどん越えていく。まるでスパイ大作戦。なんというとんでもない夢の実現物語なんだろう。
しかしこの映画は、ある意味で観る者を奈落の底に落としてしまう。人間というものの残酷さまで見事に描き出した傑作ドキュメンタリーである。
誰が電気自動車を殺したのか?/クリス・ペイン監督
すぐれたものが必ずしも勝つわけではないという、資本主義の熾烈な競争の物語である。ある種の活動家の思想めいた匂いが多少はするものの、物語のまとめ方は面白い。つい最近のことだし、今も続きが現実に起こっている。ある局面では終わってしまった物語であるにせよ、これからは違った展開の歴史が待っているのかもしれない。その当時者は、まぎれもなく僕らである。
四川のうた/ジャ・ジャンクー監督
これは疑似ドキュメンタリー。しかしながら、現代中国を見事に描き出していると思う。ある意味で日本が体験したことだし、そしてそれ以上に深い傷も垣間見える。巨大な国の苦悩を、自国民だってちゃんと見ているということを知るだけでも、隣国の日本人にとっては意味のあることではないだろうか。
あんにょん由美香/松江哲明監督
これは素直に傑作だと僕は思う。その上ちゃんと面白いです。
性を扱っているので入り口のところで敬遠してしまう人も多いかもしれないんだけど、文化論にもなっているし、ある種の美しさまで感じてしまう。いや、恥ずかしいけど、実に人間くさく、そして力強い。ひょっとして恋愛論かもしれないなあ、と思うけど、センチメンタルだけで終わっていない、いい映画ではないでしょうか。