カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

働く追い風

2015-08-09 | 時事

 景気の動向もあるが、障害者雇用が少しばかりよくなっているという話がある。これにはいろいろ前提があって、言いにくいこともいろいろあるんだが、パートさんを雇うような作業において、障害者の労働力が素直に見直されているということもあるんだという。まあ、そういうことにしておいて、さらっと話を進めると、つまるところ、少しばかりの配慮をすることで、障害者がちゃんと働けるようになるのだという話である。
 そこまでは当然と言えば当然なのだが、様々な障害を抱える人でも、いわば、今までの職場の人たちと、同じような環境で、同じような動きを求めていたことに、無理解と困難があったということである。たとえば作業内容を説明する際に、知らない単語が入っているのに、素直に知らないと言えずに、注意を怠るということがあった。注意するものが何なのか、写真や図で示すだけで、何のことは無く理解して、ミスを犯しにくくできる。要するにお互いのコミュニケーション不足を、どのような工夫で補うかというのがポイントで、今までの工場などでは、何が理解されていなかったのかさえよく理解されていなかったために、不必要に作業に活かされることが無かったのである。
 さらに対人関係の苦手な人というのは多くて、しかしそのような自閉的な傾向のある人には、作業能力が逆に高い人も多い。単純な作業でも根気が続き、集中力のぶれが少なかったりする。しかしそういう人が動きが緩慢になるときがあり、それは実は作業そのものができないということではなくて、作業場における他の人の動きが気になるだとか、他の要因が大きい場合が多いのである。そういう人の視点に他人が入らないように作業区分をつくるだとか、可能ならば場所を離すなどの工夫ができると、十分に能力を発揮することが可能になったりする。個別にどのようにアプローチするのかということを、アイディアで乗り切ることができれば、仕事としても高いレベルで働いてもらうことができるということだ。
 障害者雇用においてネックになっているのは、いわば事業所が福祉的に心の問題として、障害者の雇用を考えなければならないというとらえ方をしていることにもあると思う。障害者が、人的な戦力として魅力的だということが理解されれば、もっと働いてほしいという流れにもなろうというものだ。もちろん今までもそうなるように働きかけはしており、実際にはかなり惜しいところまで来ていたことは確かなのである。ただ単に橋渡し問題というだけでなく、雇用確保が厳しくなったという追い風があって、その雇用をする上での工夫自体を、企業側が考えるようになったということが大きいように思う。図らずも国内の産業の空洞化が、多くの労働者の流出にもつながり、サービス産業への人的な移行が進んだ。ところが円安が進んで、また再度国内生産で採算をとろうとする業種において、雇用が枯渇するということが起こったのである。
 いつまでもこのような状態が続くのかというのは未知数だが、実際に現場で戦力として働く人が増えることは、さらに多くの人の雇用の後押しになろう。空洞化を埋める担い手として、障害者ほどうってつけの人材は無いのである。
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