ベル&セバスチャン/ニコラ・ヴァニエ監督
フランスでヒットした映画だという。原作も有名らしく、アニメ作品もあるらしい。もちろんそれらのことは知らなかった。自然描写が美しく、フランスという国は田舎も壮大なんだなと思った。
戦時中ドイツの占領下にある山中の村には、野獣が家畜を襲う被害が出ていた。ところがそこに暮らす少年と巨大な犬は、なんとなく心を通わせるようになり、この野獣騒動はとばっちりであることが分かってくる。しかしながら大人たちからは、この犬は命を狙われることになる。少年の言うことをよく聞いて、この賢い犬は難局を乗り越えていくのだったが…。
犬を使った映画のようなものは、どうしても人間の都合で演出するので、ワザとらしいところが出てしまう。特にこの犬なんだが、明らかに最初から心優しさが出ている。野犬の恐ろしさが伝わってこないのである。もう少しオオカミのような犬を使うべきだったのではなかろうか。もしくは牙が出ている奴とか。まあ、いい犬だからこそ交流が美しい訳で、キャストとしては仕方なかったのだろうけど。
僕は学生時代には貧乏旅行を楽しんだりはしたものの、冒険というものには縁が無い。今後もするつもりはない。理由はお腹の調子がいつも悪いから。特に午前中の移動というのに不安がある。この映画のように険しい山中を踏破するような試みは、とてもできそうにない。要するに戦争になったら、すぐに殺されてしまうクチだろう。この映画のように大自然の中動き回る人々は、トイレはどうしてるんだろうな、といつも思う。映像的に難があるのでトイレシーンなどは割愛されているのだろうけど、まあ、野グソをしてるんだろうね。仕方ないだろうし。
いいお話というのは分かるのだけど、ちょっと中途半端な感じが最後までぬぐえなかった。たぶんなんとなく健全すぎるからではなかろうか。子供向けの映画であっても、そういう部分はちゃんと作り込まないといけないのではなかろうか。確かに少年と犬というのは、絵になっているとは思うのだけれど。