シンクロナイズドモンスター/ナチョ・ビガロンド監督
失業して酒浸りの日々を送っていたが、同棲している彼氏からも見切られてアパートを出ることになり田舎に帰る。空家となっている自宅に戻りはするものの、何のプランも無い。そこにちょうど幼馴染の男性が通りかかり、彼のバーで働き出すことになる。アル中のケがあるので毎日飲めてハッピーだし、生活は相変わらず破綻気味だが、皆優しいので形の上では何とかなっていたように見えていた。ところがちょうどその時、韓国のまちに怪獣が出現する事件が起こる。時差の関係もあるが、彼女が朝方公園で何かをしている時に、その怪獣も活動しているらしいことが気になりだす。何の因果があるのかは全く不明だが、何かその不思議なつながりのようなものに、彼女の心も囚われていくのだった。
アン・ハサウェイがほとんど重要な映画。彼女の変な感じがなければ、なかなか成立しえないハチャメチャな物語だから。特に重要な意味など必要ないのかもしれないが、だらしなくも放っておけない存在だからこそ、まわりの男たちの奔走が始まるわけだ。物語は素直には進まないし、結末もなんだかわけ分からないが、なんじゃこりゃ、という映画は楽しむことはできる。子供のころの体験って大切かもしれませんね。
怪物が現れる舞台が韓国だったのは何故だろう? 撮影しやすかった何かがあったのか。人をたくさん使うので、エキストラを雇いやすかったとか。また設定では少なからぬ人が死んだはずで、そういう部分のアメリカ人への感傷への考慮があったという事か。しかしながら最終的にはこの遠い場所にトリックもある訳で、まったく効果が無い訳では無い。
最終的に誰と付き合うべきだったかとか、考えにくい謎は残る。いろいろつらいことがあっても、安易に田舎に帰っても仕方ないじゃないか、という映画かもしれない。過去には邪悪なものがあった訳だし。そういう意味では、都会で苦労している人は、都会で骨をうずめてください。一花咲かせることが出来るかもしれないし、そのままダメかもしれないですけどね。